七星 ぼろっちい村
APEXは友達とやる事で凄く楽しいけど野良とやる気がどんどんなくなっていく今日この頃。あと早く書けたら投稿していきたいと思います。矛盾してる部分は指摘してくれると有り難いです。
俺がエルフに背負われて早数分。周りには緑と茶色ぐらいしか色がねえんだよな。後無駄に力が強いせいで俺は背負われ続けている。もうクソだよこんな状況。
「もうすぐ村に着くわよ」
「へい」
「変な返事の仕方ね」
「あんまり気にしないでくれ」
「へい」
「真似しないで欲しいな」
もうすぐ解放されるのか、やったぜ。もう足が痺れていた所だったんだ助かった。ゲーム的な話をすると多分エルフの村が今後の拠点になるんだと思う。けど目標がないからストーリー的に本当に拠点になるのか不安だな。
「着いたわ」
「えっここが?」
「そうよ」
うっそだろお前。まじか廃村じぁねぇのかここ。木の小屋が建ち並ぶ村だが、ボロボロ過ぎるだろ。まるで強力な魔物に襲われて限界状態な村と見間違うほどに酷い。ちらほら村人のエルフが居るがなんか窶れてるしどうなってんだ。
「君、今廃村の間違いだろって思ってるかもしれないけどここはちゃんとした村よ」
よくお分かりで、エスパーか何かか?
「でもなんでこんな酷い状況になっているんだよ」
「それは緊急で作られた村だからよ」
「それに皆んな建築や農作業に対して素人だからね」
「素人?緊急?元々あった村じゃないのか」
「それは元々皆んなと__「なにをしているエリサよ」
「っ…!村長」
「この人が村長なのか?」
エルフってやっぱ長命種なのか若々しい見た目してるんだな。でも雰囲気は初老の男性を思わせる落ち着きのある雰囲気だ。民族的な衣装が様になっている。
「おやおや、珍しい。人間族がこの大陸に来ているとは」
「客人であれば歓迎したいのだが、今はもてなす事が厳しいのだ」
「まぁ客人の手前弱音を吐くのは失敬だ。さて君は何しにこの村に来たのかな?」
「俺はただこの横にいるエリサに背負われて来ただけだ」
「ふむ、つまりここに用事が無いと」
「まぁそうだな」
「それでも一人のお客様だ。決して蔑ろにはしないよ」
「エリサ、お客様を小屋に案内してあげなさい」
「分かったわ村長」
「ユウ着いてきなさい」
「おう」
「さっきはヘイって返事していたのにバリエーション豊富ね」
俺は言われるがままにエリサに着いていき、丸太で出来た小屋に案内された。まぁ住めなくも無いがボロボロ過ぎる。
「ここよ」
「案内、ありがとうな」
「ええ、どういたしまして」
礼を言ったのちエリサは来た道を戻って行った。
(にしてもやることがないな。少し寝るか)
小屋の中に入り質素なベットがあり、壁に刀と鞄を置きベットに横になる。暫くすると意識が沈んでいくのを感じる。漸く寝れる。ここ数日まともに寝たのはいつだったか忘れてしまった。だがそんなことはどうでもいいとても眠い…。
夜、周りから鳥の鳴き声や虫の声がする。田舎でしか聞いたことがないような音だ。久しぶりにぐっすり眠れた。ゆっくりと体を起き上げ身体を伸ばす。伸び切ったのち欠伸と共に力が抜ける。腹が減った。眠気と食欲とのバトルで勝者は眠気だったが後から大反撃で食欲が暴走してきた。でもこんな時間じゃ食べれるものなんか無いしどうしようかな。取り敢えず外に出てみるか。
夜間だってこともあり少し寒いだろうなと感じつつ外へと繰り出す。意外にも外は寒くもなく丁度いい気温だった。なんなら気温は昼間と同じようにすら感じる。そのおかげで少し得をした気分になったがそれ以前に腹が減った。ひもじい思いをしながら村を散策していると月光に照らされ、金髪が綺麗に光っている。昼間とは違う顔を覗かせるその髪色に少しばかり惚けてしまう。が、腹がそんなことをしている場合かと怒鳴りつけてくる。
「ん?あれユウじゃん。どうしたのこんな夜中に起きて」
この声はエリサか。にしてもよく気づけたな。そこまではっきりと俺ってわかるってすげぇ。いや耳の形でわかるかあっちは。まぁなんか食べ物でもくれるでもねだってみるか。
「おっす、昼ぶりだな」
「……」
あれ?何も反応が無い。なんだよ呼んでおいて。やけに俺の顔ガン見するね。後服もジロジロみるね。あっ、そういや魔物の返り血で血まみれだったな、これは失敬。
「服ないの?」
「生憎この服しか持ってないね」
「ならエルフの服を使うといいわ。人間には少し着慣れないかもしれないけど。ちょっと待っててね取りに行くから」
「すまねぇ。態々見ず知らずの男にここまでしてくれて」
「いいよ、別に。私が君をここに連れてきたんだから」
そういや無理矢理背負われて来たな此処に。あれ?先程の感謝の意が消えてゆく。それと腹が鳴った。
「…ついでにご飯も持ってきてあげるね」
「……すまん、頼む」
「…フフ」
笑われてしまった。恥ずかしいな。そうして走って小屋の方へ行ってしまった。待ちぼうけて空を見てみると月が二つ、夜空は星の光などなく真っ黒な布だけしかない。片方は大きく、もう片方は小さい月しかない。異世界に来て初めて見る夜空だが寂しく感じる。此処に来てただ帰りたくてダンジョンを走って来たが皆んなは如何しているだろうか。俺のことは心配してくれているのかな。いやないな。普段目立たない俺が皆んなの記憶に焼きついているはずがないんだ。きっと忘れ去られているんだろうな。空を眺めながら考えているとエリサが荷物を持ってやって来た。
「お待たせ。取り敢えず適当にご飯持って来たから食べてみて。君の口に合うかどうかわからないけど。後服此処に置いておくね」
「ありがとう。それと少し話さないか、エルフについてあまり知らないからさ」
「ええ、いいわ。少し眠れないからお話でもしましょう」
俺はもの草に隠れながら持って来てくれた服を着り、またエリサの横に座った。エリサが持って来てくれた食べ物は何かの肉と木の実を液体に浸したものだった。俺はそれを口に放り込みながらエリサと会話した。
「なあ、月ってエリサの言語でなんて言うの」
「月……?ああ、あのリームンとカームンのことね」
「りーむん?かーむん?」
「あの空に浮いているものの事よ。大きい方がリームン、小さい方がカームンって言うのよ」
「どんな意味があるの」
「リームンは一つ目の、カームンは二つ目のって意味よ」
「へー」
「人間語は違った言い方するの?」
「そうかもな」
「なんだか返事が適当ね」
「そんなことより、今思い出したんだけど昼の時最後になんて言おうとしてたんだ」
「ああ、あの会話ね」
「元々皆んな都の方に住んでいたの。勿論私も村長もよ」
「10年前のある日、都の方で魔王軍に攻められて皆んな逃げるしかなくなって戦える人は懸命に戦ったけれど私達は戦えなかったからここまで追いやられたの」
「今でも抵抗している人たちはいるけれど未だ魔王軍が都を占拠していて劣勢に追い込まれているみたい」
「獣人族や人間族から支援物資が届くけれど最前線にいる人たちにしか物資は来ないから人員も物資もなくてもこんなボロボロの村になっているのよ」
「じゃあ俺を拾ったのって人員が欲しくて……?」
「いやそれは単純になんとなく拾ってみただけ。深い意図はないわ」
(捨て猫か何かかよ俺)
「にしても不思議よね魔王軍と世界中が戦っているのに君は人間族の大陸に居らずにエルフの大陸に居てるの」
「森に居たのに吹っ飛ばされて、あのダンジョンに居たんだ」
「そういえばダンジョンの前で倒れていたわね」
「吹っ飛ばされて地図も無く、武器も無く、魔物の肉を食うしか食事はない状況で数日間も彷徨っただけだ」
「そう…。一つ聞いて良いかしら?」
「なんだ」
「君は“魔素汚染”は大丈夫なの?」
「まそ…おせん?」
「まさか知らないの!?いい、よく聞いて明日、村長にあなたの体を診て貰うわ」
「ああ…わかった」
「今日は安静にして寝なさいよ」
「分かった」
「それじゃあ…お休み」
「おう、お休み」
俺の横に座っていたエリサは立ち上がって何処かに帰って行った。エリサから貰った食べ物を食べ終わり、また小屋に戻った。なんだか焦っていたエリサが言っていたまそなんとかを村長に診て貰うらしい。エリサから安静にと念を押されたが多分大丈夫だろう。小屋に戻りまたベットで横になる。そういや俺の服消えたな、エリサが回収でもしたのかな。まぁあんなに返り血だらけで汚かったし洗濯かなんかしてくれるのかな。