お手柄
1995年 リムソンシティ 中央区
「助かったぜ!」ダベスは風俗店内の死体処理を終えた掃除屋のリーダーに封筒を渡す。リーダーは笑顔で封筒を受け取った。「問題ねえさ。部屋はぴかぴかで血痕の一つも見つからねえ。多分建築直後レベルだぜ!まああの悪趣味な壁画を除けばだがな・・・俺は白人だがユダヤ人でな。ネオナチは嫌いだ。部屋で死んでたレイプ野郎どもは皆・・・溶かして下水に流す予定さ。」「ははあ、奴らが本来行くべき場所に送ってやるんだな?」「そう、その通りさ!ハハハ・・・死体処理に困ったらまた俺たちに頼め!」「ああ、よろしくな。」
その時一台の車が入ってくる。黒のカローラだ。ライアンは慌てて知らせる。「車が来ていますけど!?」
「おっと・・・白人だな。銃を構えておけよ!」パッチドが仲間に指示する。ダベスもピストルを抜き取った。
黒のカローラからオールバックで細身の中年白人男が下りてきた。彼はゆっくりと歩いてくる。武器を持っているギャング集団にもビビらない様子だ。「止まれ!」ピストルを上げながらダベスが叫ぶ。男は少し眉を上げると軽く笑いながら手を挙げた。「怪しい者じゃない。まあ君達にとって不愉快極まりない連中に物件を貸していたことはすまないかもしれないが・・・」「何だって?」困惑しながらダベスが聞く。「ああ、私の名前はエドウィンだ。不動産をやっている。君達が恐らく殺したであろうレイシストに私はこの物件を貸していた。商売が下手くそな叔父が遺した廃モーテルを使ってホワイトパニッシャーズと取引したんだ。ああ、誤解しないでくれよ。私は彼らが掲げる白人至上主義なんてものには興味ない。ただ奴らは私に経済的貢献をしてくれる存在だったんでね・・・」「俺らが殺したレイシストってのがよく分からないが・・・・」とパッチドが言うと男は謎めいた笑みを浮かべる。「私は君達の殺人について推測しているがこの件について警察と話す気は全く無いし、追及する気もない。私は詳細を知らないがゲイリーというあのギャングは君達にとってはとんだ下衆野郎なんだろ?君達の私刑には理解を示す。その点は心配ない。だが、いくらクズでもゲイリーは私の財布に貢献していた。どんな活動をおこなっていたかは関係ないし、知りたくもない。ただ事実としてゲイリーは・・・その・・・」「あんたの金づるだった?」とダベス。「まあ、そんなところだ。」「分かったぞ!俺らがそのゲイリーを殺したもんで困ってるんだろう?」「ああ・・・遠慮なく言わせてもらえばそういうことになる。そこで・・・知らぬことで申し訳ないが・・・君達に私の損失を埋めてもらいたい。」「なるほどな・・・俺たちはあんたがゲイリーから金を得ていたとはしらなかったがな・・・」「そうだろうとも。だけど事実として・・・いいかな、あくまでも事実としてだ・・・君達のしたことによって私の金づるが失われた。」そのとき別の構成員が口を開いた。「俺たちにどうしろと?」「理解を示してくれて感謝している。できればこの建物を買い取るか、借りるかしてほしい。まあ借りることをお勧めするがね。買い取るとなると一括でかなり高い金を用意してもらうことになるが、賃貸ならば月々家賃を分割して払ってもらう形になるからな。それに、賃貸であればここで何か商売をやってもいいだろう。私はその利益の一部を貰うという形になる。」ダベスは仲間と顔を見合わせた後、答える。「分かった。検討してみよう。ボスが来てねえから即決は出来ねえ。」「構わんとも。一週間後をめどに決めて欲しい。」「分かった。ところであんた・・・」「うん?何かな?」「もし俺たちがあんたの損失を埋めることを断ったら?」「そうすると・・・警察の前で私が口をすべらせてしまう確率が高くなるな。」と言ったあとに男はにやり、と笑って車に乗り込んだ。
5時間後 リムソンシティ サン・ドリル地区
「こりゃ・・・すげえ家だな。」二階建てのプール付きの家を眺めながらライアンは感心していた。「だろう?ここがボスの家だ。今から幹部会議がある。上級構成員だけで話し合うのさ。お前ら兄弟は家の前にある車で待機だ。見張ってろよ。」とダベス。「了解ブラザー」とピストルを見せながらパッチドが言う。
ピンク色の服とバンダナ、そして全員同じピンク色の腕輪を付けた上級構成員達がボスのデゥラハンの家に集まっていた。「よし、ダベスからだいたいの経緯は聞いている。ダベス、すまんが皆の前でもう一回説明してくれ。」とデゥラハン。ダベスが口を開き、ネオナチ連中に物件を貸していた男の事を説明する。「奴は俺たちを脅してきた。奴の提案に乗らなければ警察に殺人のことをばらすと脅してきた。奴の提案に乗るか・・・消すしかない。」とダベスが言ったあと緊迫感のある沈黙が流れる。
「あれ、まずいかな?」ライアンは近づいてくるパトカーを指さした。「ああ・・・分からねえな。一応知らせてくる。」と言ってパッチドが車から出て行く。
その直後パトカーがパッチドの車に横付けするように停まる。中から二人の制服警官が出てきた。リムソン市警の者だ。「やあ!」と陽気に挨拶する警官。ライアンは膝の上でピストルを握りしめながら言う。「やあ!どうした?」「ああ・・・実はな、近所で殺人事件があったんだ。三つ南のブロックでな。ハイチ人ギャング『レッドスパロウズ』の連中が公園でバーベキューを行っていたら黄色の覆面を付けた男とピンク色の覆面を付けた男が一人づつ公園に入ってきて五人のメンバーを撃ち殺した。」「ほう、分からねえな。俺はその事件を目撃してねえし犯人の男達も見かけてねえ。これでいいか?」すると警官の一人がすこし口角をあげて言う。「そうか・・・犯人二人のうち一人はイエローアサシンズ、もう一人はピンキーライオンズのメンバーだと我々は睨んでいる。どっちもハイチ人嫌いのギャング団だからな。」「そうか・・・まあ捜査頑張ってくれ。」「ああ、ありがとよ。また何かわかったら最寄りの交番までな。」「ああ、分かった。良い一日を、刑事さん。」「良い一日を。」
直後戻ったパッチドにライアンは警官達が殺人事件の捜査をしていることを説明した。それを聞くとにやり、と笑いパッチドが言う。「そりゃ困ったな・・・ピンク色の覆面の野郎はパッチドって名前なんだぜ!」「くそ、まじかよ!」「ハハハハ・・・」
その時デゥラハン邸の玄関のドアが開き、上級構成員達が出てきた。「会議が終わったようだな。俺たちは今夜ダベスの家の裏の公園に集まる。会議の内容は奴から発表されるだろう。」
8時間後
公園はピンク色のバンダナとピンク色の服を着たメンバー達十数人程度で埋まっていた。その中にはライアンとパッチドもいる。皆ベンチに座り、緊張した面持ちで前に立つダベスを眺める。「ようし、チームの重要な決定について伝える。」とダベスが口を開く。
「結論から言うが、我々はエドウィン爺さんの提案を飲むことにした。俺が明日奴に連絡を取って賃貸契約の手続きを開始する。」「ほう、なるほどな。どんな商売をやるんだ、兄弟?」と聞いたのは小太りで赤ら顔の陽気そうな男だ。「いい質問だな、バイニー。結論から言うとモーテル経営だ。」「モーテル経営?儲かるのか?」と疑問を呈するのはパッチドだ。するとダベスは少し笑うと言う。「モーテル経営はあくまでも表の商売だ。モーテルの一室を使ってヤクの仲卸をやる。パイレーツのディーラーがそこでさばく。貧民街のネットワークを使って中央区の買い手を数人見つけてある。ヤクの利益はモーテルの利益分に入れる。そこからエドウィンに賃料を払う。」「おう、いいね!」とバイニー。「それからモーテルの半分をブルーライオンズに貸す。デブラ婆さんが店のサービスの拡大を望んでいてな、女の子とのいちゃいちゃサービスをオプションで付けることにしたんだ。それがモーテルのお持ち帰り部屋だな!」それを聞いてパッチドは笑い、こっそりとライアンにささやく。「デブラの店は一度行くといいぜ!あそこには可愛い女がいっぱいいる。」「ふん、俺はグテーレスで十分さ。」「ハハ、そうだな。大切にしてやれよ。」
「ああ。それからだ。モーテル経営のためにメンバーを何人か中央区に派遣してえんだ。用心棒二人は既にブラナーとダッツがいくことが決まってる。そこにブルーライオンズ提供の二名が加わる。清掃員は先日ネオナチから救出した女の子のうち何人かがやってくれることになってる。そしてフロント係だ。ライアン、お前に任せたい。」「お、俺ですか!?」「そう・・・お前だ。電話予約の受付と鍵の管理を頼むぜ、兄弟。」「・・・・了解、兄弟!」
家に帰った後、グテーレスにライアンは抱き着いた。「な、何よ!いきなり・・・」「初仕事だ!お前はもうストリップクラブの店長に辞表を提出しちまえよ!でも中央区には来てくれよな。『ライオンシティ』っていうモーテルだ。そこに・・・フロント係の俺がいる!」その話を聞いたグテーレスはきょとん、としている。「どういうことよ?まさかあなた・・・ギャングを諦めてくれたの?」「ああ・・・違う。ピンキーライオンズが新しく商売を始めたんだ。それがモーテル経営さ。詳しいことは言えないけど、いい物件が手に入ったんだ。そこで俺らはモーテルを経営する。是非泊ってくれよ!」だがライアンの興奮とは対照的にグテーレスは冷めきっている。「ええ、そう。そのモーテルの裏稼業は何かしら?」「ああ・・・その・・・ヤクの取引だ。」「全く・・・」「だけどな、だけどだぜ、俺は関与しない。売人グループのパイレーツの連中が仕切る。俺は表稼業のフロント係だ。一般客の相手をする。」「ふうん・・・『客』としてハイチ人やラキア人、メキシコ人が来ないことを祈るばかりね・・・」「おいおい、安心しろ。モーテルの経営主体がピンキーライオンズなことはバレてねえ。物件を貸す不動産の野郎は知ってるが、外部の客は知らねえよ。」「馬鹿ね!よく考えて見なさいよ!黒人しか従業員がいないモーテルなんて、怪しいでしょう!サン・ドリル地区内にあるならともかく中央区よ!」「はあ・・・お前は心配性なんだ。まあいい。とにかくな、はやくストリップクラブの奴らに辞表を提出しろよな。」それを聞いてグテーレスは深い溜息をつく。
二日後 中央区
「今日はヤクの買い手が三人来る。18号室を予約したという客がそうだ。予約の帳簿には載ってねえ筈だが俺たちで手続きをすませてある。」と18号室で麻薬を卸している「パイレーツオブサンドリル」の売人ドリアンが言う。「了解!」と答えてライアンはカウンターに向かう。いよいよ仕事開始だ!
2時間後
「はい、七号室ですね!」やってきたトラック運転手の男にライアンは七号室の鍵を渡した。
思っていたより簡単な仕事だ。予約を帳簿にメモして客が来たら帳簿を確認して鍵を渡す。その繰り返しだ。ギャングらしくない仕事だが、安全だ。
「よし!」外にトラックが停まったのを見てライアンは帳簿に向き合った。「ええと・・・五号室に二名ね!」どうやら二人の男が予約したようだ。彼は五号室の鍵を取るとカウンターの上に置き、待つ。
ドアが開き、トラックから降りてきた二人の男が入って来た。「いらっしゃい・・・」そう言って客の顔を見たライアンははっとした。彼らは警官だ。一人はアロハシャツ、もう一人は作業着を着ているがそれでもライアンは彼らが警官であると断言できた。二人は先日声をかけてきた警官二人組だ。リムソン市警の警官だ。わざわざモーテルに泊る必要はない。警官としての仕事が無い限り。
ドリアンは内線電話を取る。「よお新人、どうした?」「実は今・・・警官が二人部屋を取った。」「何だと!確かなのか?」「ああ、確かですぜ。実は先日俺と兄さんがボス達の会議の警護をしていたとき声をかけてきたサツがいました。そいつらと顔は同じだ。恰好はトラック運転手だが間違いない。」「くそ!ここがピンキーライオンズの経営下にあることは俺等とブルーライオンズ、エドウィンしか知らねえ筈だ。恐らくギャングではなくヤクの取引の事がバレたんだろう。」「そうかもしれない。一応奴らに怪しまれないように5号室に通したけど・・・」「くそ!5号室は俺のいる部屋の向かい側だ!奴ら、恐らくヤクの取引中に18号室に入ってくるつもりだろう。そして・・・次に予約した野郎は恐らくおとり捜査官だろうな。たぶんサツの情報屋として働いてる売人だ。」「どうする?予約をキャンセルしますか?」「いや、いい。用心棒に伝えてくれ。売人の野郎が来たら奴を裏に連れて行けとな。」「分かった。じゃあ・・・」「ああ・・・ところで新人・・・」「何です?」「でかしたぞ!お前の電話が無きゃ事態に対処できなかった。」「当たり前のことをした。とにかく用心棒に対処を任せる。」
数分後、背の高い細身の男が現れた。サラリーマンが着るような安物のスーツを着ており、小さめのバックパックを背負っている。「溶け込むのが上手いやろうだぜ・・・」とライアンは思った。
その男が入り口を入ったとたん、彼の目の前を二人の大男が塞ぐ。用心棒のブラナーとダッツだ。「ああ・・・何か問題か?ヤクを買いに来たんだが・・・」と男は小声で言う。するとその腹に冷たい物が触れた。「このスニッチ野郎。」ナイフを突きつけながらこちらも小声でダッツが言う。売人は目を見開いた。「どうしてそれを・・・」「細かいことはいい。とにかく・・・このピストルは没収だ。」ダッツは売人の体をさぐり、ベルトに差し込んであったピストルを抜き取った。「お、俺はどうなる?」と不安そうな売人。するとブラナーが顔を近づけてささやく。「俺たちの言う通りにしろ。」
「先ほどメールが来た。予約した部屋に入るようだ。」とレイエス警官が相棒にささやいた。「そうだな。奴は私たちが突入するタイミングで価格に不満を述べる手筈だ。奴の怒鳴り声が聞こえたら突入しよう。」とパック警官。
二人はピストルを取り出すと入念にチェックする。そしてレイエス警官は電話をかける。「突入の準備をする。用心棒どもに感ずかれないようにパトカーを降りて道を渡り始めてくれ。モーテルの敷地の入り口付近で待ってろ。」どうやらモーテル全体を制圧するため、応援を呼んでいるようだ。
鍵穴に目を当ててパック警官がつぶやく。「ボニーが部屋にはいったぞ!」「よし、いよいよか・・・ん?」しかし売人のボニーは困惑した様子で部屋から出てきた。「なんだ?」と不審がるパック。「どうした?」と聞いたレイエスに対してパックは答える。「ボニーの様子が変だ。」「何だと?どのようにだ?」「ああ、変な顔して部屋から・・・っておい!」
ボニーは廊下を見回して人がいないことを確認すると二人が泊っている部屋に近づき、一枚の紙きれをドアの隙間から差し込んだ。「何だ、こりゃ?」
紙切れには「『ラウルパーク』の裏口に来い。この紙がモーテルの清掃員の奴らに見つからないことを祈る。」と書かれていた。
ボニーは警官達のいる部屋のドアを一瞥すると18号室に入っていった。直後、レイエスの携帯にボニーからメールが来る。「モーテルの奴らはグルだと思っていたがそうじゃねえらしい。ディーラーはかなり慎重な奴だ。モーテルに紙切れを置いておいてそこに取引の場所を書くって訳だ。指示を待つ。」
売人ボニーはメールを送るとバスルームの扉を開けた。「大丈夫だ。サツは欺けたと思う。」「よし、よくやったな。スニッチ行為は許してやろう。こっそりこいつを売ってやるよ。そのバッグに隠してもってけ。」バスルームから出てきたドリアンは机の上にある二つの麻薬の包みを指さした。
30分後 中央東区
「よし、ほらよ。」メキシコ料理店「ラウルパーク」の裏口で店長のラウルが配下の売人にヤクを隠したバッグを手渡した。「貧民街で売りさばいてこい。」
だがその時パトカーが走ってきて急停車した。「くそ!中に入れ!」ラウルは出かけようとした売人を引き留めたがもう時すでに遅く、数人が警官に捕まっていた。
「少し話を聞かせてもらおうか。」とレイエス警官がラウルに歩み寄って言う。
翌日 サン・ドリル地区
「新人、お手柄だったな!お前が客をサツだと気づかなきゃ俺らは全員逮捕されてたぜ!」ダベスがそう言いながらデゥラハンの家に入っていった。その後に続くドリアンは「お前、すぐにピンク色の服を着れるようになるぜ。」と言う。
ライアンはにやり、と笑って兄を見る。パッチドもかすかに微笑む。「ボスに気に入られたかもな。」というとパッチドはトラックに乗り込んだ。「お前の力量が分かった。ここの見張りは任せる。俺は貧民街にヤクを届けてくる。」ライアンは「ああ、気を付けて。」と言うとデゥラハンの家の玄関の階段に腰かけて綺麗な夕日を見た。
「新人がか!でかしたな。」とデゥラハン。「ああ、それにしてもサツのほうが新人の顔を覚えていねえとはな。」とダベスが答えると笑いが起こる。「間抜けな野郎どもだぜ!」と最も若い上級構成員アブデゥライが笑う。「ところでだ!」皆の笑いを鎮めるようにデゥラハンが手を上げる。皆は静かになり、彼に注目した。「今回の件は新人のおかげでうまく回避できたがあそこでヤクの取引をするのはリスクがあることが分かったな。」「ああ、そうだ。ヤクの取引に変わるビジネスを見つけねえと。」と口を開くのはドリアンだ。「ああ・・一つ提案だ。」「何だ?アブデゥライ?」「あの建物はブルーライオンズに売ろう。奴らの商売をあそこでさせる。」「ああ、エドウィンへの対応としてはいいかもな。だけどアブデゥライ、サイード・カルテルに発注したヤクはどうするよ?」とドゥラハン。そのとき隅に座っていた「パイレーツオブサンドリル」の総長アブデイが手を挙げた。「そのことなんだが・・・実は大口の取引を打診されている。組織的取引だ。」「ほう、どんな連中だ?」と聞いたのはパイクという幹部だ。「ジャカシティのプエルトリコ人だ。ハロルドって奴だ。用心棒の手配師をしてる奴でな、奴は用心棒をジャカシティ中のカジノやバー、クラブやホテルに派遣してる。そいつらを通じてヤクを広めたいらしい。」「ほう、いいな。だが信用できるか?そもそも何故離れた町の俺らからヤクを買おうと?」「ジャカシティ内のヤクは皆他の組織が扱ってる。ハロルドは最近ヤクの取引を始めようと思ったが仕入れ先は皆他の組織と取引していた。そこで奴は別の麻薬を扱おうと考えた。例えばラキア系カルテルが扱ってるものとかな。」「ほうほう、それでここに来たか。」「サイードのヤクはサン・ドリル中に出回っているが俺らソマリア系が一番扱う量が多いからな。それで、信用できるかと言う点だが・・・多分信用できると思う。奴は俺が取引相手を見極めようとしているのを知っていた。先日・・・シルバーウルフの連中の死体を持ってきたからな。」「ハハハ。そりゃ驚いたぜ。じゃあ・・・新たな取引を開始するか!」デゥラハンはわくわくして叫んだ。