上空注意報!?
さて二話です。
感想などお待ちしております。
急に感覚が戻ったと思うと凄く明るい空間へと体が放り出されていた。といっても普通の感覚ではないような気がする。いきなり明るくなったせいか目が光りに慣れていないのでうまく周りを見ることが出来ない。とりあえず体の感覚でつかんだのは、風が強くて地面の上ではないってこと。ここまでで嫌な予感が拭えないのは俺だけだろうか。
「はぁ、ついてないなー」
口から理不尽に対する不満が漏れていく。ようやく目が慣れたので辺りを見渡す。想像通りに空中だった。少なくとも星が丸く見えるくらいの超上空である。展開としてはよくあることだけどさすがに勘弁してほしい。
「はてさて、どうしたもんか」
ポロポロ独り言が漏れていく。そうこうしているうちにどんどん地面は近づいていく。あと数分で地面にダイビングをしないといけないわけだがさすがに勘弁してほしい。
「………」
ふと、風の中に声が混ざっているのを感じる。こんなところまで声を届かせるのはありえないはずなのだが確実に聞こえた。いったいなんだというのか、そろそろ俺は限界なんだけど。
『……いよ、…ん…』
また声が聞こえた。今度はさっきよりははっきりと聞こえている。その上、チリチリと頭痛までしてきた。ホントにもうお腹いっぱいなんですけど、勘弁してください。
『危ないよ、飛ばなくちゃ!』
今度ははっきりと聞こえる。子供の声だ。飛ぶ、なんて無茶を言うのだろうかこの声の主は。生身の人間にそんなことができるわけがない。そこまで考えた時にふと思い出す。
あぁ、そういえば今現在理不尽で不条理で摩訶不思議なまさしく異世界召喚物の展開にそっくりでしたね。それなら空を飛ぶくらいは当たり前なのかもしれない。
そこまで考えた時に頭痛がふとおさまる。なんだったんだろう、いったい。
『ねぇ、聞こえてないの?』
ふと、あの声がする。気が付いた時には辺り一面に蛍の光のようなものが浮いている。だけど、普通なら驚くところなのだがそんなことはなかった。何故なら、俺はその光を見た瞬間にそれは精霊であると理解できていたことに驚いていたのだから。
『ねぇってばぁ………』
今にも泣きそうな声になってきてる。取り合えず返事をしなければ。
「聞こえてるから泣くなって」
『……かれこれ数分無視されてたんだけど、もって早く返事してくれてもいいんじゃないかな』
俺のログにはそんな事実は存在しません。
「そんなことより、助けてくんない?」
『助ける? なんで?』
「飛べないからに決まってるじゃないかよ」
『君は誰よりも自由に飛べるはずだけど?』
ふむ、とりあえずわかったのは話がうまくかみ合ってないってことなんだけどなー
「色々と質問したいんだが」
『答えてあげたいんだけど、そろそろ何とかしないと危ないよ?』
地面までもうあとちょっとだった。あれ、いつの間にここまで落ちたんだ?
『考え込んでるのがいけないと思うけど』
「うっさい」
『う~ん、ようやく君がどんな存在なのかが理解できたよ』
「それはよかった。んじゃ、そろそろ助けておくれ」
『やだ』
「………」
『………』
え、あれこの子俺を助けてくれるために来てくれたんじゃなかったっけ。なんで即答で断られてるんだろう。
「……理由は?」
『君には必要ないから』
いまいち理解できないんだけどいったい何が言いたいのさ。普通なら死んじゃうと思うんだけど。
『問題ないよ、君が何かしなくても。ましてや僕が助けなくても、何の危険もないから。というか今から何かしようと思っても間に合わないよ』
今度の発言も順調に意味不明だね、なんてところで衝撃がきた。どうやら地面に激突したらしい。その割には衝撃は少なかったけど。それでも痛みがないわけじゃないので打った背中が痛い。
「シュウ!!」
「やっと見つけたぞ、このバカが!!」
聞きなれた二つの声、幼馴染の声だ。声のもとを探して辺りを見渡す。
どうやら、建物の中に落ちたらしい。結構薄暗いなぁ、何て思って現実逃避。幼馴染を視界に収めることには成功したものの、なんでみてしまったのかと後悔した。
「………」
「怪我は無い!? 大丈夫!?」
「てめぇ、いらぬ手間を掛けさせてんじゃねぇよ!!」
「………とりあえず聞いていい?」
「どうしたの?」
「んだよ?」
深呼吸。吸ってーはいてー、吸ってーはいてー。
「なんで、いかにもお姫様って女の子は怯えてて、騎士様っぽいのはボコボコされてるのさ………」
「決まってんだろ、だって――」
「決まってるじゃないか、だって――」
「「シュウを危険な目にあわせたんだから」」
………もうやだこいつら
さて、どうでしたか?
今後の更新は週末になると思います。余裕があれば平日でも更新しますけどね
ではまた次回!