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第18話
呼吸を整えて、それからネロは少女から銃口をそらす。
「これはいけない」
何がいけないのかは分からないが、独り言をネロが言うと、銃を撃ち始める。
連隊長は、もしかしたらそうなるかもしれないと思っていたようで、とっさに盾を取り出し、自身だけは安全を確保する。
ネロは、すぐ後ろで椅子に威張って座っていた研究所所長、続いて警備隊長、そして残り一発は撃たずに走りだす。
「助けるよ」
少女に駆け寄ったネロは、腰につけていたナイフを取り出し、少女の紐を切る。
「あなたはだれ?」
開放された安堵の声で、袋でくぐもりながらも、少女に答える。
「まだ分からない。でも、君を助けないと」
ネロは、それを確信していた。