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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

雨宿りの怪


 最近、友人のKから聞いた話です。


 Kは妖怪の話が好きで、ネットの他、実際に妖怪の話が伝わる土地へ行ってみたりもしているようです。これから話すのはKがとある土地で仕入れてきた話になります。


 そこは田畑の広がる平野部の町だそうです。過疎化が進んでいて、お年寄りの多い土地だと聞きます。そんな土地に、アマヤドリというあやかしの話が伝わっています。


 アマヤドリとは座敷童子のようなもので、はっきりとした姿は分かりません。雨の強い日に、勝手に人の家に上がり込んでは、小さな幸福を与えてくれるらしいです。探し物が見つかるとか、体の疲れが軽くなったとか、そういう幸福みたいです。


 Kはまとまった休みをとって何日か、その土地にある民宿に泊まっていました。時期は梅雨時でした。そして、とある雨の強い日にKは聞いたのです。


 天井裏から何かを叩くような音がして、何かの気配を感じたそうなのですが、僕にはどうも疑わしい。Kが聞いた天井裏からの音というのは何らかの小動物が発した音ではないでしょうか。


 Kに聞いてみたんです。そのアマヤドリが居たとして、君には何か幸福があったのかいって。そしたら彼はあやかしに会えたことが何よりの幸福だと答えていました。


 そんな、幸福を運ぶというアマヤドリですが、こんな話も伝わっています。家の中に隠れているアマヤドリを探そうとしてはいけない。無理に探そうとすれば良くないことが起こると。


 これは関係のある話かは知りませんが、その土地では梅雨の時期になると自殺者がでてくるそうです。年に一人か二人、その程度ですが、自殺者が出るのは決まって梅雨の時期らしいのです。そんなことがありながらも、土地は平穏。事件や事故などはめったに起こらないといいます。


 強い雨が降るのは梅雨だけではありません。雨なんて日本なら年中降りますし、強い雨だって年中です。僕が語った梅雨時の自殺者とアマヤドリの関係性なんて分かりません。証拠がありませんから。


 もしかしたら梅雨時の自殺者とアマヤドリは関係があるのかもしれないし、全く関係はないのかもしれない。そもそもアマヤドリなんて妖怪は存在しないのかもしれない。


 昔から人は幸福や不幸があると、それを何かと結びつけようとしませんか?


 悪いことをしたからバチが当たったんだなんて、まさに因果関係のないものを勝手に結びつけようとしている。僕にはそう思えるのです。


 アマヤドリという存在も、人の想像の産物なのかもしれませんね。

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