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高校入試

作者: いちご

1年前、私は中学3年生だった。中学3年生には、毎年1月~3月まで行われている受験が待っていた。夏の引退まで、部活を汗だくになりながら真剣に取り組むなか、受験勉強や中間テスト、期末テストの勉強もしなければならない中学3年生。あの時は部活にも勉強にも追われ、毎日がとても忙しかった。どこの高校に行くのかを決めるのも大変だった。

私は、小さい頃病気にかかり、病院に入院したことがある。その時にお世話になった看護師さんの姿に憧れ、将来は絶対看護師になると決めたのだ。

中学3年生になり、自分がどの高校に行きたいのかを選ぶ時期になった。私は正直悩んだ。どっちの高校に行くのかを。看護科のある高校を選んだ私。選んだ高校は2つ。願書を提出するギリギリまで、両親にも相談しながら一緒に考えた。でも、私は、最初からどっちに行くかは決めていた。その高校の専願入試を受けることを決めていた自分が、もし、不合格だった場合、浪人することになる。私はそれが嫌だった。だから、 もしもの場合に備えて、もう一つの高校も一応考えていた。そのことを両親に相談したところ、両親はこう言った。

「ほんとに自分が行きたい高校はどっちね?自分が絶対合格して通いたい高校があるなら、不合格のことを考えずに、その高校に合格できるようにそれなりの勉強をしなさい。」

私はその瞬間、泣きじゃくりながら、どっちの高校に行くのかを決めた。最初に自分が決めていた高校に決めたのだ。

1学期、2学期の中間テスト、期末テストも終わり、願書を書く日がやってきた、12月上旬。母と自分と担任の先生との三者面談のあと、いよいよ願書書き。ドキドキしながら、私は願書を書いた。自分が決めた高校の名前と学科名、自分の名前などを書き、その場にいた別の先生に提出。これで願書書き終了。

そして、あっというまに冬休み。夏休みは宿題に追われ、受験勉強を一つもやってなかった自分に後悔した。次は後悔しないようにと、宿題もしながら、高校の過去問や、本屋で買った問題集をした冬休み。宿題と受験勉強に追われながら、毎日夜遅くまで勉強を頑張ったあの冬休みがよみがえってくる。

3学期になり、焦り始めた受験生。授業中にもいろんな過去問を解いたり、休み時間にも友達同士で問題を出し合ったりと、あの時はほんとに忙しかった。

そして、いよいよ受験前日。今まで解いてきた問題集や過去問を見ながら総復習。この日は受験前日ということで復習をしてから、父親がその日の1週間前ぐらいに神社でお参りしてもらってきてくれた大事なお守りと、受験票、今まで使ってきた問題集などをバッグにつめこみ、早めに寝た。

受験当日の1月24日になった。私は、私立の専願入試を受けるので、この日が受験日だったのだ。緊張していたせいか、あまり眠れなかった。その日の朝、朝ごはんを食べ、歯磨きをして顔を洗い、髪を結んで制服に着替え、身支度完了。母が高校まで送ってくれると言っていたので、家族に応援メッセージをもらい、母の車に乗った。ドキドキしながら車に乗り込んだ。高校までは、約30分。車の中でもしっかり復習。

高校に到着。私は、同じ高校を受ける同じ中学校の友達を待っていた。ドキドキしながら待っていた。友達もその場所に到着し、友達と合流。2人で高校の玄関に入り、玄関先に貼ってある自分の教室が書いてある紙を見た。私と友達は、自分の教室の場所を確認した。私は友達と教室が別々だったため、その玄関で別れた。

そして、自分が受ける教室の前に来た私。ドアに手を置いた瞬間、今までよりもとても緊張した。ドキドキしながらドアを開け、自分の席に着いた。担当の先生が来るまで勉強をした私。同じ教室にいた、別の中学校の生徒も勉強していた。勉強していたら、担当の先生が私たちがいる教室に入ってきた。みんなも私も机の上に乗せていたものを全てバッグに入れた。その後に出席確認。自分の名前が呼ばれて返事をした。他に、どんな人が受験するのだろうと考えながら、他の人の名前を聞いていた。刻々と時間が経ち、あと少しで試験開始の時間だ。出席確認が終わり、みんなも私もバッグに入れていた、筆箱、問題集などを取りだし、最初の試験のための最後の勉強をし始めた。

そして、いよいよ試験スタート。試験時間は50分。最初は国語だった。私は、国語が正直苦手だった。でも、苦手な分、今までしっかり勉強してきたのだ。勉強してきた成果をこの試験で発揮できますように、と願いを込めて、自分の名前と受験番号を書き、問題を解き始めた私。解いていると、分からない問題を見つけた。それは、文章を読んで、その文章を作った作者の気持ちを自分で考えて文章にする問題。私は、それが一番苦手だった。過去問でも他の問題集でも解けなかった問題だった。父に、空欄はないように、と言われていたけど、その問題はどう考えても分からなかったので、空欄にした。次々に問題を解き、分からない問題もあった。でも、しっかり考えながら答えを書いた。そして、最後の問題。その問題を見た瞬間、私はとても嬉しかった。受験前日に勉強した問題と同じような問題が出題されていたのだ。だから、私はすぐに答えが分かったので、解答用紙にすぐに答えを書いた。それが終わったら、最後の確認。受験番号、自分の名前がきちんと解答用紙に書かれてあるか確認し、その後に、答えが間違っていないかを見直した。そして、試験終了のチャイムが鳴った。自分の解答用紙を見つめ、解答用紙と問題用紙の回収を待った。担当の先生が私のところに来て、私の解答用紙と問題用紙の回収をした。これで、本当に最初の試験が終わったのだ。そして、10分休憩。私はお茶を飲み、次の試験の勉強をした。みんなも次の試験の勉強をしていた。刻々と時間が過ぎていき、試験スタートのチャイムがなった。

次の試験がスタートした。試験時間は、国語と同じく50分。次の試験は、私が得意な数学だった。得意だったこともあり、自分の名前も受験番号も最初に書かずに、すぐさま問題を解き始めた私。得意な教科だから、問題が簡単に感じるだろうという自分の考えが甘かった。分からない問題があったのだ。一応最後まで問題を解き、最後にその問題をゆっくり解いた。ちゃんと考えて解いたけど、やっぱり分からなかった。私には解けない問題だと気づいたのは、試験終了ギリギリだった。そして、チャイムが鳴り、自分が書いた解答用紙を見つめていた私。私はその瞬間、泣きたかった。自分の名前と受験番号をその解答用紙に書き忘れていたのだった。もう私は落ちたんだと思ってすごく泣きたかったけど、試験会場だったので泣かなかった。解答用紙と問題用紙の回収をしている先生が、私の物の回収をする直前に、私は受験番号と自分の名前を書いてないことをその先生に伝え、すぐに名前と受験番号を書いた。私はほんとに泣きたかった。受験本番でこんな失敗をするなんて自分が情けなく思った。もう私は終わった、絶対に落ちたんだとその時思った。10分休憩中、みんなは次の試験の勉強をしていた。でも、私はただ1人落ち込んでいた。そんな風に落ち込んでいるうちに刻々と時間は絶っていった。次の試験の勉強もせずに、10分休憩は終わったのだ。

そして、試験開始のチャイムが鳴った。試験時間は、国語と数学と同じく50分。次の試験は英語だった。私は、数学の次に英語が得意だった。もちろん、英語の中でも苦手なところがあった。それは、リスニングと長文。でも、私立高校を受験したのでリスニングは問題にはなかったのだ。私はリスニングがなかったからとても嬉しかった。リスニングがあるといつも良い点数が取れないから。長文は、苦手な分、受験前日までしっかり勉強してきた。そして、解答用紙に手をつけた私。次こそは失敗しないようにと、解答用紙に最初に自分の受験番号と名前を書いた。あとは問題を解くだけ。問題を解いているうちに、私は気づいた。英語の方が数学よりもすらすら解けることに。英語の方が数学よりも得意じゃないはずなのに、その時は数学よりも解けた。分からない問題もなく、すらすら解けた。長文は問題にあったけど、前日までしっかり勉強してきたせいか、ちゃんと解けた。最後まで問題を解き終わったのは、試験終了のチャイムが鳴る15分ぐらい前だった。だから私は試験終了のチャイムが鳴るまで何回も自分が書いた答えを見直し、受験番号と自分の名前が解答用紙にきちんと書かれてあることを確認した。確認した後、チャイムが鳴り、同じ教室にいた人たちが一斉に嬉しそうな顔をした。筆記試験が終わったのだ。この日は、私立の専願入試だったので、筆記試験の教科は3教科で終わったのだ。でも、まだ受験は終わっていない。筆記試験の後は、昼食を食べ、そして次は面接試験。

筆記試験も終わり、あとは面接試験だけ。みんなも私も昼食を食べ始めた。玄関で別れた同じ中学校の友達と一緒に食べず、私は1人で食べ始めた。お弁当のふたを開けたら、中に1枚の小さな紙が入っていた。それは、母からの手紙だった。手紙にはこう書いてあった。

「あとは面接だけ。緊張せずに頑張ってね。」

とても嬉しくて嬉しくて泣きたくなるぐらい嬉しかった。お弁当はとても美味しかった。

そして……いよいよ面接開始。私が受けた高校は個人面接ではなく、集団面接だった。同じ教室にいた同じグループの人と一緒に、面接会場になっている教室にドキドキしながら入った私。母の言う通り、あまり緊張せずに面接担当の先生からの質問に丁寧に答えた私。中学校でも何回も面接の練習をした。今までしっかり練習してきた成果を発揮できるように頑張った面接。面接担当の先生が、私と、同じグループの人たちにこう質問した。

「自分がこの高校を選んだ理由は何ですか?また、自分の長所と短所は何ですか?」

その質問に丁寧に答える他の人たち。私は、他の人たちがどんな風に答えるのかを聞いていた。そして、私の番。私も丁寧に失礼のないように答えた。

「私が貴校を選んだ理由は、私が小さい頃に病気にかかり、入院した時に見た看護師の方の姿に憧れたからです。私の長所は、人に優しい所で、短所は、朝に早く起きれない所です。」

私は、自分のことを正直に丁寧に話すことが出来た。失礼のないように、話すことが出来た。まだ他にもいろいろ質問されたけど、その質問にも丁寧に失礼のないように答えた私と他の人たち。質問に答えているとあっという間に面接が終わった。ありがとうございました、という言葉を面接担当の先生に言って、面接会場を後にした私たち。面接が終わり、同じグループの人たちも私も、筆記試験を受けた教室に戻って、やっと終わったあ、という達成感を味わいながらの嬉しそうなみんなの表情。私も、やっと受験が終わったあ、と嬉しく思ったけど、やはりあの失敗が気にかかっている。面接が終わったらもう帰っていい、ということだったので、私も面接が終わった人たちも次々と帰っていった。帰りも母が高校まで迎えに来るということだったので、先に高校に到着していた母の車に乗り込む私。乗り込んだ途端に、母はこう私に言った。

「お疲れ様。」

私は、その言葉を聞いてとても嬉しかった。でも、私は、照れくさてありがとうも言わなかった。家に帰っている車の中で母は私にこう言った。

「試験はどうだった?」

私は、あの失敗のことを言わずにこう言った。

「面接は上手くいったよ。筆記試験は分からない問題が何個かあったけど、まあまあ解けたよ。」

母は、私の答えに対してこう言った。

「良かったね。ほんと良く頑張ったね。」

私は、その瞬間に、今まで我慢してきた涙が一気に込み上げてきた。泣いて泣いて泣きまくった私。今まで応援してくれてありがとう、と私は、母に伝えたかったけど、やはり照れくさくて、自分の心の中で感謝していた。夜遅くまで勉強していた私に温かいコーヒーをくれた母。一番私を応援してくれた母。私は、その母に一番に感謝したかった。

そんな風に思っていると、家に着いた。私と母が家に着いた時は、誰も家にいなかったけど、ずっとみんなの帰りを待っていたらみんなが帰ってきた。すると、みんなは私にこう言った。

「お疲れ様。」

私は嬉しかった。ほんとに自分は今まで頑張ったんだなあ、ほんとにお疲れ様、と自分で思いながら、その言葉を受け止めた。そして、その日は、何も勉強せずに早目に寝た私。

それから3日後。その日は、受験の合格発表だった。私はドキドキしながら学校に登校した。6時間の授業を受け、掃除をして、そして放課後に合格発表だった。私立高校は、県立高校のように自ら合格しているかを見るのではなく、担任の先生から合格通知をもらうのだ。放課後になり、その日に合格発表ではない人たちが帰っていった。残った、合格発表の人たち。私たちはドキドキしていた。同じクラスの、別の高校を受けた友達と不安に思いながら合格発表を待つ私。私は、正直不合格だと思った。あの大失敗があったから。その友達より先に合格発表だった私。廊下で発表だったので、教室にいた私は廊下に出た。友達は教室で待っていた。まだ先生が廊下に来ていなかったので、1人で待っていた。すると先生が来た。その先生の手元を見た私。その瞬間、私は自分が合格だと分かった。先生の手元には、私が受けた高校の名前が書いてある封筒があったのだ。とても嬉しかった。そして、先生と共に、廊下にある椅子に座って、いよいよ発表。先生の口から出た言葉は…

「見事看護科に合格です。おめでとうございます。」

という言葉だった。私は、ほんとに嬉しかった。嬉しくて嬉しくて、その場で嬉し泣きをした私。そして、先生に、

「ありがとうございます。」

と言った。合格発表はすぐに終わり、合格だと知った私は教室に戻らずに、すぐに家に帰った。合格発表が終わった人は、教室に戻らずにすぐに帰らなければならない、ということを先生に言われていたので、廊下に、持って帰る荷物を置いて、発表を聞いた私。靴箱に行き、靴を履いた私は合格通知の封筒を手に持っていた。それに気づいた、靴箱にいた別の先生にこう言われた。

「おめでとうございます。」

私は

「ありがとうございます。」

と答え、その封筒をバッグに入れ、すぐさま自転車に乗り、家に帰った。家に着き、合格したことを、家にいた母に言った。

「看護科に合格したよ。」

母は、

「おめでとう。」

と言ってくれた。私は、照れくさくて言えなかったあの言葉が言えたのだ。

「ありがとう。」

って。そして、母は私にこう言った。

「じゃあ、今からお父さんとかおじいちゃんとかに電話せやんね。」

私は、看護科に合格したことを早くみんなに知らせたかった。父も祖父母も家にいなかったから、最初は父に電話し、その後に祖父母に電話した私。父も祖父母も私に、

「おめでとう。これから頑張っていかやんね。」

と言ってくれた。私は、

「ありがとう。頑張るね。」

と答えた。私はほんとに嬉しかった。みんなに

「おめでとう。」

って言われて。嬉しくて嬉しくてたまらなかった。他にも色んな人に電話した。合格発表の時に一緒に教室で待っていた友達や他に仲のいい友達にもメールで、私が合格したことを知らせた。

みんなは、

「おめでとう。」

って言ってくれた。私は、

「ありがとう。」

って答えた。なぜか分からないけど、母には言えなかった、ありがとう、が父や祖父母、友達、先生には言えたのだ。今までで一番嬉しかったのが、高校に合格したことだ。でも、私は不思議に思った。受験当日にあの大失敗をしたのに、なぜ自分が合格したのか。だけど、合格したことがほんとに嬉しかった。そんなことを思っているうちに、妹と兄が家に帰って来た。私はすぐに、2人に、自分が看護科に合格したことを知らせた。妹も兄も、あの言葉を言ってくれた。

「おめでとう。」

そして、私は、

「ありがとう。」

って答えた。あの時の嬉しさは今でも覚えている。そして、私はみんなにこう言いたい。

「今まで応援してくれてありがとうございました。みんなが応援してくれたおかげで見事志望校に合格しました。ほんとにありがとうございました。高校でも一生懸命に頑張ります。また応援をよろしくお願いします。ほんとにありがとうございました。」

私は、特に母に感謝したかった。でも、口で言うのは照れくさいので、手紙で伝えた。

「お母さんへ。見事私は志望校に合格したよ。それは、お母さんが一番応援してくれたからだよ。ほんとにありがとう。高校でも頑張るね。看護科はとても大変だけど、くじけずに頑張るね。頑張って勉強して看護師になるね。ほんとに今までありがとう。」

母はこの手紙を読み、私に、

「手紙ありがとう。頑張ってね。」

と言った。私は、これから、みんなのため、そして自分のために勉強を頑張って行こう、って決心した。どんなに辛い時があっても、看護師になるぞっていう気持ちを忘れずに頑張っていきたい、って思った。

そして、それからもう1年が過ぎた。テストや勉強も、中学校の時とは比べものにならないぐらい難しくなったけど、一生懸命頑張ってきた。看護の勉強もとても難しかったけど頑張ってきた。2年生になったら、看護の勉強が増えるし、もっともっと難しくなるから、辛いことがたくさんあると思う。でも、看護師になりたくて看護科のある5年一貫の高校に入学したんだから、どんなに辛いことがあっても一生懸命頑張ろうと思う。

そして、それから4年後、私は立派な看護師として働いていることだろう。

ほんとにほんとに、みんな今までありがとうございました。

そして、お父さん、ありがとう。私が合格したのは、お父さんが願いを込めて祈って来たお守りのおかげでもあるよ。ありがとう。

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