表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/55

54話 新たな出会いは吸血鬼の姫

勇者と別れの日が来た、男子にはあげられるものは思いつかないけど女子には少し多めに生理用品を渡しておいた。もちろん雫にもこっそり渡して置いたので何かあっても大丈夫だと思いたい。


「ミラちゃん、少しの間だったけど本当にお世話になりました」

「ここに会いに来れるかわからないけど会いに来るからね!」

「フハハハッ!この俺も次会う事があれば強力なるチカラを得て…何かしようではないか!」

「滝くん…そこはちゃんと決めておこう?それとその話し方ちょっと痛いよ?」


桃花から言われた言葉で滝は涙を……流す事は無かった。どうやらもう慣れてしまっているらしい。


「賑やかなあなた達が居なくなるとココも静かになるわね」

「ですね、この近くから離れれば魔物と戦う事になるから頑張れっ!」

「リィアちゃんもありがとう!出来るだけ気をつけるからね」

「それじゃそろそろ行きます!三人ともお元気で!!」

「またね!!」


名残惜しそうな顔をしながら旅に出る勇者達の背中を見つめ、姿が見えなくなるまでは見守る事にした。


「行っちゃいましたね、ミラ様悲しそうな顔してる」

「ミラ大丈夫?私と姉さんも居るし他の子達だって」


慰めてくれているのはわかるし嬉しい、一生の別れでは無いと祈ってはおこうかな。


「それじゃ帰りましょ!」

「はいっ!あ、そう言えばレオ達が後で話があるのでミラ様に会いたいって言ってたよ?」

「そうなの?何だろ…問題は起きていないと思うんだけど、取り敢えず帰ったら会いに行ってみるわね」

「了解です!」

「私は姉さんにまた色々作ってもらおうかなぁ?ニシシッ」


少し悪い顔をしながら笑うリィアだけどだいたい何を作ってもらうのかは想像がつく…。止めはしないけどね?



―――その後



帰って来たミラは取り敢えずレオの居る所に向かいました。一体なんの話しだろうと思いながらレオ達の住むエリアまで来た。


「あれ、姫だ!こんな所までどうしたの?」

「ちょっとレオに呼ばれちゃってね、ルナはレオの居場所知ってる?」

「うん、知ってるよ!背中に乗って案内するから」

「う、うん……お願いだからあまり激しく走らないでね?」

「もちろん!」

「それならよかっ……!!」


背中に乗ってしっかり掴んだ瞬間に全速力で走り出した……どうやら私がさっき言った言葉は無意味だったようです…。でも良かった、今日は既に色々済ませてきた後で…本当に良かった…。あんな姿もう二度と…!!


「ルナ…もう少し…遅…く……」

「姫何か言った?もっと速く走った方がいい?」

「違っ…もう少し遅くって!!!」

「うーん……無理っ!!!走るの気持ちいっ!!!」

「このバカルナぁぁぁっ!!!!」


私の声は森の中に響いたのだった……。


「はぁ…はぁ…着いた……?」

「着きましたっ!ちゃんと運べて偉かったでしょ」

「偉かったけど…次からはもう少し遅く走ってちょうだい……私の体が持たないわ」


いくら頑張って掴んでても限度があるからね、身体強化して全速力を耐えられるくらいだから使えなかったり魔力が足りなかったら確実に振り落とされて大怪我してるわ……。


「それでレオは何処にいるのかな?」


私がそう言うとレオらしき姿の子が小屋から出てくるのが見えた。


「お嬢!こちらまで足を運んでもらいすみません!一応報告をしておこうと思いまして」

「それで報告って何かしら?」

「若い風狼(エア・ウルフ)が勇者の後をこっそりついて行ってしまったのでその後報告を…」

「それ本当?大丈夫なの?」

「大丈夫だとは思いますが、もし死んだらわかりますので」


この子達の力かな?一応私の眷属になっているから何処にいるかも大体はわかる…。確かに数体ここから離れた位置にいるみたい。命令とかして帰ってこさせる事って出来るのかな?……試してみよ。


「私から離れし眷属よ、私の呼びかけに応えあるべき場所に戻りなさい…」

「お嬢?何をしているのですか?」

「姫がなんか呪文唱えたように見えたよ?」

「成功するかわからないけど、今君達は私の眷属でしょ?それならもしかしたら呼び戻せるかなって」

「なるほど、全然わかりませんがお嬢なら出来そうです!」

「同じく全くわかんないけど姫ならなんか出来そうっ!」


よくわかってなかったのね…まぁいい。でもこっちに向かっている様子は無さそう?あれっ?反応が消えた……。


「ん?…あの子達の反応が消えた」

「俺には何もわかりませんが死んではいませんね」

「姫っ!レオっ!何か気配がするっ!!……魔法陣?」

「念のため警戒して!!なぜこんなところに魔法陣が?しかも急に……」


赤紫色をした魔法陣が輝きながら何かを召喚しているように見える…その場にいる全員が警戒していると、さっき消えた反応が目の前の魔法陣からしたのだ。どういう事なのか私の理解が追いつかない。


「こいつらは勇者達を追いかけて行った若いのだ」

「でもどうやってここまで?魔法陣から急に現れたよ?」

「うーん、召喚魔法にも見えるけどそもそも召喚で出してはいないからそんな事私には出来ないし…なんだろ?」


色々考えたけどよくわからなかった。アルゲンにでも聞いてみようかな?もしかしたら知っているかもだし!


「これで用は済んだみたいだから私は帰るわね?少し考えたい事もあるからまたね」

「お嬢送りましょうか?」

「……遠慮しておくわ…お客さんは来るけどまだ時間あるから」

「そうですか、ではお気をつけて」


本当は送って欲しいけど…レオの走りはこの中だと1番早いし乗れば多分…下着汚す事になる気がする…。流石にもうそんな経験はしたくないので。……私は歩きながら念話でアルゲンにさっき起きた事を話してみた。


「ふむ、お嬢さまの話が本当だとすれば…それは眷属を自身のいる場所に呼び出す、又は呼び戻すと言う魔物が使う魔法の一種でしょうね」

「人間は使えないの?」

「はい、残念ながら人間では扱う事は出来ませんね。過去に試みた者もおりましたが失敗に終わっています」

「そうなのね、教えてくれてありがとう!」

「いえいえ、これくらいの事でしたらいつでもお聞きください」


念話を終了した私はある事を思った、私は人間ではなく魔女なんだなぁって。でも魔女って人間じゃないなら何なのかしら?魔物…ではないと思いたいかな。


「それより準備を始めなきゃね」


私はミリス達を呼びこれから来る人達の準備を始めた。来るのはまだ先だけど今から準備しておければ楽だからね!本当なら私の住んでる場所まで来て欲しいけど多分入れないと思うし…。


「ミラ様これここでいい?」

「ん?あ、それはあっちに運んでおいて」


ミリスは飾り用の剣を持ってきて置く場所を聞いてきたので取り敢えず荷物が置いてある場所を指して運んでもらった。


「ミラこれはどうする?来る人達に渡す物だよね?」

「そうね、壊れたら困るからそれはまだ木箱に閉まっておいてくれる?」

「わかった」


ちょっと名前忘れちゃったけど来た時に自己紹介はすると思うし。ある程度準備を終わらせたら後は来る日を待つことにした。



―――協定当日



「ついにこの時が来たか、ザクロ準備はよいか?」

「準備出来てるぜ」

「私も準備出来ております」


ザクロもベロニカも準備出来ているようだ、我は何の準備もできておらん…。昔から準備はすべてベロニカや周りが勝手にしたくしていたからな。


「ふっふっふ…では行くとするか」

「はい、空を飛んで行った方がよろしいですか?」

「そうだな、そう言えばザクロは…」


ザクロの方を見ると両手を上げて手首を振っていた。


「残念だが俺は空は飛べない」

「いつも被ってる呪いの仮面?で何とかならないの?」

「そんな便利なもんあったらとっくに被ってるぜ」

「確かにそうか…ならザクロは走って来てくれ、出来るであろう?」


はぁっとため息をつくと出来るだけ努力すると言い走る準備をするのだった。


「では行くか!」

「参りましょう、お相手をお待たせするのもよくありませんからね」

「了解だ、そりじゃ俺は先に行かせてもらうぜっ!」

「出来るだけ見失わないようにはするがお前はも気配を消しすぎるなよ?」

「あいよっ!」


ザクロが走り始めその後を空を飛びながら後を追う。飛ぶ速度はかなり早いはずなのだがザクロの走りに全く追いつけない。しかも全速力で走っていないからまだ追えていると言うものか。


「姫様平気ですか?お体に問題はございませんか?」

「我は大丈夫だ、ベロニカの方は平気か?」

「はい…それにしても相変わらずザクロは早いですね」

「うむ、本気で走られたら姿を追えるか心配だ」

「確かにそうですね…私でも捕まえるのは難しいかと思われます」

「そうか、そう言えば今向かっているのが魔法都市だったか?」

「合ってはいますが元魔法都市で現在は滅んでおります」

「そうだったか」

「姫様…お願いですのでお相手を刺激しないでくださいね?」


しないと思うが…絶対とは言い切れないのが困り者だな。その時は全力で謝罪するか、闇鴉が付いているのがかなり厄介だ…。さらに速度を上げて走るザクロを追いかけるようにこちらも速度を出来るだけ上げた。なぜ急に速度を上げたのかはわからないが思ったことが一つだけある。……嫌がらせか?っと、まさかそんな訳…無いよね?


「姫様、どうやら近づいているようですね」

「そうみたいね、気配は隠しているようだが(かす)かに感じるこの魔力…確かに闇鴉より強い」

「これは本当に刺激してはいけませんね……」


実際この気配の持ち主と直接戦って勝てる可能性は…わからない。未知数とも言える、理由は魔力は高いが魔法があまり使えないタイプの可能性もあるし高威力の魔法を数発発動出来るだけかもしれない…正直考えてもまとまらない。


「俺は出来たら手を出したくねぇ相手だな、何の情報もねぇ相手との戦闘は昔から控えてるからな」

「そうは言ってもザクロってスキルとかなんにも私達に教えてくれませんからね」

「そりゃ秘密にしたい事は誰にでもあるだろ?特にスキルなんか知られちゃ手の内がバレちまうかも知れねぇんだからな」


正直なところこの男は謎が多すぎるのだ、だが裏切りそうな感じもない。


「おっそろそろ着くぜ、姫さん準備はいいか?」

「ここまで来て準備が出来ておらぬわけなかろう!我を誰だと思っておるのだっ!!」

「そりゃよかったぜ、ベロニカも準備……」

「私は常に出来ておりますのでご心配なく」


急に空に赤い光の玉が打ち上がってきた。どうやらこれが合図なのであろうか?魔力の反応はあるが攻撃では無さそうだ。


「ふぅッ到着だ」

「ここが言われた場所か?…目の前のこの森入れば我でも危ういな」

「確かにヤバそうだな、少しだけ手を入れてみたいが止めた方がよさそうだな」


そう言うと空からバサバサっと羽ばたく音がどんどん近くなり奴が降りて来た。……闇鴉だ。


「来たか、随分と早かったではないか色欲の吸血鬼(ラルビナ・ソフィア)

「まだその名で呼ぶのか闇鴉よ」

「その名の方がしっくり来るのでな、それと今の我はアルゲンだ」

「アルゲンが……よい名を貰ったではないか」

「我もこの名が気に入っている、ここで話すのもなんだこちらに着いてくるといい、我が主がお待ちしている」


案内されるがまま着いて行った、少し歩くと小屋が見えてきたがまさかあの中に居るのか?


「あの小屋は今は誰も使っていない、居た者達は旅立って行ったからな、その先にある家にいらっしゃる」

「ふむ、なるほど…気配は三つあるがこれの中のどれかがアルゲンの主か」

「姫様周りから気配を感じます、どうやら観られているようです」

「そのようだ、だが仕掛けてくるつもりは無いようだ」


ザクロもかなり警戒しているようだな、それもそうか…闇鴉(アルゲン)の眷属と思われる者共があちらこちらからこちらを観ているのだからな。


「ここだ、我も同席するが発言にはにをつけることをオススメしよう」

「……気をつけよう」


トントンとアルゲンがクチバシでノックを三回したあと扉が開いた。扉を開けたのは薄茶の髪をした少女であった。


「あ、アルゲンお帰りです!お客様もいらっしゃいなのです」

「ミリスさま後の案内をお任せしてもよろしいですか?」

「お任せなのです!こっちなのですよぉ」

「随分と元気のある嬢ちゃんじゃねぇか」


目の前の少女に案内され一つの部屋の前に着いた。ここに案内したこの少女は人間なのか?


「ミラ様お客様を連れて来たのです!」

「ミリスね……入ってもらって」


木の扉をガチャっと開けるとそこには座ってお茶を飲む少女とこちらを警戒している少女が居た。アルゲンが言うには人間が嫌いと言っていたが本人も人間なのか?……無駄な詮索は今はよした方がよさそうか。


「本日は協定の話を受けてくださりお礼申し上げる」

「いえ、私も無闇に敵対はしたくないもの…立っているのもあれだからどうぞお座り下さい」

「はい、失礼する」


その場に居た者達が席に着くとミラという少女が話し始めた。


「まずはここまでご苦労さま、もしよければ私が作っているお酒をどうぞ」


そう言うとミリスって子が目の前にあるグラスに注いでくれた。匂いからして果実酒だろうか?一応毒に対する耐性はあるが……。


「毒は入っていないわよ、私も飲む事はできるけどすぐに酔っちゃうから…」


一口だけゴクッと飲み毒が入っていない事を示した。


「もし毒が入っていれば問題だが我は呑もう…」

「姫様っ!?毒見は私が先に……」


私が毒味をする前に姫様が呑んでしまった。もしかしたらグラスの方に毒が仕込まれているかもしれないのにっと思ったがそんな回りくどいことをする相手ならば迷わずに何かしてくるはずだけどその感じも無さそう?


「ふむふむ…これは…二人も飲んでみよ!こんな美味い酒はなかなかないぞ!」

「そ、底までですか!?私も…んくっ………これかなり美味しいです、今まで呑んできた果実酒の中では最高品です」

「そう、それならよかったわ。そちらの仮面の方はお呑みにならないのですか?」

「いやぁ、呑みたいんだが今禁酒中でね…本当に申し訳ない」

「そう言う事ならしょうがない、無理強いはしないわ」

「それはありがたいな……あんたの事はなんて呼べばいいんだ?」

「ちょっ!?ザクロ言葉遣いっ!!」


呑んでいた果実酒を危うく吹き出すところだった…。怒ってはい無さそうだが関係の悪化は避けたい。


「普通にミラでいいわよ、そのくらいじゃ私も怒らないから安心して」

「流石に呼び捨てで呼ぶのはまずいんで様付けで呼ばせてもらうぜミラ様」

「えぇ、もし呼び捨てで読んでたら睨んでいたところよ」

「おぉ怖ぇ…」


もちろん冗談だけど、どうやらこのザクロって人もわかっているようだ。

「ではまずは自己紹介と行きますかね?姫さんもその方がいいだろ?」

「まぁそうだけど…」

「確かに自己紹介を忘れてましたね、こちらからお呼びしたので私たちから自己紹介をいたします、まず私から……名前はミラよ、種族は魔女ね」


魔女と聞いて三名が反応する…聞き覚えでもあったのだろうか?


「魔女…か…かなり大変だったんだろうな」

「だから人間嫌いに…」


何かわからないけど魔女のことを何か知っているのかな?


「あー、続きいい?」

「すまない、続けてくれ」

「次にこの子達ね?まず短髪で薄茶色の髪をした子がミリスで長髪で銀髪の髪をした子がリィアよ」

「よろしくなのです!」

「姉さん共々覚えてくださると嬉しいです」


二人を交互に見ているが姉妹と言われてもわからないよね?


「紹介感謝する、良ければだが二人の種族を聞いてもいいか?」

「そうね…二人はホムンクルスよ」

「ホムンクルスか、という事は…なるほど」

「二人ともこれからよろしく!」


ザクロが二人にそう言うとニッコリと笑顔を返してくれた。


「それではこちらも自己紹介だ!まずはこの我からだな!我の名は…ヴェルヘルミナ・ルナ・ブラッドだ!種族は見ての通り吸血鬼だ」

「姫様…普通の人は見ただけでは吸血鬼かわかりませんよ?特に私たちは陽の光に耐性があるのですから…ついでに私はベロニカ・クロノースです、種族は魔人と吸血鬼のハーフです」

「それじゃ次は俺か?俺はザクロオルタって名前だ、種族は控えさせてもらってもいいか?」

「えぇ、無理に聞き出そうとはしないわ」

「そりゃ助かるぜミラ様」

「全くザクロは…」

「秘密のある男も魅力的だろぉ?」

「……」

「……」

「あ……あれっ?冗談だよ!頼むから笑ってくれよ姫さん!!」

「急に振られても困る…」

「そうですよザクロ?大して面白くなかったですし」

「そうか…残念だ」


……これ話し続けてもいいのかなと思ったけど切り出さなきゃね!


「こほんっ……それでは本題に行きましょうか」

「そうだな、えっとミラよ、敵対行為をお互いにしない事はできないだろうか?」

「私は初めから敵対行為をするつもりは無いわ、それに敵対してもなんのメリットもないもの、むしろデメリットしかないわねヴェルヘルミナさんもそう思うでしょ?」

「確かにメリットは無いな」

「だが姫さん、口で言うのは楽だが破られた時はどうするんだ?俺は何か残る物で証明をしておくか魔術的な方法でとかな」

「ザクロそれはっ!」

「あぁっ無礼だってわかってるが言っておく必要があるかと思ってな」


確かに口で言うのは簡単…それなら。


「それならばこの場にいる者全員今後一切敵対行為を禁ずるって事で平気かしら?」

「まぁ、でも一体どうするつもりなのだ?」

「それはこうするのよ、〘我はここに告げる、この誓い破れば罰を受けん、今後敵対行為を破りし時その者に苦痛の罰を…魂の共有(ソウルリンク)〙!発動はしたけどまだ定着はしていないから破棄する事は出来るけどどうする?」


実際詠唱はいらないけどわかりやすくする為には必要な事だから仕方なく詠唱したけど…慣れないと少し恥ずかしい。でも顔に出さないようにしたから平気なはず。


「これは破った場合どうなるのだ?」

「まだ決めていないわ、流石に命を奪うわけにはいかないし」


命を奪う事が出来るほどの魔法契約か何かってところかな?でもこの感じの魔法は……。


「その魔法契約は破棄しても構わないか?我もそこまでのリスクを負いたくはないのでな」

「……いい判断だと思うわ、それじゃ破棄しちゃうわね」


すぅっと嫌な気配が消えていった。あれは呪いの類?それとも……それに属する何か。


「呪い………魔術か?」

「……」

「その反応からするにどうやら違うようだね、だがそれに近しい何かという訳か。魔術や邪法は謎が多く使える者も少ない」

「私から言える事は詮索はしない事をオススメするわ」

「……そうさせてもらう、我が手を出していいものでも無さそうだ」

「俺もそう思うね、もし何かあれば正気じゃいられなくなるぜ…」


やれやれと言った感じで首を横に振るザクロと胸元に手を置いてほっとしているベロニカだった。


ここでちょっとだけ説明、魔術は魔法と違い必ず媒体を使用しなければならない物で言わば魔法の劣化版ではあるが魔法で返すのが難しく痕跡も見逃しやすい。魔術を使う者魔術師と言って魔法使いとは似ても似つかない存在。


その後も何かの手違いで敵対した場合や対処などの話し合いが続いた。




―――数時間後




「はぁっ肩がこったぜ…話はこれくらいでよさそうだな、いい話が出来てよかったな」

「全く…ザクロが喋る度にヒヤヒヤするこっちの身にもなってください」

「悪い悪いっだが話しやすくてついな!」

「ザクロさんも悪い人じゃなさそうでよかったわ」

「俺はいい人でもなけりゃ悪い人でもないがな!ハッハッハッ!!!」

「ミラ…もし今我が少し手合わせをしてくれと言ったら受けてくれるか?」


急にヴェルヘルミナさんがそんな事を言うので驚いた…もちろんが少しならいいかもと思ってしまったが手合わせで何が確かめたいのだろうか?実力がない者にはつきたくないという事なのかもしれない…直接聞けば話してくれそうだけどここは…。


「受けるのはいいけど力はどのくらい出せばいいの?」

「出来たら本気でお願いしたい……確かめたい事もある」

「ちょっ!姫さん正気か!?やめとけって!!怪我じゃ済まないかもしれないんだぞ!」

「そうですよ、姫様に何かあっては…」

「大丈夫、でも死にはしないから」


さすがに殺すつもりは無いしそんな事したらさっきの話し合いの意味が無意味になる。


「私も殺す魔法は使わないわ、勝敗はどうやって決めるのかしら?」

「動けなくなるのが敗北条件で」

「了解よ、それじゃ外に出ましょうか」

「ミラ様ファイトなのです!」

「ありがとうミリス」


応援してくれるミリスの頭を撫でてやる気を出した。

外に出るとソフィアが周りの者に出来るだけ距離を取るように伝えてきたのでミラとソフィア以外はかなりの距離を取り戦闘が終了するまで入れない結界を試しに張ってみた。練習してた結界をこんな形で使うことになるなんて思わなかった。


「言っちゃ悪いがこの年齢でこの結界魔法…やばいな」

「私もそう思います…ザクロはもし閉じ込められたら壊せますか?」

「正直にいやぁ無理だが本気を出せば何とかなるとは思うが…手っ取り早いのが魔封石を持ってればいいだけだがな」

「あれには頼らないのではなかったかしら?」

「ただの冗談だ、そろそろ始まるみたいだぞ」


ベロニカとザクロが何か話しているけど聴き取れない、何の話をしているのかは気になるけど今はこっちに集中しなきゃね。


「それじゃ本気で行かせてもらうわね」

「ふはは、我も本気で行くがどこまで耐えられるかな?」


上空からアルゲンが試合開始の合図を言った。


「始めっ!!!」


「行くよっ!〘ストーンウォール〙!」


先手は私から!足元からゴゴゴゴっと音と共に地面が揺れると石の壁が突き出しスフィアの四方を囲んで行った。囲んだ瞬間にストーンウォールはバラバラに砕け散った。見た感じ魔法…では無く普通に殴って破壊しなかった?


「あら、まさか一撃で壊されるなんてね…これならどうかしら?〘パラライズバレット〙!!」

「それは当たったら不味そうね…〘ブラッドショット〙」

「っ!?」


赤い弾が私が撃ったパラライズバレットを撃ち抜いて無力化されちゃった…あの色ってまさか……血?


「小細工はダメそうね…それなら直接……〘パラライズ〙!」

「それでどうやって…くっ…足が……ふむ、これは厄介な」

「そうでしょ?私が編み出したのよ」


厄介って言ってるけど全身に掛けたはずなのに何で足以外動かせるのよ…耐性があるのかあるいは別の…。


「これは高位魔法に匹敵しそうだ…だが!回避出来るものならしてみるがいい!〘性となる器(エーロズ)を捕え(トルト)欲に(ヨウ)落ちろ(ラクマ)止める者おらず(ルラト)止める事叶わず(ルワトメーカ)快楽へと誘え(サイカーラ)ビットサークル(ラゥストサーラ)色欲の輪(ラビットサークル)〙」


詠唱を止めようとしたが間に合わず発動させてしまった。ソフィアを中心として紫色の光の輪が迫ってくるので私は直感でアレは防げないと悟り足下にストーンウォールを発動させ自分を上空に打ち上げた。


「……えいっ!」


ゴゴゴッと音を鳴らし飛び上がるのと同時に下を見ると紫色のサークルはストーンウォールを貫通して行ったが壊れた後がない…もしアレに当たっていたらどうなっていたのかと思うとゾッとする。もしかしたら即死系?いや、流石に使わないはず…だとすると拘束系(バインド)?あの詠唱系からしてたぶん古代魔法。


「あれを避けるか…だがこれは避けれんであろう?〘光の輝き(アールマフラシュナ)〙!」

「目っ目がっ……」


そう唱えると私の目の前が光に包まれ目を開けていられなかった。目を閉じても周囲を魔力で探りその光の中から飛び出した。飛び出したのはいいが高さはあったので地面だと思う方に〘ウィンドブラスト〙を放ち衝撃を無くし着地した。まだ目がチカチカしている。


「はぁ…はぁ…少し落ち着いて…はぁ…来た……かな」

「ふむ、初歩的な魔法だったのだが」

「あれが初歩的な魔法?今ある魔法とは大違いね…」

「今ある魔法など我が使っている魔法の劣化版みたいなものだからなぁ」

「なるほど…でもそろそろ身体動けなくなってきたんじゃないかしら?」

「ん?……ははっいつの間に我に仕掛けていたのだ?褒めてやるぞ」


戦闘が始まって直ぐに私は遅延式の〘麻痺(パラライズ)〙をかけておいた、それも相手に出来るだけバレないように注意を払いながら。わかった事は相手の実力が高すぎると状態異常系は効きづらいのかな?


「まさか初めから仕掛けられていたとは思わなんだっ!確かに身体は動かせんが声は出せる……まぁそれの対策もされているのであろうな」

「さぁどうでしょう?試してみてもいいですよ?」

「いや、この感じからして仕掛けられていない方がおかしいので止めておく」

「ふふっわかりました」


するとミリスが声を発した。


「この勝負引き分けなのです!おつかれさまなのです!」

「引き分けか…全力を出されていればどうなっていたかわからんがな」

「そうね、私も全力では戦いたくないわ、私は平和が一番好きだから」


お互い初めから本気で戦う事は望んでない。


「それは我も同じだ、だが平和は自力で掴み取らねば永遠に来ないものだ…どうやらミラとは今後もよくやっていけそうだぞ」

「それは嬉しいわね、何かあればいつでも頼って欲しいし出来るだけ力になる」


この者からは嘘を感じないな、どうやら本音で言っているらしい、闇鴉…アルゲンも良い主に使えたな。

今回ミリスの口調が昔に戻っていましたね。この口調の際は演技をしているミリスなのでもしかしたらまた出てくるかもしれませんね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ