エピローグ
ネロの死を看取ってから連隊長は、衛兵を無線を使って呼び寄せる。
「ああ、ネロが死んだ。私が確認した。誰か来てくれないか。彼女は脱走した」
簡単な連絡だ。
だが、それ以上は不必要だ。
すぐに人が集まってきて、ネロが確かに死んでいることや、銃創等を確認し、アルファの元へと運ばれる。
「んー、ここに2回も来る人がいるとはねぇ」
「どうなんだ。ネロとして復活することはできるのか」
アルファは、検視台のようなところに、ネロを横たわらせている。
あちこちをつついたり、注射器を使って体液を採取したりしているアルファは、連隊長の質問に答えていく。
「彼は元から寝不身としての耐性はありました。だからと言って、もう一度復活できるかは大いなる謎でしょう」
「なぜだ」
「彼は2回死んでいるからですよ。1回目の死亡後も、直後にここに運ばれてきたおかげで処置を取ることができた。だが、2回目、それも長時間経っているでしょう」
もっとも死んでから15分程度だから短いか、とアルファは感想を簡単に述べていた。
「それで」
連隊長は更に聞きたがる。
「一応試してみますが、あまり期待はしないでください。これは分の悪い賭けのようなものです。もっとも、レートは1対1万とか、そんな極端な賭けですが」
「やってみてくれ」
連隊長にせがまれて、アルファはふうと息を吐く。
どうやら、やる気になったようだ。
だが、その結果は、誰も知らない。
なぜか、その直後、研究所は大規模な略奪にあったためだ。
その戦闘には、1人の少女がいたという。
そして、1人の死体が、共に消えたという。