表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小村良太と天野翼は一つになる テーマ『身長差』

作者: ヒナツ

 働かない生徒会長に代わり、自分で作成した書類を自分で確認していく俺。

 ハンコを押していくが、途中でまったく出なくなってしまった。

「翼、ハンコ無くなったんだが」

「そりゃいつかは無くなるでしょ。補充しなさいな」

「インクってどこだ?」

「あなたねぇ……」

 俺はそれほど記憶力が良くないので、備品の場所すら覚えていない。というか頼んでも頼まなくても翼がなんでもやってくれるので、覚える機会が無い。

「ほら、貸しなさい」

「頼むわー」

 インクの補充をしてもらって、仕事を再開する。

 そんな俺を、翼は隣で眺めていた。

「仕事は終わったのか?」

「ええ。私くらいになると、会計の仕事なんか一瞬で終わっちゃうのよ」

「さすが理系最強」

「そういうわけで、仕事増えたわよ」

「なんで高校の生徒会でこんなに書類あるんだ?」

「ウチの書記は優秀だから」

 そうだな。書記とか言って会長の仕事もやってるし、なんなら俺が主催(強制的にやらされた)のイベントも何個も抱えてるからな。

「生徒会ってなんなんだろうなぁ」

「仕方ないわよ。ウチの良太は、特別なんだから」

 背後から抱きしめられる。彼女の体格はそれほど大きいものではないが、いかんせん俺が小さすぎるので、まるで全身が包まれるようにすっぽりとハマってしまった。

「こうして圧迫されるの、好きだったわよね。今日は頑張ったし、ご褒美あげるわ」

「いつも言ってんな、それ。というか、別に圧迫されるの好きとか言ってないんだが」

「いいえ、良太はこれが好きなの」

 断言するじゃん。俺の趣味趣向が翼に決められてしまった。

 っと、ふと、時計へと目が向いた。

 どうやら時間のようだ。

「翼、ちょっと退いてくれ」

「ダメよ」

「なんで?」

 無理矢理退かそうとするが、一向に離れてくれない。

「俺これから部活なんだけど」

「ダメよ」

「だからなんで?」

 このままじゃ部活に行けない。一体どうしたものやら。

「部活って、あの女が居るところじゃない」

「そうだな」

「高身長の女」

「そうだな」

「あと、胸がデカい女」

「翼。高身長とか、胸のこととか、人の身体的特徴について、あまり言及するものではない」

「でも事実でしょ? あそこには、アンタの好みのタイプが揃ってる」

 俺、好みについて言ったっけな? というか好みとかないんだが?

「私と同じタイプの女が揃ってる」

「おい、俺の好みを勝手にお前にするな」

「そんなの許せない」

「聞いて?」

「他の奴に取られるくらいなら……私の……」

 私のモノにするって? またありがちな展開に――

「私の中に……!」

「どういう展開だよ!?」

「良太を圧縮して、一生私と一緒になるの!」

「そんな訳の分からんシチュエーションじゃ、俺も対応できないって! っちょ、はなっ、抱きしめるなっ! ……やめ、やめろぉぉぉぉぉ!」

 そうして俺は、翼になった。(融合)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ