50話 ミラとミシュラ(後編)
私の魂とミシュラの魂が融合してしまえばどちらかの人格に…または両方の人格になるのか、私にはわからない。女神さまと連絡が取れない今はもうあきらめている感じでもあります。
「はぁ、もしミシュラの記憶が私の中に入ったとして私の脳は耐えられるのかな?」
「それはわかりませんわ…負荷をかける事にはなると思いますし一時的に寝込む事になるとは思います」
「そう…一度ミリスやリィアに話しておかなくちゃ」
「あの子たちミラが作ったのでしょ?よく出来ているわね」
「まぁね、私だけだったら作れなかったわ」
そう…私だけじゃ作れなかった。アルードさんがあれらがなかったら作れなかった。扉からミリスの声がした。
「ミラ様?ちょっといいですか?」
「ミリス?いいわよ」
「入ります」
扉が開くとミリスとリィアが入ってきた。リィアも居たのね。
「ミラ身体調大丈夫?」
「平気よ、今あなた達の場所に行こうとしてたのよ」
「そうなんですか?」
「えぇ、二人には話しておかないといけない大事な事なの」
「聞くよ、私はどんな話でもミラを信じる!」
「ミリスもです!」
私は今身におきている事を全て話した。二人とも話を聞いて少し困った顔をしていたけどすぐにいつもの顔になりました。
「もし変わったとしてもミラはミラだから!私は絶対に裏切らないよ!」
「ミリスも!でも驚いた、ミラ様がミシュラって人なの」
「私も驚いたわよ…まぁこれからも私は私でいるからね」
「うん!」
「はい!」
「でもここまで会話が出来るって事は魂の融合がかなり進んでいるのね」
「まるでミリスとリィアですね」
「あれとは別のようにも思うけど…ミリス姉さん」
「ミシュラ?魂が融合しきるまでどれくらいなのかわかる?」
「感でしかないけど、あと15分くらいじゃない?」
「え!?そんなに時間無いの!?」
まさかそんなに時間がないなんて思わなかったわ。一年以上あると思ったのに…。
「しょうがないわよね、ミリスとリィアよく聞いて?あと15分くらいで私の魂とミシュラの魂が完全に融合するかもしれないの」
「そんなに時間がなかったのですか」
「ミリス姉さん、ミラを信じよう?きっと大丈夫だから」
ミリスとリィアは心配そうな顔をしています。それもそのはず、もしかしたらミラが変わってしまうのではないかと思う気持ちが大きいのだ。
「そうよ、私は融合したとしても二人を忘れたりしないから」
「ミラ様…」
「ミラ信じてるよ」
15分が経つと私の意識はスーッと途切れた、途中ミリスやリィアが手を握っていてくれた気もした。
「ふふふ、ミラ?どうやら消えてないみたいよ」
「それはよかった、私が消えたら色々困るもの…それでここはどこ?」
「ここは…どこだろう?たぶん魂の中とか?今もと私の身体に馴染むようになっているんじゃないかな?って」
「なるほど、と言うかさっきから頭の中にミシュラの記憶が流れてくるのだけど…」
「まぁ魂が融合した影響でしょう、私の方はミラの記憶が流れてきているわよ?と言ってもほとんどは見ていたんだけどね?」
「そうだったわね…あれ?このおじいさんどこかで…?」
「おじいさん?私そんな人に会ったかしら?」
「えっと、ダンジョンに初めて入った時なんだけどね?」
「その時私は寝ていたわね…色々疲れてたから」
そうだよね…死んだと思ったミシュラはその身体に魂が固定されてて目が覚めたと思ったら私が身体を好き勝手にしてるんだものね…。
「それでそのおじいさんは誰なの?」
「えっと…アル…アルなんとかさん」
「え?アルなんとかさん?って誰ですか…」
「えっと…確か錬金術師で賢者で……」
「!?…それってアルードって名前ではなくて?」
「確かそんな名前!」
「アルードは…私に魔法や錬金術を教えてくれた先生よ」
「でもアルードって人1000年前から生きてるの?」
「驚くのも無理ないわよ、私のおじいさまの前から魔法都市サマルーナに使えていたのよ!」
「そ、そんな前から…」
実際驚くしかないよね。
「ミラあった物全部袋に詰め込んだのね」
「だってもったいないじゃない」
「そうだけど、たぶんのその中に宝具も混じってます。確認しないとわかりませんけど」
「目が覚めて覚えていたらね?」
「覚えているはずよ、それと私のスキルも全部ミラにあげるね?」
「なんか押し付けられた感じがする…でもありがたくもらうね」
と言うか私はいつになったら目覚めるの?まだ数十分しかたってないように思うけど。
「あ、一つ忘れてた。私の記憶が完全にミラの中に入るから性格や口調が一時的におかしくなるかもしれませんね。仕草もですが」
「重要な事…もっと早めに言ってよ…言われてもたぶん何も出来ないけど」
「でも、いいでしょ?ミラはこれから私の名前ミシュラ・サマルーナの名を使っていいからね」
「それじゃありがたく使わせてもらうわね?まぁ使う事ないと思いたいけどね」
そもそも私自身体王族とかには興味は全くない!だって面倒くさいもん。貴族もいや、なんか面倒くさそうだから。
「ミ…ミラ?心の声全部聞こえているからね?私王族だったんだけど…」
「えっ!聞こえてたの!?そんな泣きそうな声にならないでよ」
「泣きはしないです!私天才な事を思いつきました!」
「いきなりどうしたの?」
「二重詠唱です!もしかしたら使えるようになるかもしれません」
確かゲームとかにもそんなスキルあった気が…違う魔法を同時に詠唱するスキルとかだよね?そもそも私には詠唱いらないんだけどね?特定の魔法以外は。
「なるほど、ゲームが何かはわからないけどミラもすぐに理解できるわね!…あれ、だんだんと意識が」
「私も…これって目覚めようとしてるのかな」
「たぶんそうだと思います、起きた時が楽しみですね…」
「そう…ね」
「……」
そのまま私とミシュラの意識は闇の中に消えていった…。
目を覚ますと辺りは完全に真っ暗だった。
「んん、随分と寝ちゃったみたいね」
「えっと…ミラ様だよね?」
「ミラだよね?あってるよね!」
「この声は、ミリスとリィアね。私はミラであっているわ、ちょっと魂が融合しちゃったせいか口調とか色々おかしいと思うけど許してね」
「よかった…このまま目覚めないかと思って。ミラ様が眠って12時間経過しているんです」
「勇者たちは心配しなくていいからね?私がご飯作ってきたから!…評判は最悪だったけど」
「リィアもミリスも見守っててくれてありがとう」
二人は嬉しそうに微笑みました。その後抱きつかれて二人と一緒に寝ました。
「ふふ、今日もいい朝ね」
「まだミラ様の口調おかしい」
「こればかりはしょうがないんじゃないかな?」
「私は私だから平気よ、ミラでもありミシュラでもある。今日のお祈りをしておかないとね」
私は女神様の像に祈りを捧げました。いつになったら女神さまとまた会えるのか。
祈りを終えたので少ししたら勇者たちのいる所へ。
「ミラ平気?身体に異常とかない?」
「異常とかはないわ、心配してくれてありがとう」
「ミリスも心配です、何かあったら直ぐに言ってください!」
「わかったわ、何かあったらね。そう言えばミリスは宝具について何か知っている?」
「宝具ですか?本で読んだので存在は知っています」
「そうなのね、それじゃ宝具以外の物は知っている?」
「確か……魔導具に神器に伝説…だったと思います」
「正解、宝具はダンジョンや迷宮に眠っているわ。作る事もできるけどかなりの魔力量と調整ができなきゃ作れないの」
「ミラ詳しいね、それはミシュラの記憶?」
「そうね、リィアは私の事が心配?」
「すごく心配!」
そりゃそうよね、突然魂が融合しちゃったんだもの。別人になっていないかとかも心配なのね。私の心配だった魂が融合した後どちらかの消滅も考えたけど起きなくてよかった…。
「でもミラ前より強くなってるよ」
「ミリスもそう思う」
「そうなの?ステータス」
新しく称号とスキルが増えてる…。元々ミシュラが持っていたものみたいね、魔法スキルが〘古代魔法〙〘守護魔法〙ね。あとこれはミシュラのユニークスキル?〘癒し手〙ってなんだろ?他の人のユニークスキルなのになんで私に…もしかして体はミシュラのだからなのかな?
「どうやら私のスキルや称号とか全部受け取れたみたいね」
「ミシュラこれどういう事よ」
「言ったでしょ?私をあげるって」
「確かに言ってたけど本気にしてなかったもの!でもよくこんな事出来たわね」
「できると思ったからね、元は私の身体ですからね」
「なるほど…私にはさっぱりです」
誰かが呼ぶ声が聞こえる、リィア?私はハッと意識が戻ったようになりました。
「…ミラ?ボーッとしてるけど大丈夫?」
「へっ?あっ大丈夫よ!ちょっとミシュラと話していたのよ」
「そうだったの、邪魔しちゃったかな」
「平気よ」
「よかった、さっきまで魂が抜けたんじゃないかって思ったんだから」
「心配させちゃったわね」
リィアにはちゃんとに謝りました。ミリスは何かを考えているようで話に入っては来ませんでした。歩きながら私はミシュラの記憶を頼りにスキルの事を理解していきます。古代魔法は今ある魔法よりも使うのが難しく古代語ができなければ使えないみたいです。
記憶の中では魔法都市サマルーナは古代語をメインで話していたようです、今の私もなぜか話せそう。
「ミラ様は勇者たちのご飯を作る時優しい顔になりますよね」
「いきなりね、自分じゃわからないわ。でもミリスがそう言うならそんなんでしょうね…私のご飯はあの子たちには合わないみたいだけど」
「それはミラは悪くない!勇者たちの舌が悪いのよ!ミラがせっかく作ってくれたんだからね」
「リィアたちのご飯はあまり食べてくれなかったのよね?」
「そうなの!見た目や味がダメだって…」
「あら、それじゃ今度私と練習しましょうね」
「うん!嬉しい」
「その時はミリスもお手伝いする!」
「その時はお願いね」
二人ともニコニコ笑顔で嬉しいわ。
小屋が見えてくると彼方と雫が外に出ていた。
「あ、ミラちゃんだ!」
「本当だ、昨日来なかったけど大丈夫か?」
あの後行けなかったものね。
「あの後ちょっと眠くなっちゃってね、そのまま寝ちゃったのよ」
「そっかぁ、何かあったんじゃないかってみんな心配してたんだよね」
「だな、昨日はご飯がやばかったよ…」
「ミリスは頑張りましたよ!」
「私だって頑張ったんだよ?」
「それはわかっているわ、初めて作ればしょうがないわ」
「なんかよくわからないものだったんだが…」
「ね…作ってもらってて言うのは引けるんだけど、あれは食べ物の味じゃなかったよ」
いったい何を作ったのか気になるけど聞くのがちょっと怖いわね…。でもみんな食べたんだよね?お腹大丈夫だったかな。
「誰もお腹壊していません?」
「大丈夫だったよ!」
「なんか今日のミラちゃんちょっとおかしいな」
「そ、そうかしら?気のせいじゃない」
「気のせい…なのか?」
「ミラちゃん困った事があったら相談して欲しいな、これでもお姉さんだからね」
「何かあったら相談するわ」
「だけどよ、多分相談するのってミリスちゃんかリィアちゃんにだろうな」
「確かにそうよね…あはは…」
なぜかミリスとリィアは嬉しそうだった、私が相談するとしたらこの二人っていうのはあってるわ。外で話していると私たちの声が聞こえたのか小屋からぞろぞろ出てきます。
「ミラちゃんか!いつもと魂が違うようだ、これも我が見通しの目の力だ!」
「滝…よくわからん事言ってないでいいから」
「またいつもの厨二病?」
「私はいつも通りよ?」
「ふはははっ!中二病で何が悪い!」
「あの子は昔からあんな感じなの?」
「そうかな…でもちゃんと優しい子だよ」
「そうなんだね」
「ミラちゃん!私思ったんです!日本語でスクロールを作れるか!」
「突然ね…私はわからないけど出来たの?」
「一応出来たよ、効果は束縛で対象を一分間魔法の鎖で拘束できるって感じ」
「桃花よく作れたわね、試してはみたの?」
「ううん、まだだよ」
もし本当に完成したならかなり厄介よね…スクロールは『使用』と言えば使えるけど、桃花が作ったスクロールは他の人でも使えるのかってところね。
「それなら俺に使ってみるがいい!俺には絶対防御があるから効かないはずだけど」
「わかった!滝になら躊躇なく使えるね!」
「あれ?俺…桃花から何か恨み買ってたっけ?」
「まったく?恨みはないけど滝なら平気かなぁって…えへへ」
何故か滝の近場から離れるみんな。
「なんで離れるんだ?対象って一人だけだよな」
「特に対象は決めてないから複数でもいけると思うけどわかんない」
「まぁ、滝なら大丈夫だろ」
「だね、僕は被害受けたくないから離れてるね」
「それじゃぁいくよぉ!」
「こい!」
桃花が作成した束縛のスクロールを『使用』すると、無数の光の鎖が地面から現れ滝を拘束した。だが、拘束はされたが滝には触れておらずかなり手前で防がれていた。
「滝どんな感じ?」
「違和感はないが正直まぶしい!暗闇や洞窟内で使われたら目つぶしになるな」
「なるほど、それじゃあと一分はそこに居てね。私はミラちゃんたちと家に入ってるから」
「え、ちょっ!俺置いていかれるのかよぉ!」
滝なら大丈夫だろうと言いみんなで家…私からしたら小屋に入った。さっきのスクロールは使用してすぐに消え去ってしまった。
「ミラちゃん桃花ってすごいだろ?スクロールを作っちゃまったんだからさ」
「正直すごいと思うわ、私でも今は作れないもの」
「褒められると照れますね」
「ミリスもすごいと思います、でもどこまでスクロールに出来るかですね」
「どういう事?」
「ミリスが言っているのはどの範囲までなら桃花の作るスクロールは対応出来るのかって事ね」
「なるほど、まだ試してませんけど何となくある程度までなら出来るかもしれません」
ある程度まで…ね、桃花の言うある程度までってどこまでなのかしら。
私の想定を超えてるとしたらかなり厄介ね。
桃花はその事に気が付いているのかな。
「桃花あといくつスクロールを作ってあるの?」
「えっと、あと六個あるよ?ミラちゃんも使ってみる?」
「もしよかったら使わせてほしいかな、どんなのがあるの?」
「回復のスクロールに浄化のスクロールが今使えるのかな。あとのは攻撃用だから」
「なるほど、浄化のスクロールを使てもいい?」
「いいよ、このスクロールだよ」
…読む事は出来ないけど魔力は籠っているわね。全てのスクロールには魔力が込められているみたいなのよね。よし、使ってみましょ!
「浄化のスクロール『使用』…」
「…?」
「あれ?何も起きない…」
「ミラちゃんスクロール使ったよね」
「だよな?でもなんで発動しないんだ?」
「もしかしてどこが間違えちゃったのかな?」
「一度返すわね」
浄化のスクロールを桃花に返した。なぜ私では使えなかったのだろう?
「うーん、返してもらったけどミスはしてなさそう…『使用』」
「桃花がキラキラ光ってる!?」
「なんか汚れとか桃花の周りの空気とか浄化されてね?」
「私もそう思う、でもなんでミラちゃんには使えなかったのかな?」
「私にもわからない」
その後も私やミリスとリィアも試したけど桃花が作ったスクロールを使用する事は出来なかった。
これは憶測だが勇者のスクロール作成は勇者にしか使用出来ないのではないかと…。
何かが違うという事なのだろう。
「全く反応しない」
「私たち三人が使っても反応しないって事は何か条件があるのかな?」
「そうみたいですね、それともこの世界の文字で書いていないのが原因なのかな?」
「ありえるが、異世界人である俺らしか使えない可能性もあるんじゃないか?」
「それもあるかもしれないね」
俺たちはこの世界からしたら異世界人だ。もしかしたらこちらの人と異世界人では何か違うのか?正直わからない事は多い。
「彼方くん考え事?」
「あぁちょっとスクロールの事を考えていてな」
「そうだったんだね」
「やっと…一分経ったから家に入れたぞ…」
「あ、完全に忘れてた」
「ちょっひどっ!それより何話してたんだ?」
さっきまで話していた事を滝に話した。スクロールがなぜ発動しないのか…。
「なるほど、俺抜きで話してたのか…やはりこの世界の人間と俺たちでは違いがあるのか」
「私にはさっぱりね、それよりご飯作るわね」
「そういや飯食べてなかったな」
「私お腹空いたかも」
「それじゃいっぱい作るからね」
「僕も手伝います!」
「雫ありがとう」
「それじゃ俺たちは座って待ちますか」
ご飯が出来るまでの間俺たちはのんびりしながら話していたが翠だけは予言の書をずっと見ていた。
読めるようになっていないかいつも確認しているが上手くいかないらしい。
「翠読めるようになったか?」
「んーもぅ!全く読めるようにならない!」
「そんなにプンプンしないの、頭から煙出てるよ」
「だってー早く内容知りたいから」
「熱心なのはいいけど無理しちゃダメだよ?倒れたりしたら心配だから」
「大丈夫だよ遥ちゃん!」
「それならいいけど、ここに長いも出来ないから出来る事はしておきたいよね」
「だな、文字を覚え終わったらサミリスの街に行ってみないか?もしかしたら大助の行方と他の奴らの場所もわかるかもしれないしさ」
「そうだね、それまでみんな頑張ろう!」
「「おー!!!」」
その後出来たご飯を食べて少しした後文字の勉強やミリスちゃんやリィアちゃんと戦ってみた。手を抜かれているのはわかっているが全然勝てなかった。
これからも色々と大変になっていくのでしょうか?ミラ的には楽しそうな気はしますね。ミリスとリィアは料理は苦手のようです。




