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違うよ
「コップに虫がいっぱい入っている」
母がうんざりした顔で私にそれを差し出した。
「コバエがまだ飛んでいるのかしら」
そう言いながら母は床をティッシュで拭きだした。
「なにやってるの?」
「虫が床にいっぱいいるの」
「うそ!?」
そばへ駆け寄り床を見ると無数の小さいアリが這っていた。
慌てて殺虫剤を取りに行きアリに吹きかけた。
動かなくなったアリを拭き取り、ゴミ箱に投げ捨てた。
「掃除ができないから虫が湧いてきたのかしら⋯⋯」
「⋯⋯違うよ。母さんのせいじゃないよ」
アリはまだ床を這っていた。




