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第15話
午前9時半。
第1処刑場と呼ばれるところには、連隊長とネロだけがいた。
向こうには、レンガの壁と、その壁の前に立っている2メートルほどの5本の木の杭。
銃殺刑の場所だ。
今は、2人しかいないが、もう少しすれば人がやってくることであろう。
その中で、連隊長がネロに尋ねる。
「…やれるか」
「はい」
ケロッとした声で、ネロが連隊長に答える。
なぜ聞くのかということ自体を疑っているようだ。
「そうか、なら安心した」
疑問の表情で、ネロは連隊長を見ている。
その中で、連隊長は説明をはじめた。
「1人だけが銃殺兵として、銃を持つことが許される。この敷地内で武器を持つのはその一人だけだ。弾は予備を含めて3発入っている。今回使うのはライフル銃だ。1発でも眉間に当てた時点で、終了だ。武器はすぐさま近くにいる銃兵へ渡すように。質問は」
「いいえ、いままで何度となく行っておりますので」
「そうだろうな」
手順は今まで通りだ。
ただ違うのは、ネロが出現をした後だと言うこと、それだけだ。