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星闘家、星を殴るまで  作者: 竹小
海の国 アルモンテ
23/32

二十二星 異世界物って大体ドラゴンとか人になるよね

厨…厨二くせぇな……!私の作品はよ

投稿頑張らんとな

はぁ……バイトしんど

 …………落下の感覚だけがある。奪われたんだヌルに。俺の身体を奪われた。ふざけるな……。俺の…俺だけの身体をよくも…。


 暖かい何かに包まれていく。落下はゆったりと勢いを落とし何かが俺の気持ちを奮い立たせる。訳も分からない筈なのに俺は唯ヌルに怒りを抱く。


 暖かさはやがて熱を失い殻の様に変化していく。俺は殻を殴って、殴って、殴って……。何十回、何百回も唯ひたすらに。小さな綻びが出来た。その綻びに手を伸ばし、こじ開けようと目一杯力を入れる。


 もっとだ、もっと。駄目だ……足りない。俺の力だけではこじ開けられない。何度も無力さを見せつけらる。目を閉じて力を込める。集中で鼓動と血液が流れる音が鮮明に聴こえる。それはつまり俺はまだ生きている証明。ヌルに身体を奪われただけだ、なら取り返せ。可能性のある限り俺はまだやれるぞ。


 それでも届かないこの俺は足りない物を欲して何も無い片腕を虚空に伸ばした。突如真っ暗な空間に青い光が俺に集まっていく。光は徐々に腕へと形造った。握りしめた右腕を思いっきり殻に殴りつける。


 これで足りたんだ…。破れた殻の中から手を伸ばして外へ出る。周りが光で満たされてゆく。俺の勝ちだヌル。


 立ちくらみの後の様な状態だ。少しばかりしんどいな。視界が正常になった所で俺は頭が混乱した。だって今俺は皆んなに拘束されながらキスをかまされている訳なんでな。


「〜〜〜〜!?」


 羽交締めで人のファーストキス奪うとか人のやる事かよ!赤茶色の髪の毛で、白色の瞳孔をした褐色。随分と筋肉質な女の人だ。俺より身長高いし、180後半ぐらいありそうだ。って真面目に説明してる場合じゃねぇだろ。


 電気の言葉使えないので自力で振り払う。攻撃は加えない。拘束が緩んだ所で急いで距離を取る。てか誰だあの女の人は…て言うか龍は何処に行った?


「よし、元に戻った」


 安心したみたいにほっと胸を撫で下ろすエルキア。俺は何が何だか状況が理解できないでいる。


「龍は何処行ったんだ……?」


「んっ」


 エルキアが親指で指したのは俺にキスをした女の人だった。龍って人になれるのか……。やっぱ此処異世界だマジで。死にかけてばっかで忘れそうになるな。


「あんたボロボロなんだから回復薬さっさと使いなさい」


「へいへい……」


 エルキアから薬を渡された。ラピスラズリの様な液体を一口で飲み切る。ほんのり甘くて変に苦い。飲み過ぎたら気持ち悪くなる類の味だこれ。


 身体がスッと軽くなった気がする。多分ステータス的には回復したんだろうなきっと。……よく見たら右腕白くなってんだけど。色素でも抜けたか?


「お前……()()()()か?」


 そう言い放ったのは龍だった。奴って誰だよ。多分目線的に俺に言ってんだろうけど。


「………何の話だ?」


「いや……唯の人間が………」


 独り言。内容は分からない。考え込んでいるのは何故だ。奴の手先、俺は一体何と関係付けられた?一番ありそうなのは魔王か……。エルキアの発言。元に戻った。絶対右腕がなにかやったなこれ。そういやヌルが『お前の身体を貸せ』とか言ってたし。


「お前はその腕を何処で手に入れた?」


「エルフの都で勝手に引っ付いたよ」


「そうか……これは忠告だ。何が何でもその腕の力は使うな」


「我の肉体と力を使いその腕の力を制限した。……だがお前が力を行使しようとすれば簡単に破られてしまうだろう」


「……お前の自我を乗っ取られたくなかったら使うな。……………いいな?」


 力を使うな………ねぇ。ヌル=腕だとしたら力使い過ぎるとヌルに身体を奪われる。実際さっき奪われてただろうし。でもこの力便利なんだけどなぁ。


「………てかなぜキスしてたんだ?」


「その話は私がさせて」


「さて、話せばほんの少し長くなるわ⸺」


ーーーーーーーーー


「はぁ……はぁ……クソが、力が弱まってきやがる」


「これだから厄介なんだよ……」


 片膝をつきながら顔を歪め、龍を睨みつけるユウ。龍は僅かに青い光を吐いてまたこちらも睨みつける。


 ……いや、ユウと言っていいのだろうか?些細な問題かも知れない。だが、目の前のアレとユウを同じと扱いなのは些細なのだろうか。別の誰かに乗っ取られたユウを呼称するとしたら………。アナラーラ(何者でも無い)とでも言うか。


 アナラーラ……最初の時は威勢が良かったが今は良い様みたいね。氷を武器として扱っているが攻撃を二回程で砕けてしまっている。明らかに弱まっているのだ。きっとユウが乗っ取られるのに抵抗しているのね。


 龍が何かに気付いた。少しハッとした顔でまた再び睨み出す。空気を大きく吸う。ブレスね。


 予想していた展開はすんなりと裏切られた。龍が青く光だした。自爆?でもアナラーラを巻き込まない。つまり今やる意味はない筈。


 少しの混乱が起こったのち龍の姿は何処にも無く、一人の女の人がそこに立っていた。長身で褐色、血の様な赤と茶色が混ざった色。身体はある程度鱗で覆われている。下半身は完全に鱗が覆っていて、上半身は胸、指にだけ覆われている。


 呆気に取られた。龍は走り出し、それに迎撃しようと構えるアナラーラの上を華麗に通り過ぎて私達の所まで飛んできた。


「おい、人間共あいつを元に戻したいか?」


「えっ……!戻せるの?」


「少しばかりお前らがあいつを拘束してもらうがな」


「………やってやる、やってやるさ!一崎が元に戻るんだったらな」


「いい返事だ、勇者」


 それに同調するかの様に仲間が頷く。何をするかは分からない。それでも信じられると心から感じる。ユウを戻したいのは勇者達だけじゃない。やれることやって、目覚まさしてやる。


 と言っても私は魔法は苦手だ。使えても火球を一個ヒョロヒョロと飛ばすことが精一杯。ユウみたいに拘束は叶わない。だから直接戦闘で抑え込む。


 走り出してユウに向かう。剣を思いっきり振る。ユウを傷つけたくは無い。でもきっと……!アナラーラなら防ぐ筈。乗っ取っているからと言ってもユウが死んでしまえばアナラーラも動かせないだろう。それは伝承でもそうだった。


「邪魔だ……!貴様らなどに今は興味は無い」


「あら、随分と焦ってるのね?焦らないで私と戦ってちょうだい」


「鬱陶しい……!!」


 アナラーラは氷を剣の形にし、防ぐ。硬い。龍に攻撃したら二撃で壊れていたのに、今でも十分硬い。力任せに斬ろうとしては駄目。なら!


「『脚力強化』」


「っ………!?」


 身体を下に落とし、横から蹴り入れる。それを左腕で防がれた。生身の左腕は少し血が出る。回復薬は残り5本。その内お高めのやつが2本。少し使い過ぎたわね。


「おいおい、お仲間の身体に容赦なく蹴り入れるなんて中々ぶっ飛んでんな?」


「必要な怪我よ」


「まぁ(わたし)を倒せると良いなぁ!」


 声と共に腹を蹴られて後ろに吹っ飛んだ。こんな……!私よりも威力が高い。地面に転がる。自身を強化しろ!伝承のようにはさせない!今、出来る全てを!後先は考えるな!


「し、『身体強化』」


「『剣強化』」


「『筋力強化』」


「『属性強化』」


「『火炎の剣』」


 MPはこれで空。正真正銘全力。走り出し、高く跳ぶ。アナラーラが私に向かって氷を放とうと周りに氷を出現させる。それを撃つ。私はそれを唯剣で弾いてアナラーラと距離を詰める。


「とぉおおおりゃあああああ!!!」


「ちっ……!」


 叩き斬ってやる!なりふりなんて考えてられない。回復薬で死ぬことは無い。連撃、氷は炎に弱い筈それなのに……先程よりかは斬れる。だが、簡単じゃない。


 なら足で氷を弾く。それと同時に身体を斬る。空中で回転して着地。


「足癖の悪い女だな……」


「昔からよ!」

ようはサマーソルトの要領

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