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第25話
「大丈夫!?」
少女は心配そうにして、ネロに叫ぶ。
「ああ、大丈夫だ」
だが、言葉とは裏腹に血はとめどなくあふれ出ていく。
「こうなってしまって残念だよ、ネロ。いや、もう記憶は戻ったのかな」
連隊長は、銃を向けつつ、体をゆっくりと動かして、両膝をついているネロに聞く。
傍らには少女が心配そうに片膝たちをしている。
発砲音は遠くまで響いているようだが、まだ誰かが来ると言う気配はない。
「……ええ、戻りました」
「そうか、残念だよ。だが、これでいいんだ」
連隊長はいうと、引き金に指をかける。
「心置きなく、君を撃つことができる」