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星闘家、星を殴るまで  作者: 竹小
海の国 アルモンテ
22/32

二十一星 お前の身体を貸せ

友達三人で公園でキャッチボールしてたんだけど、ふざけて円盤投げの要領で投げたら友達の股間に見事に当たって二人で笑ってました。

友達の迷言「俺は肯定も否定もしない。ただ馬鹿にするだけだ」

 どうしたもんかな。戦うしかない訳だが、正直勇者御一家見捨てて逃げる事も出来る。が、魔王は誰が倒すんだって話になるからな。ここは撃退戦をするしかない。


 勇者が斬りかかった。剣にはオーラが纏われている。多分強化系のスキルを使っているのだろう。勇者の攻撃はドラゴンには効かない。ダメージが入っていない。それでも攻撃し続ける。格闘家がドラゴンに殴り、剣士は炎を纏った剣で攻撃する。やはりダメージは無い。ドラゴンは全体的に動きが遅い。鬱陶しく思ったのか尻尾で薙ぎ払うが避けられる。


 ドラゴンには焦りなどは見受けられない。まるで周りに虫が集っているのを嫌う人の様だ。俺は星制を投げつける。効かない。それはおかしい。星制のノックバックが入っていない。あの肉塊にさえ効くのに。魂鎮で斬る。やっばオーラを纏うのを忘れて斬ってしまった。何故かドラゴンの鱗に僅かな切り傷が入った。勇者達の攻撃でも傷一つさえつけられなかった鱗にだ。


 種が分からない。あっ勇者が覇撃を当てた。効いていない。なんなんかな?ただオーラを使わずに攻撃すれば良いのは分かったが、スキルが効果が無いとなると戦い方もダメージの量も変わってくる。取り敢えずは物理で殴る事を皆に伝えよう。


「おい、スキルを使うな!こいつには効果が無い。物理で殴れ!」


 俺の言葉を聞いた戦闘職はスキルを解除し剣や拳で戦う。いいね、言われた情報をすぐに実践出来るなんて。俺も出来たら良かったのにな。ただちまちまと斬り続ける。龍はお怒りらしい。龍は何かを構える様に直立。顔を天に向け、大きく息を吸う。口から溢れる青い炎。龍はブレスを使う様だ。規模を確認する為に此処は星透を使うか。


 俺は星透を使う。ブレスは丁度俺を狙っての様だった。龍の口から放たれたブレスは青く、星殴の時と同じ色をしていた。視界が青色に染まる。次の瞬間俺は壁まで吹っ飛ばされた。身体が痛い。全身が焼かれている様な痛み。特に右腕がとても痛い。本来無いはずの右腕の痛みで頭がバグっちまいそうだ。気が遠のく。壁にぶつかった所為で脳を揺らしてしまったか。立ち上がろうと右腕で地面に触ろうとすると、俺は地面に倒れ込んだ。右腕が無い。再生されていない。……もう…意識が…。


 地面に倒れ伏す俺。こんな事してるからゲームでも地雷とか言われるんだろうな。こりゃ死ぬかな多分。ふと気がつくとまたあの白い空間だった。目の前に居るのはヌルだ。何の用だ。倒れ伏している俺を屈んでじっと見ている。


「何が目的だ…」


「………」


 何も答えない。もしかしたら答えられないが正しいのかもしれないが今の俺にしてみれば唯不気味なだけだ。


「……お前の身体を貸せ」


 そう呟いたヌルは俺の頭に手を置いた。次の瞬間身体がまたあの時の様に包まれてゆく。何だ?!コイツはなんなんだ。


ーーーーーーー


 一崎君がドラゴンのブレスで倒れちゃった。でも一崎君が残した情報はとても有り難い物だった。私は純ヒーラーだから戦えないけれど天野君や神野さん、佐藤君にエルキアさんが積極的に攻撃している。


 私はその間に一崎君を回復させようと回復魔法を使ってみる。普段であれば外傷はすぐに消える筈がどう言う訳か治らない。何度も懸命に魔法を掛けるが治らない。


 突然一崎君が動き出した。目は虚に龍を見つめている。片腕の無い状態で龍に立ち上がって歩いていく。

無かった筈の片腕は煙を出しながら急速に再生しだした。


「一崎…君?」


 一崎君は身につけていた装備を脱ぎ捨て、そこら辺に捨てた。紫色をした禍々しい腕は鱗の様な物を逆立てる。逆立った鱗は周りの空気を取り込んでいく。パキパキと音を出しながら結晶が鱗と腕の間に結晶が生成される。髪の毛は暗めの紫をしていた筈がいつのまにかはっきりとした紫色に変色している。


 何か嫌な予感がする。一崎君が人とは別の物に変わっていく気がする。恐怖というのだろうか冷や汗が出る。龍の元へ走り出し飛び上がる。そのまま龍の顔を殴った。


 一瞬だけ顔が見えたけど左下から血管の様に紫色の模様が走っている。龍は咆哮し一崎君に注意が向いた。それに乗じて天野君達が龍に攻撃を加える。


「来てみろよババア!そんなに(わたし)が憎いんだったらな!」


 何を言っているの一崎君。人が変わったみたいに一人称も変わっているし。


 噛みつき、ブレス。確実に一崎君だけを殺す気なのだろう。それを一崎君は笑いながら避けて近づいて行く。右手に炎が現れ、剣のように形成した。龍のひっかきをスライディングで避けて近づき脇腹を斬った。鱗は焼き焦げて黒くなる。龍は痛そうに顔を歪めて一崎君を睨みつけた。


「落ちぶれたなババア、本調子でも無い(わたし)程度でダメージを喰らうなんてな。さっさと本気になれよ」


 その挑発に乗ったのか龍は青いオーラを身体に纏い出した。天井ら辺の所まで飛翔した龍は空中で止まり下を向きながら口元に光を集め出した。


 明らかに大技だろう。幸いにも龍が塞いでいた帰り道が通れるようになった為急いでそこまで戻ろうと皆んな走り出した。唯一人一崎君を除いて。


「一崎、早く戻れ!!何かやばいのが来るぞ!」


 天野君が一崎君に呼び掛ける。一崎君はゆっくりと此方に振り向きニヤリと笑った。


「此処からが本番だろ?勇者様」


「何を言っているんだ!死ぬぞ一崎!」


「関係無いさ、折角コイツを殺せる機会なんだ勿体無いだろ?」


「っ……!!」


 天野君は言っても聞かない一崎君を連れ戻す為に走り出した。そんなのはお構い無しに一崎君は右手を龍の方向に突き出した。


 龍は顔を上げ、曲線を描きながら一崎君目掛けて落下する。空中から一崎君まだ半分になった地点で龍は大きく口を開けた。口の中は青く光っていた。


 駄目だ天野君が、一崎君が死んでしまう。私は…何も出来ない。唯見守るしか出来ない。


 一崎君の突き出した手から氷が生成されていく。


「良いなこのガキ、氷が扱い易くてな!」


 どんどん大きく壁の様に何枚も何枚も分厚くなっていく氷の壁と龍が衝突した。最初は龍が勢いを止められそうになっていたが口の光が更に光出し、壁を壊して進んでいく。


「はっはっは!良いじゃん、(わたし)を本気で殺しに来い!」


 笑っている一崎君を天野君は肩を掴み、諭すように引っ張る。それに苛ついたのか一崎君は片脚で蹴り飛ばした。そのまま足元から氷を出して天野君を拘束した。


 しかしその所為で気が緩んだのか龍が凄い勢いで氷を砕いていく。慌てて守ろうとしたが時既に遅く、最後の壁も砕かれ一崎君は龍に噛みつかれた。


「くっそ!横やりさえ無ければ…」


 全身に噛みつかれ動けない一崎君。龍はそのまま地面や壁に叩きつけたりなどして攻撃を加えた。耐えかねた一崎君は身体を揺らしてなんとか右腕だけを外に出した。また煙をあげながら再生された腕。


 氷を生成し、先端を鋭利に尖らせそのまま龍の口元に突き刺した。怯んだ龍は噛みつきを緩めてしまい一崎君を解放した。


「残念だったなババア、殺す機会を逃しちまっ……!?」


 一崎君の身体から突然龍と同じオーラが漏れ出していく。一崎君は苦しそうに地面に跪いた。


「くそったれ!意外にもしぶといガキだな……」


 苦しみながら立ち上がり威勢よく叫んだ。


「さっさと来いやババア!」


 氷で剣を作り、龍に立ち向かってゆく。唖然となって見ている場合じゃ無い、早く天野君を助けよう。そう思い天野君の所まで駆け寄り自分の杖で氷を砕こうと試みた。びくともしない氷。私の力では砕けないみたいだ。それでも一生懸命に殴り続けた。


 佐藤君達ががそれに気が付き一緒になって氷を砕こうと試みる。それでもちょっとしか砕けない。

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