22/31
第21話
ネロは研究所の秘密の地下通路を抜け、それから外へと出るための脱出行をひた走る。
「ねぇ、本当にあなたは誰なの?」
走りながらも少女は、マシンガンを確認し、すぐに撃てるようにしながらネロに聞く。
「…だんだんわかってきたんだ。僕が何者なのか」
「じゃあ、あなたは誰」
「僕は、北鷺翼士。北鷺派のトップだった男だ」
それを聞いて、少女は思わず笑う。
「どうした」
「だって、それならもう死んでいるはずだもの。軍閥の一つ、ラグルレータ率いる一派の少年少女部隊にね……」
その時、少女ははたと気づく。
「もしかしてあなたが私を助けたのって、その時の記憶が?」
「しっ」
静かにするようにネロは言う。
「ここを通ると思っていたよ」
研究所の裏口には、ただ一人で腕組みして立っている男がいた。
連隊長その人である。