表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界名簿に消されたクラスメイトを、俺だけが覚えている―出席番号ゼロとNGワード処刑官―  作者: のだめの神様


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/6

第一話 出席番号ゼロ②

 HRが終わると同時に、前の席の成瀬なるせが椅子ごと回ってきた。


「なつめ、起きてた?」

「起きてる」

「嘘つけ。顔が“出席=供養”だった」


「誰が供養されてんだよ」


 成瀬は笑いながら端末を取り出す。

 ホーム画面の一番手前に「名簿」アイコン。


「ほら見ろよ。今日の出席ランキング、うちのクラス二位」

「毎朝よく飽きないな」

「飽きる。でも見る。人間の業」


 画面には学年全クラスの平均遅刻時間がグラフで表示されていた。


「一位のC組、バケモンじゃね?」

「平均遅刻五秒って何」

「軍隊だろ。呼吸まで同期してる」


 くだらないのに、笑える。

 笑えるうちは日常だ。


 そのとき、後ろの席の女子が右隣へ声を投げた。


「藤崎ー、今日プリント回収当番だっけ?」

「うん。あとで集める」


 小さな返事。

 確かにこの教室にいる。俺だけの幻じゃない。


 藤崎しおりは、鞄のファスナーに透明な雨粒みたいなチャームを揺らしていた。

 金具が少し歪んでいて、いかにも外れそうだ。

 無意識に指先で弾くたび、ちい、と擦れる音がする。


 成瀬がふっと声を落とした。


「なあ。名簿から外れたら、どうなんの?」

「朝からやめろ」

「冗談じゃなくてさ。前に水町言ってたじゃん。“名簿に載ってないやつは、存在しないのと同じ”って」


 近くの席のやつが、ちらりとこっちを見る。

 空気が一瞬だけ固くなった。


 俺は笑って流した。

 笑わないと、こっちが“異常”側に寄る。


「……って、冗談冗談。はい解散」

「自分で振っといて逃げるな」


 成瀬は笑って前を向いた。

 でも、その笑い方がほんの少し浅い。


 二十四番の空白が脳裏で再生される。


 二十四番 ――

 「中」。


 覚えておけ。

 でも口に出すな。


 矛盾した命令が、胸の奥でぶつかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ