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星闘家、星を殴るまで  作者: 竹小
エルフの大陸
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八星 魔法について質問ありますか?

 粗末な造りの窓から漏れ出した陽の光が俺の顔を照らす。眩しい。今何時だ、腹が減った。徐にベットから立ち上がると寝ぼけているせいで何故自分の制服では無く民族的な衣装をしているのか数秒理解できずフリーズし、また再起動すると昨日の夜を思い出し納得した。


 先の出来事で村長に診て貰うらしいんだが、村長がどこにいるか分からずとぼとぼ歩いていると前方に二人の男エルフがいた。なんだかコソコソ話しているけれど遠くて聞こえないな。そんな事は気にせず道を進んでいると会話の内容が耳の中に入り込んできた。


「ほら、あいつがエリサのお気に入りって言う人間族だ」


「エリサのお気に入りって事だからイケメンか物凄く強そうな奴かと思ったが、なんかヒョロっちい奴だな」


「アレぐらいなら俺でも勝てそうだぜ」


「そうだな。あっはははは!」


 あっ?テメェら魔物とまともに戦わなかったら腰抜けが何をほざいてやがる。ダンジョンに吹っ飛ばされて死ぬ気で魔物の肉を齧りつきながら少ないMPを大事にして戦った事あるのかよ。口先ばかりのチキン野郎が俺より強いならダンジョンにでも潜るか都に行って奪還軍に入りやがれ。バーカ!バーカ!


 そんな言葉を今にでも口から出てきそうになるが堪える。流石に今此処で問題を起こしたら今後此処を拠点にする時エリサに迷惑はあんま掛けたくない。今は我慢だ。


 そうやって自分を殺して進んでいくと長髪のエルフが走って来ていた。朝から忙しいご様子でまぁ朝かは知らんがな。でもあの感じエリサっぽいけどまぁ似てる人だろ。


「あっ、居た居た。おーいユウ、朝ご飯食べてないでしょ村長の所で食べるからついて来てー」


 oh、エリサだった。後、声でけぇよ。それでも腹減ってたからいいか別に。エリサについていけば村長の家に着くのか。また昨日の夜みたいな飯出てくるのかなアレなんだかんだ美味かったんだよな。味付け的にスパイスが効いてて食欲が出る味だった。でもエルフのイメージって木の実ばっか食ってるベジタリアン野郎だと思ってたけど全然この世界だったら雑食なんだな。


「おーいユウ。早くしないとご飯冷めるよー」


「はいはーい。すぐに行くよ」


 俺はエリサの方に向かって走って行った。なんか後ろの方でまたコソコソ言っていたがまぁいい。にしても此処は田舎の雰囲気がすごい。リラックスできてなんだか空気が美味い気がする。でもこれと言って特徴がねぇな。あるとしたら中央にでっかい木があるだけだ。でもこれと言った奴はやはりない。一面のクソみどり。


 それから俺はエリサについて行くと少しだけ手が込んだ家に着いた。外装は他の家に比べて明らかに綺麗だ。やはり権力者には丁寧にするのがどの世界でも共通か。そうして家の中に入るとグツグツと煮込む音が聞こえ、鼻腔をくすぐるスパイシーな匂いが俺の腹の虫を暴れさせる。すんげぇいい香り。


「おや?来たかい、ささ上がってくれ」


「お邪魔します」


「まぁ、そんなにかし込まなくても良いよ。今は家族みたいなものなんだから。自分の家のように過ごしてくれても構わないよ」


「そうよユウ。存分にくつろぎなさい」


 なんで上から目線なんだよ。それより飯を食わしてくれ。


「もうすぐ出来るから席に座っといてね」


「村長の料理はこの村一番なんだから、きっとユウの口にも合うわ」


「お待たせ、今日は少し張り切って作ってみたよ」


「君は知らないだろうから、説明するね」


「エルフの定番料理、[コンバートス]だ」


 見た目的に言えばウクライナ料理であるボルシチと似ているがアレより少し赤みがマイルドな感じがする。


「それだは頂こうか」


「いただきます」


 スプーンで掬い、口に運ぶ。最初にスパイスの味が舌を刺激し、トマトと似た甘味が程よく絡み合ってスパイスの味消えてゆく。最後に残った酸味がまた癖になる。うめぇなコレ。野菜がしっかりシャキシャキしていて、肉も柔らかく中までスープが染み込んでいて多幸福感に包まれていく。コレだったら何杯でもイケそうだ。


「ほら、言ったでしょ。村長の料理は村一番なんだから」


「美味いな」


「まだ、おかわりあるよ」


「いただきます」


「食いつきはや!?」


 それから村長の料理を食い尽くし、休憩した。それから数分後村長が道具らしき物を取り出して来た。


「君、今から少し血を摂らせて貰うけど良いかい?」


「分かりました」


「少し痛いけど我慢してね」


 痛みはなく、あっという間に採血され包帯らしき物で腕を巻かれた。この世界に絆創膏的な奴は包帯だけらしい。不便な物だな。てか痛みがマジで無かった。まるでベテランのおばさん看護師のように慣れた手つきで刺して来たのだ。


「うん、特に魔素は正常だね」


「ちなみに聞くけど、ユウ君はダンジョンの何層まで行ったの?それと日数」


「覚える限りでは五日以上、10層に居たのは覚えていますけど出てくるまでの日数は覚えて無いですね」


「んっ!?五日以上いたの!?」


「はい」


「それも10層だろ。可笑しい、そんな事普通の人間が道具なしでなんて…」


「そんなに可笑しい事なんですか?」


「うん、余りにも異常だ。並大抵の人は五日以上ダンジョンに居たら確実に魔素汚染されているはずなんだ。例え一層であってもだ」


「その、魔素汚染ってなんですか」


「魔素汚染って言うのはだね、本来生物は魔素が体の中には有るんだけどその魔素の量が過剰になり魔物に近くなっていくんだ。魔物に近くなっていくと私たちエルフや人間達は魔素のバランスが崩れ、崩壊して死んでしまうんだよ」


「でも君の場合バランスが全く動いてないんだよ。例え耐性がある人間でも、少しは動く。なのに君のは動いていないんだ」


「それと、一つ聞いていいかな?」


「君、魔法には興味はある?」


「魔法…ですか」


「そう魔法だよ。スキルのような紛い物ではなく“本物”をね」


 なんだか急に魔法を勧められて来たな。でも漸く異世界的なロマン来たー!ん?待てよ俺なんかダンジョンで魔法みたいな事したような気が…。ああ、そうだった。俺、魂鎮で似たような事してたな。


「魔法ってさ、道具使ったりするんですか?」


「んー?場合に…よるかな?」


「例えば?」


「そうだね…、大規模な殲滅魔法だったり自分の魔素が足りなかったりとかが多いかな」


「魔法って、魔素を使うんですか?」


「そうだよ。自分の魔素を使い、あらゆるものを再現する技術が魔法だよ」


 なんだか魔素がどう言った物なのか分からなくなって来たぜ。MPとの違いはなんなんだよ。あらゆるものを再現って言われても何処まで再現できるんだよ。つかそうなってくると魔法の存在が意味わからねぇな、うん。まあ…そう言った物として思考を放棄するしかないか。


「話を戻すけ…やる?」


「当たり前じゃないですか、やりますよ」


「良いねその心意気…好きだよ私は」


「じゃあ道具取りに行くからそこでゆっくりしててね」


「わかりました」


 紛い物とか言ってたけどスキルにも魔法ってあるんだな。アレかな皆んなスキルの方が便利だからって言ってさっき言ってた本物とやらが廃れていった的な感じかなやっぱり。てか魔法使うのに道具取りに行く必要あんのか。


「ねぇユウ…」


「ん?どうしたエリサ…」


「…本当に魔法、使うの?」


「おう」


「あんまり無茶しないでね」


 無茶はするかは知らないが、まぁ…魔法を使ってみない限り判断に苦しむな。魔法って言えば取り敢えず思いつくのは火球を出す魔法だったりとか、雷を撃ち出す魔法だったりとか、とにかくロマンでしかない。もし使えるんだったらそうだなぁ…。雷系の魔法がいいなぁ…。

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