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始まりを、私はよく覚えている。
『初めまして、我が国の守り神となる少女よ』
それが始まり。
神々しいまでに宝石をちりばめられたあいつの、汚い手が印象的だった。
でも、私の始まりはそこじゃない。
『おまえ、飯食ってないのか?』
そういって手を伸ばしてきた、少し小汚いあいつ。でも、その手はすごく暖かかった。
これが私の始まり。
終わりまでこの国につながれる、私の始まり。
早く、早く、と終わりを願いながら、私は終わらないでと願い続ける。
あいつの望みを、あいつの願いを叶えるまでは。