53話 勇者達との別れ
最近暑いですが皆さん平気ですか?熱中症対策に水分を取りましょう!
勇者の子達が来てから三週間が経過した頃…桃花が大事な話があると言われたので椅子に座っている。顔を見る感じ何かの覚悟を決めたような気がしたのだ、ちょっとだけドキドキしている自分もいるのでどんな話がされるのか少し心配にもなった。
「私達そろそろここから出てサミリスの街に行ってみようと思うの!」
全員が真剣な顔で見てくるのでちょっと怖かった…ここを出て上手くやって行ければいいなとは思っているけど、次会った時この子達が味方かはわからない。そもそも今現在も味方というのではなくあくまで協力してあげているだけなのだ。
「そう…いつ行くの?」
「明後日には行こうかと思っています」
「わかったは…でも街にはいる時色々チェックされると思うから頑張ってね…」
「チェックって一体何されたんですか!?その顔見る限りだととても不安なんだけど!」
出来れば思い出したくない思い出ね…服を全て脱いで体の隅々まで確認されたんだからね…恥ずか死ぬわよあれは…。
「私がわかるのは女の子の事だけよ?取り敢えず耳かして」
「うん…」
私はされた事を細かく教えてあげるとみるみる顔が赤くなっていく女子達。男の子には聞かせられないし聞かせたくないと言うのが本音。
「そ…そんな所まで見られるんですか…」
「それ凄い恥ずかしいです…」
「その…僕は正直に行かないとダメですよね」
「雫は絶対にこっちじゃないとダメ!何かあったら困るもの!」
一応雫は男の子の格好をしてはいるが女の子である。とある事情で男装をしているそうです。この子も色々大変なんですよ…。
「それじゃ男の俺達は何されるかはわからないんだな」
「そうね、わかる事があるとすればたぶん全裸にされるわ」
「ぜんっ!?…マジかよ…」
「って事はだ!女子も全裸に…」
「あー男子だね〜」
「だねぇ」
「あはは…貴方達が思っているような展開にはならないからね?ちゃんと男女で別れているから」
「そっそんな…天の扉は開かれる事は無いのか…」
「それよりも女子からの目線が痛い!」
「そりゃそんな事考えていればね……」
「そ、そういう女子はどうなんだ?考えた事ないのかよ」
「……考えた事なんてないよ……?ほ…本当だよ?」
何故か女子たちは目を逸らした…女だから考えないなんて事は無いのだ。年頃ともなれば色々妄想するのは仕方ない…。
「それと私から忠告よ、貴族や王族とかには出来るだけ注意しなさい!あまりいい思い出がないのよ」
と言ってもその記憶はミラの記憶ではなくミシュラの記憶なのだが、人と言うものはいくら時が経ってもそうそう変わるものでは無い…とミシュラは思っている。
「はーい、気をつけます」
「貴族や王族とかラノベとかだといい役も悪い役も好きなんだよなぁ…まぁ大半殺されるか没落するかなんだけどな」
「私はやっぱり悪役令嬢が好きだったかなぁ…」
「僕は魔法少女とかしか読んでないや…」
この子達が時々何を言っているのかわからないわね、そもそも悪役令嬢が好きって…。
「みんなみんな!ミラちゃんが首傾げちゃってるよ!」
「あ、ごめん!言っている事わけわかんなかったよな?」
「えぇ…悪役令嬢が好きとか…この子平気かなって思っちゃった。そもそも貴族は簡単に没落は……する時もあるわね」
ミラちゃんから見れば私達の話している話自体が異常に見られるのかもしれないよね?ドウェグさんにもこの世界で生きて行くのならば向こうでの甘さは出来るだけ捨てた方がいいと言われてしまった。向こうの常識とこちらの常識では違いがあるだろうとね。まぁ、人を殺せるかって言われたらまだ抵抗があるし、みんなためらってるもんね。
「話はこのくらいにしてミラちゃんにあげるもの渡そ」
「ククク…ぜってぇ驚くぞ」
「滝がそう言うと恐ろしいもの渡すみたいだろ!」
滝の顔は悪そうな顔をしているけどいつもそんな顔しているから何とも言えない…。
「とりあえず私は目を瞑ってた方がいい?」
「そ、そうだね…ミラちゃんは目を少し瞑ってて」
「わかったわ」
「本当にこれでいいのかな…」
「雫は心配なのか?絶対喜んでくれるって!」
「そうだったら嬉しい…な」
「こっちも準備OKだよ」
何かを取りに行ってたのはわかったけど私が喜ぶものってなんだろ?考えても思いつかない…。
「ミラちゃん目を開けていいよ」
「そ、それじゃ目をあげるからね?」
私が目を開けると目の前にとても可愛らしいクマのぬいぐるみがあったのだ。それと宝石のはめ込まれた銀色のブローチもあった。
「今までお世話になったお礼です。受け取ってください」
「ぬいぐるみは女子が担当してブローチは俺達が頑張って作ったんだぜ」
「…まさかこんなのを用意してくるなんて…思いもしなかったわ……ありがとう」
私は貰ったクマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめました。みんなの思いが詰まった優しい感じがして…とても嬉しい。
「えへへ、ミラちゃん少し涙目になってるよ」
「な、涙目になんてなっていないわ…目にゴミが入ったのよ」
「ふふっそういう事にしておくね」
「でも喜んでくれてよかったよ」
「そうだね、喜んでもらえなかったらどうしようって思っちゃったから」
少しの間だけだけどお世話したからね、これは大切に閉まっておかなきゃ。
「私達の事忘れないでね?」
「忘れられたら俺達悲しいからな」
「忘れないわよ、絶対に忘れないわ」
「そんな笑顔で言われると嬉しいな」
「だな、明後日からは大変だけど頑張るぞ」
「明後日でお別れなんだもんね、ミラちゃんと離れるのは寂しいかも」
「いつかは別れが来るものよ、でも永遠の別れでは無いからもしかしたらまた会えるかもしれないわ」
もしかしたらね、この子達はこの世界に居たらいけない子達…元の世界に無事に帰って欲しいもの。他の子達はわからないけどこの子達とは敵対はしたくないかなって思っちゃった。
「それじゃ準備始めるか!」
「そうだな、荷物はちゃんとに持って忘れ物ないようにな」
「私達も準備しちゃおっか」
「「はーい!」」
私がいたら邪魔になっちゃいそうだから一旦帰っておこうかな。少し寂しくなるけど私には家族がいるもの、それに…アルゲンが少し懐かしい気配があるので行ってきていいかって聞かれた時はびっくりしたけど、まさか封印されてた吸血鬼だったとはね。こちらに来るのはあと六日後…勇者たちが旅立って少ししたらね。
でも不老不死って一見良さそうだけど死にたくても死ねないってことよね?それは逆に嫌…変な輩に捕まって人体実験なんかされたらたまったものじゃない。魔法も万能じゃないって実感したからね、魔封石が使われたら私は手も足も出なくなる。それにもし魔法を封じるスキルとかがあったら……考えるのはやめよう。
「ミラ様?その人形はどうしたのですか?」
「あらミリス、実はあの子達が明後日ここを去るらしくてね?それでお世話になったお礼に貰ったのよ」
「だからそんなに嬉しそうな顔なのですね、ニコニコですよ」
ミリスにそう言われてちょっと恥ずかしくなった、私そんな顔してたんだって。
「前の私ならもらう事もしなかったと思う」
「どんなミラ様でもミリスはついて行きます!」
なぜかミリスに抱きつかれてしまった、嫌じゃないけど少し歩きにくい。その後もリィアや他の子達にも話いつの間にか寝ていて夜が明けていた。
「ふわぁ…私いつの間に寝ちゃってたのかしら?」
周りを見渡すとどうやら自分の部屋で寝ているようだ、確かミリスのリィアの部屋で話していたはずなんだけどと思ったが私が寝た後に運ばれたのかな?
「どんなに頑張っても身体は子供だもんね、勇者の子達は明日出発で吸血鬼の人達が来るのが五日後?だったよね?」
私は闇鴉に吸血鬼の人達がこちらに来る日をもう一度ちゃんとに聞いたが間違えはなさそう。でもアルゲンとあの吸血鬼の姫さま?って仲良いのかな?
「さて、起きて作業でもしてようかな」
私はベッドから起き上がり女神様の像にお祈りをした。お祈りは5〜10分くらいしてその後は本を読んだり新しい物を創ったりかな?まだ創れない物も多いけどいつか創れるようになるはず!……そんなこんなをしている内に部屋の扉をノックする音と声が聞こえてきました。
「ミラ様起きてますか?」
「起きてるわよ、空いているから入ってきて」
「はーい」
扉が開くとミリスとリィアが入ってきました。どうやら後ろにいたようです。
「二人とも仲良しね」
「私は仲良しだよ、ミリス姉さんにいつも遊んでもらってるし」
「ミリスは当然の事をしているだけです!」
「いい子だね」
私は2人の頭を優しく撫でてあげると嬉しそうな顔をしてくれます。
「そう言えばミラ様は次にあの勇者と会ったらどうするのです?」
「私からは特に何もしないわ、まぁあっちから何かしてくるなら話は変わるけどその時は手は抜かないわ」
でも、私でも使う事が出来ないスクロールを持っている事がわかっているからかなり厄介なのよね。もしかしたら負ける可能性はある…二人もそれはわかると思うし殺るなら情報をちゃんとに集めて何もさせずに終わらせなきゃね。出来たら戦わずに元の世界に帰ってくれる事を願いたいかな。欲を言えばこの世界での出来事を全て忘れた状態で帰って欲しいかな。
「ミラ様考え事ですか?難しい顔してる」
ミリスが私の顔を覗き込んできた、どうやら顔に出ていたみたいです。取り敢えず考えていた事を二人に説明をした。
「うーん、私はあまりわからないけどミラはその方が安心するの?」
「安心というか勇者達の世界だと魔物もいなくてそんなに物騒じゃないそうだからね」
「そうなんだ…そんな平和な世界があるんだね」
「勇者達の話だとね、まぁ……生きて帰れれば私はいいかなってそう思うだけよ」
私は自分と家族が平和に暮らせればそれだけでいいし、それ以外いらないかな。今の所はだけど…。
「ミリスもあの子達に何かあげてもいいですか?」
「別にいいけど何あげるの?」
「前に失敗した剣とかです!」
「ミリス姉さん……」
「あ…た…多分喜ぶんじゃない?」
「……絶対姉さんゴミを押し付けようとしてる」
聞かなかったことにしておこうかな…。ミリスが作った武器はどれもすごい切れ味だけど扱いが難しい。ちゃんとした物になればさらに扱いが難しくなるし技量が足りなければ武器に殺されるかもしれない程にね。
「出来るだけ軽めな奴をあげるのよ?」
「わかりました!出来るだけ重くないのにします!」
「うーん、そっちの軽いとか重いじゃなくて危険性が低いって意味の方ね?」
「あ、ミリス間違えちゃいました…準備して渡してきます!」
「あっリィアそばで見てあげてくれる?ちょっと心配だから」
「うん、私も姉さんが心配だから…勇者は正直どうなっても構わないとは思ってるけどここで死なれてもちょっと困るからね」
そう言い終わるとミリスを追いかけるように走って行った。あの二人を創った本人ではあるけど家族って良いなっと思うミラだった。
―――その後
ミリスが作った失敗作の剣を箱で持って行こうとしたがリィアに止められたらしいが言いくるめられたらしく持って行ったらしい…。
「はぁ…私が止めに行けばよかったかもしれないわね」
心の中で少し後悔したけど気にしない事にした、何故かって?きっと多分どうにかなるでしょって思っただけ。要らなかったら売ったっていいしミリスも気にしないと思うのよね。
「私はアレを完成させちゃわないとね、アルゲンの知り合いみたいだから争いにはならないと思うけど念の為に……ね」
私今作っているのはまだ秘密だけどこれが完成すれば色々と楽にはなるはずだし何かあっても……私は無事なはず。そう思いながら作っているけど実際そう簡単には作れないから苦戦している。完成形は見えているけどそこまで作り上げるのが苦労するわね。
「出来るだけ間に合わせないといけないけど焦って失敗したら元も子もないから慎重に丁寧に……」
作り続けてからどれくらい経ったのだろうか、休憩を入れながらではあるけど多分十時間は経っていると思われる。あと少しで完成しそうではあるけど無理したらダメ…今日はここまでにしてまた明日すればいいよね!そう思ったら作業をやめて外へ出た。
「ふぅ、風が気持ちいい…汗もかいちゃったからお風呂も入らないとね」
私が外で風を浴びているとアルゲンが空から降りて来た。私の目の前に降りてくると少し挨拶をした後に報告をしてくれた。
「お嬢さま報告に来ました」
「いつもお疲れ様、今日は何か異常とかあった?あればその報告を聞きたいかな」
アルゲンは首を横に振った。どうやらそう言った異常はなかったようだ。ちょっと安心かな。
「他はある?」
「はい、前にこちらに来ていた冒険者達がそれぞれの街や王都に到着した事を確認しました。特定の者達…いえ、とある人間達のみこちらに敵意があるようですがいかが致しますか?」
ふむ、こちらに敵意のある人達か……私達に返り討ちにあったあの人達かな?
「今は無視して、もしこちらに攻め込んでこようとしたらその時は行動を起こす前に……お願いね?」
「承知しました!他の人達は報告をしこちらから手を引くようにと話し合っておりましたが一部の方ではこちらを調べようとしている動きもありますが…」
こちらを調べようとしている…調べても一応分からないようにはなっているみたいだけどサミリスの街のギルドマスターであるレオスさんが私とミリスのステータスやその他の情報はほぼ閲覧出来ないようにしてくれているし、もし閲覧されても看破を使われなければそもそも見られない。それ対策で常に解除魔法と反射魔法を発動させてあるんだけどね?解除魔法は単体ならほとんど意味をなさないけど組み合わせるとかなり面倒くさい効果に変わることに気がついた。その名も、自動反射魔法!……今名前がダサいって思った人いる?……名前が思いつかなかったのよ!別にいいでしょ!!
「……私は誰に言っているんだっ!!!」
「お、お嬢さま?!どうされました?」
「いえ、何でもないわ…ただ叫びたくなっただけよ」
「そうでしたか、こちらの事を調べている者達は…」
「そうね…アルゲンは幻惑魔法使える?」
「幻惑魔法ですか?使えますがそれで何をなさるおつもりで?」
「それはね…………」
「ふむ、なるほど、わかりました!出来るだけの事はしてまいります」
「頼んだわよアルゲン」
「お任せ下さい!では行ってまいります」
バサバサと翼を羽ばたかせ飛んで行った。アルゲンにとある事をお願いしてそれを実行してもらうようにと。これが成功すれば私を探す者はいなくなるはず!
さてアルゲンに命令したある事はどんな事だったのでしょうね?




