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第27話
「……それが君の選択かい」
「ええ、連隊長殿。これば僕自身の選択です」
連隊長は、銃口を下ろし、すでに息絶える寸前となっているネロを見た。
「君がすでに北鷺となっているのであれば、殺すことはたやすい。だが、ネロ・ケルビムとしての記憶も持っているようだな」
「まだ、ですがね。もうまもなく、それらは全て意味消失するでしょう。僕のが死ぬと同時に、おそらくは」
「そうか」
ネロは、連隊長が銃のセーフティを付けるのを見て、思わず尋ねる。
「僕を殺さないんですか」
「死にそうになっている奴に追い打ちをしてどうなる」
「…弾がもったいない、そういうことですか」
「まあな。だが、ぜひともと言うのであれば、撃つぞ」
弾は1発残っている。
撃てないこともない。
だが、ネロは首を左右に振った。




