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第13話
その日の夜、ネロは歩哨任務についていた。
変成を受けると、精神状態をはじめとして身体機能にも変化が起こる。
睡眠障害も、そのうちの一つである。
寝不身という言葉が生まれたのも、眠ることができないということから、アルファが名付けた。
ネロは、見回りをしながら今日という一日に起きた出来事を、順々に思いだしている。
そこで、どう考えても腑に落ちないと言うところがある。
なぜ、あの少女を殺さなかったのか。
なぜ、あの少女に感情移入をしているのか。
なぜ、今、このようにあの少女について考えているのか。
全てが謎だ。
だが、ネロは、アルファから自身の出生についてを知らされておらず、当然連隊長にも聞いたことはない。
だから、自身がおかしくなったと考えず、何か違和感がある程度に受け止めていた。
それでも、出現はネロを一変させるのに十分であった。