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第26話
「逃げろ!」
ネロは最後の力を振り絞り、少女に向けて叫んだ。
少女は戸惑ったが、それでも立ち上がって出口に向かって走り出す。
その向こうは、もう誰も止める者はいない。
「させるかっ」
連隊長は銃口を上に持ち上げ、照準を走っている少女へと向ける。
うおーと気合を入れ、ネロは気力を振り絞り立ち上がる。
バン、と発砲音が響くと、ネロは腹を抑えてとうとう倒れた。
「北鷺さん!」
「来るなッ」
少女が止まろうとするが、ネロは叫び返す。
「走っていけ、そして、振り返るなッ」
そのネロの言葉を受けて、とうとう少女は研究所から脱走することができた。
出口に残されたのは、ネロと連隊長の二人だけだ。