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第16話
午前10時少し前。
いよいよ処刑される少女が、頭に袋をかぶった状態で入ってきた。
後ろ手に縛られ、従兵が2人、無理に引きずってきている。
「処刑命令書の提示を願います」
ネロが、従兵に対して敬礼をして、それから書類の提示を求めた。
この書類がなければ、処刑をしてはならないという規則になっているためだ。
「こちらが、命令書です」
そして、全員が待っている目の前で、命令書をネロが読み上げる。
「発、ギガント・ルードルマン。宛、処刑執行人たるネロ・ケルビム。革命勢力支持者、イリガ・ライトを処刑せよ。以上」
「承諾していただけるでしょうか」
従兵が敬礼をし、ネロに尋ねる。
これは形式的な物で、本来では不要な物だ。
だが、儀式として必要なため、未だに残っているという。
「承諾する。これより処刑を実施する」
ネロは従兵に対して答礼を行い、少女を杭のいずれか一つに縛るように命じた。