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第14話
「ネロ、調子はどうだ」
歩哨任務が終わり、朝食になる時、連隊長がわざわざネロの席までやってきて尋ねた。
ネロはすぐに立ちあがり、敬礼しつつ、連隊長に答える。
「連隊長殿。調子はいつも通りです。上々です」
「そうか、ならいい」
座るぞと言って、ネロの前の席に連隊長は座る。
連隊長が座ってから、ネロは座った。
「今日の午前10時、少女の処刑が執行される。執行人は、命令によってお前がなる」
「昨日お話しされたとおりであります。私は命令とあらば、それに従いましょう」
「それが、お前の本心か」
「そうです」
だが、ネロが連隊長に返事をするまでに、わずかな間があった。
そのことを、連隊長は見逃さなかった。
「そうか」
そのことを確認するために、連隊長はネロに質問をした。
だから、この場ではネロに何も言わなかった。
「午前9時半、第1処刑場へ出頭せよ。いいな」
「分かりました。午前9時半、第1処刑場へ出頭します」
ネロは、連隊長に対して立ちあがって敬礼をした。
「よし」
連隊長はそれを受けてから、おもむろに席を立った。