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星闘家、星を殴るまで  作者: 竹小
エルフの大陸
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四星 この刀光るぞ…!?

私立に合格し、海外ゲームにハマっている今日この頃。私は猛烈に後悔と困惑が渦巻いてる。なんでさ、なんで単発でナヒーダ当たるんだよ。次のアプデまで取っといたらよかった。

 まずい。魔物の肉はドブの匂いがするのか臭いし硬いし筋ばかり。脂は工業用油のような臭さ。火があればまだマシになるだろうが、夢のまた夢だろう。それでも食わなければ死ぬしかないのだ、我慢するしかない。吐きそうだ。


 暗い洞窟を歩いていく、何も進展がない。飛ばされてから数日が経過した。ただ歩いて来て何も無かったがようやくここで光が見えたのだ。炎がゆらゆらと光っているのわかる、ようやく希望が出てきたのだ。歩きしかしていなかった足が自然と走り出す。助かるかもしれない足が痛くなるでもそんなの関係ない。だが希望なんてなかった。


 グチャグチャと聴こえる肉が潰されている音、下賤な笑い声、声にならない声で悲鳴を上げる人らしき形をした肉塊。地面に付着した血が足につく。下賎な笑い声で肉をしゃぶっていたゴブリンがこちらに振り向き、笑い声が止まった。再度ニタニタと笑い出した。ああそうかい…俺を殺すのか。


 何かが消えていく感覚と共に左手に持っていた刀がオーラを纏っていく。コイツらに殺される前に俺が殺す。そんな決意が不思議と湧いてくる。違うこれは決意なんかじゃない。殺意だ。別に魔物が人を殺しているのに怒っているわけじゃない。


 何処からともなくやって来た殺意と今までの心労で命を奪うことに忌避感が混じりあって動悸が激しくなる。これは自己防衛だ。俺は悪くない、あいつらに明日は来させやしない。身を委ねろ殺意に。そうやって命を弄ぶのであれば殺れる覚悟はあるんだろ?


 深く息を吸い、吐く。冷静に考えろ。コイツらは全員で7体だ。一体は俺に突っ込んでくる。愚直で考えがない動きに思えるほどコイツらはワンパターンみたいだ。森の時と同じでしかない。飛び上がりながら俺に対して棍棒を振り上げるが、その攻撃は俺に届かずに俺を通り過ぎる。


 俺はあいつらが見えた瞬間『星透』を使い、回避に移ったのだ。ゴブリンは訳もわからず地面に突っ伏しているが、そこに俺の刀で首を刺され絶命。今度は三体同時に来たが横に薙ぎいて絶命。意外にスパスパ切れるなこの刀。


 慌てて逃げようとした三体を一体には鞘を思いっきり投げて見事頭に命中し、転けた。残り二体は一体は棍棒に転け、もう一体はそいつの二次被害で倒れたのでそのまま倒れた順で刺し殺した。


 事が終わったのち肉塊からか細く聞こえていた息の音が消えた。周りの荷物的に冒険者なのだろうか、俺は冒険者らしき遺体を松明の火で火葬してやった。遺体からこの洞窟の地図とアイテムがあったので拝借した。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。あなたの死は無駄にはしない。それと手記らしき物も発見した。


13月24日


 今日はセントルム大陸にあるダンジョンに行く。ようやく里から出て自由を手に入れたのだ、冒険者らしくダンジョンの一つや二つはクリアしてやらなくちゃ。そのためにも仲間が必要だ。メンバー募集で探してみるとする。


13月25日


 メンバー募集で丁度同じダンジョンに行くパーティーを見つけた。明日の昼から向かうらしい。冒険者らしくなってきてワクワクする。明日が楽しみだ。


13月26日


 なんでこんなことに、私はただ冒険者として華々しく自由に生きていくつもりだったのに。第5階層まで進んだのはいいが調子に乗って10階層まで進んでいくうちチームメイトが1人死んでしまった。引き返そうと戻ると第9階層には突然変異した魔物が居たせいでみんな死んでしまった。私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ…


 私のせいだと言う内容が永遠と続いていた。地図を見る限り、ここは第10階層なのがわかる。なんとかこの階まで来たんだろうが結果は一目瞭然だ。だが、もう俺には関係ない。さて地図のおかげでようやく先に進めそうだ。それにしても何故俺は異世界言語を読めたのやら…。まあいいか。


ーーーーーーーーーーーーー


 一崎君が風と共に何処かへ消えてしまった。このことはクラスメイト達にとって震撼させたのだ。一崎君のことはどうでもいいらしく、それより森の浅い場所で主が現れたことに対して恐怖している。一崎君が可哀想だ。皆んな自分達の事ばかり心配している。彼の死は無駄にはしたくない。そのためにも絶対に魔王や主を倒さなくちゃ…


 それから数日が経ち、魔物を討伐して行ったおかげでレベルがどんどん上がった。今のレベルは14とあともう少しで次の固有スキルが使えるようになる。初めは魔物を殺すことに躊躇っていたが、一崎君の件があり決意を固める事ができた。まだまだ道のりは遠いかもしれないが着実に強くなっているのだ、嬉しく思う。


 そろそろこの国から出て本格的に魔王討伐の旅が始まるようで、クラス全員で移動となると少し厳しいらしく班となって行動するかを議論されている。主に班行動賛成派が少ないが、勇者である天野君が率先して班にするべきだと呼び掛けている。私が呼びかけるのもありではあるが、私が呼びかけては本当のみんなの意見が言えなくなりそうで呼びかけてはいない。物凄く天野君に呼びかけるように頼まれているが私はみんなの意見を聞きたいからそんなことはしない。


 それと旅の準備として、ある程度地理を習わされた。今私たちがいる大陸はリーリント大陸といい、その反対にはセントルム大陸がある。その間の南側にクライエッド大陸があるが、位置的に言えばユーラシア大陸と北アメリカ大陸の間にクライエッド大陸がある感じだ。そして魔王の居場所はクライエッドのもっと奥にあるカトナ大陸にいるらしい。つまり私たちの最終目的地はカナト大陸になるだろうが、どうも聞いた感じではカナトはあまりどういった大陸なのかはいまいちわかっていないらしい。どうにもあまりにも寒さが酷く、人が立ち入るだけで凍るとも言われるぐらいらしい。なんだか南極の強化版のような感じだ。


 そのほかにも各大陸での先住民族についてや魔物の情報を教えられた。まずリーリントは人間が住んでいる大陸で、セントルム大陸はエルフがクライエッド大陸は獣人が暮らしているらしい。


 それと魔物の特徴にも違いがある、リーリントでは魔物のレベルは他の大陸とでは一番レベルが低い。その理由は地表から出る「魔素」の濃度が低いらしく、逆に一番高い大陸はクライエッドのようだ。まあその分魔素の濃度が高すぎて獣人は魔物に近くなり獣のようになったらしい。その為か昔は迫害を受けていたようで人と認められたのはつい最近のことのようだ。


 こんなところが最近の出来事である。あと一番驚いたことは異世界の言語がスラスラと読めるのだ、理由ははっきりとしないが有難いことこの上ない。でもこうやって呑気にしているうちに魔王軍は着実に世界を蝕み続けている一刻も早く戦えるようになりたい。私の職業的には戦うというより支援が適切なのだが、みんなの背中にいる自分が情けなく感じる。


「ステータスオープン」


ーーーーーーーー


名前 大久保 楓 Lv.14


職業 聖女 詳細ステータス


スキル 癒しの光 光の加護 回復魔法(小)


所持品 魔法瓶×5 回復薬×5


装備 


頭 癒し手の帽子


胴体 癒し手の服


腕 癒し手の腕輪


腰 癒し手のベルト


足 癒し手のスカート


称号 異国からの来訪者 勇者 癒し手


ーーーーーーーー


 私の職業は聖女。クラスメイトの中で2人いる聖女の1人。誰かを癒す事のできる戦闘での支え。戦う力ではなく誰かを癒す力は正直私には合わない気がする。私は誰かを癒すのではなく守る力が欲しかった。みんなを助ける事ができる力なのに、私は一崎君の時は助ける事ができなかった。こんな自分が悲しくなる。


 私は夜ベランダに出て毎日そんなことを考えてしまう。この世界の夜は星の光は月光しか無いまるで東京の夜の夜空のようだ。にしても不思議だ、月があるだけなのだろうか。この国は森や山ぐらいしかなく、悪く言えば田舎のようにも思える。そんな国なのに星がまるでないなんて私には不思議で仕方がない。


 まあそんな事は今は重要じゃない。また明日も頑張ろうと決意を固め、私はベットの中に潜り込み、意識が落ちていった。


ーーーーーーーーーーーーー


「早くこの事を伝えないと」


 森の中を走り抜けながら、耳が尖った女性がボロボロになりながら慌てて走っている。その顔には血糊がベッタリと付いていて、まだ新鮮なままだ。後ろから彼女を追いかける足音が聞こえてくる。彼女の足は負傷していて、布に血が滲み黒く変色しているその上に無理矢理走っているせいでまた新しい血が滲む。そこから地面に自身の血液が垂れているのせいで周りから魔物が寄ってくる。


「なんで私がこんな目に」


 恨み言のように吐き出し、下唇を噛み締める。それは後悔と悔しさが溢れ出した証拠だ。彼女が悔しくなった時の癖なのだから。こうしていても走るスピードは変わらず彼女の目的地まではまだ遠かった。

スキル解説


癒しの光…MPを消費し、一定の時間継続的に回復効果を与える


光の加護…MPを消費し、光が全身を覆いバリアを形成する。バリアの耐久値は術者本人の体力の多さに比例する。


回復魔法(小)…この世界では魔法はスキルで使えるようになる事がある。本来はスキルではなく魔法陣を描いてから使用する事ができるが、スキルになると魔法陣を描くのを高速化&制御を自動でやってくれるお手頃さが原因で自力で魔法を使うものが少なくなっていった。今ではスキルが主流になっている。使用魔法はヒール、キアリーのみ。


職業システムについて


職業は完全ランダムであり、役職が被ることが多い。また後述の職業は確率が極めて低く被る事はそうそうないが、召喚では必ずと言って良いほど居る職業。


•勇者…魔王に対して特効の力を持つ。確率は50億人に1人ぐらいの確率。


•聖女…完全回復特化の職業。攻撃技や攻撃に関係するステータスは皆無。誰かを癒すことのみが使命。確率は1000万人に1人ぐらいの確率。


•剣王…戦闘に特化した職業。誰かを癒すことよりも誰かを守る為の力。力の権化。確率は聖女と同じぐらい。


•賢者…魔法に特化した職業。学びを広げる為の力。学びの象徴。確率は聖女と同じぐらい。

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