1先生
先生は毎朝、お母様へと線香を焚いてらっしゃる。先生は今日も線香を焚いて仕事へ出て行った。
先生は優しい人だ。
いつも笑顔で素敵な人。こんなわたしにも笑顔を向けてくれた。
「……まだかなぁ。」
先生の帰りを待つ。晩御飯の準備はバッチリだ。
居候の身だから、このお役目はしっかりしないと。
お膳を向かい側に置いて、そのお箸をわたしは見つめた。
「…………。」
ガラガラ
「ただいま。」
「あ、」
先生がいる玄関へと小走りで廊下を歩く。
「おかえりなさい。夕飯の支度はバッチリです。」
「あぁ、ありがとう。」
先生は鳥打帽と下駄を脱ぎ、居間へと向かった。
「「いただきます。」」
わたしは下を向いたから、前髪で目が隠れてしまった先生を見つめた。
「先生、今日はどうでしたか。」
「今日?今日も普通だったよ。」
と言いながら、先生はシャケをつまんだ。少し口元が微笑んだように見えて、わたしは嬉しくなった。
「あ、今日はね、お団子を貰ったんだ。英語の先生が僕にってね。」
先生はころころ笑った。ビー玉みたいだ。
「それは嬉しいですね!いいなぁ、団子。」
「それじゃ、明日買って来ようか?みたらしか草団子、どっちがいい?」
「え、わたしそう言った意味では……居候させてもらってるのに、贅沢は言えません。」
「いいよいいよ。僕が勝手に言ってるんだから。で、どっちがいい?」
照明がキラキラとご飯を光らせた。
「……え、っと、」
「どっちもにしようか。」
そう言って笑いながら今日は晩御飯を済ませた。
片付けも風呂も終わった頃、先生がわたしの部屋へと顔を覗かせました。
「ねぇ、なにか手紙届いてなかった?」
「今日はなにも…………ありました!ごめんなさい。先生のお兄様からです。」
と、机の上に置かれた手紙をとり先生に渡した。
「兄さんから?」
「はい……、」
先生は妙に顔をしかめてらっしゃる。そんなにしかめたら、綺麗なお顔が台無しだ。
「……ありがとう。」
「あ、先生、」
黒く沈んだ瞳は照明の光すら通らない。
「最近、先生お疲れでしょう?なにかお茶でも淹れましょうか?」
「知ってたんだね。大丈夫、一寸生徒の事で手こずってるだけだよ。」
「……お早めに就寝になって下さいね。」
「うん、ありがとう。」
先生→学校の教師
よもぎ→先生の家に居候




