二星 俺って戦えない?
ちょっと違和感とかツッコミがあるかもしれないけど水に流して下さい。後度々話の終わりになんとか解説とか入れます。それと誤字報告ありがとうございますm(_ _)m
グットモーニング異世界。今日は訓練の日だ。ようやくスキルが使えるかもしれねぇんだぜ?こんな意味が分からないスキルがな、それと実践的訓練。今更だがよくよく考えると剣道やらスポーツやらやってる奴は自分の間合いとかを分かってるんじゃないかと思ったんだ。謝れ、昨日の俺。スンマセンデシタ。
てな訳で、朝食を終えて訓練の時間へとなりまして…ようやくどんな力なのかを認識することができる。戦闘での役割分担は基本だ。その中で俺はなんの役割になるかによって利用価値が高くなる。できれば囮役は御免だな。
そんな事を考えていると、ゴツいゴリラ顔の鎧を着たおっさんが来た。ご立派に装飾が施されているが、ゴリラがギラギラしている物を身につけているみたいで眩しい。今日からあいつのこと成金ゴリラと呼ぶか。ネロとか呼ばれてた気がするが。
「これよりステータス及び、スキルについて説明する」
「ステータスは基準値は100。100以上から120以内までがレベル1の最大値だ」
「ステータスを伸ばすには魔物の討伐がセオリーだ。また特定のアイテムの使用でステータスが伸びる場合があるが、希少ゆへにステータスを伸ばすにはレベルを上げるのが手っ取り早い」
「その次にスキルについてだ。スキルを使用するためにはスキル名を唱えると使用する事ができる。この中にも召喚時に試したものもいるかもしれないが、王宮ではスキル封じの魔具を張っているため使うことはできない。使用できるのはここ、訓練所だけだ。スキルは使用するたびMPが消費されていく。スキルには二種類があり職業による固有スキル、条件を満たせば獲得する事ができる条件スキル。前者のスキルではレベルが5、10、15…と上がっていくと解放されていく。そしてレベル80に到達すると秘技が解放される。秘技はその職業の奥義だ。どれも強力な物ばかりの為ハズレなどない。後者は熟練度があり、最大レベルは5だ。使い勝手はいいが、いかんせん取得条件がわからないものもある。その為、主軸として使うのは当然固有スキルになっていく。それと、条件スキルは自身の戦い方が顕著に表れる。あまり敵に見せてはダメだ、以上だ。今から訓練を始める。全員スキルを使用しろ」
ハッキリ言おう、俺のスキルはやはり戦闘向きじゃない。スキルを使用するとエフェクトが発生するだけだった。スキルの効果がわからない。このスキルはバフかと思ってもステータスは伸びない、属性付与でもない。ただのエフェクトのみ。それとMPが1ずつ時間が経つにつれ消費されるだけ。弱い、弱すぎる。俺は強さが欲しいんだ、弱さは要らない。なんなんだよこの職業。
「これより模擬戦を始める。各々、スキルを使い戦ってくれ。危険だと判断した時は仲裁として割って入る、武器はそこのタルの中に木刀などがある。得物を選んでくれ。また勝敗は片方が降参するか、勝敗が明白になった時に俺が判断した結果だ」
成金ゴリラに言われた通りに武器を選ぶ。よく分からない職業だし適当に木刀でいいか。みんなは自分の得物とか分かるのかな…昨日固めた決意は今では融解しかけて、気持ちが沈んでいく気がする。やっぱり俺は戦えないんだ。被害妄想が過ぎってくる。嫌だな。そろそろ始まるな。
「一試合目、相田陽対天野照之始めっ!」
最初に仕掛けたのは相田だった。相田の職業はシーフ、得物はダガーナイフ。相田はまず試合開始直後から天野に対して一直線に突っ込んだ。一瞬反応が遅れた天野に対して絶え間なく両手に持った二本のナイフで連撃をくれ出す。天野はひたすら木刀で防いではいるがジリ貧だ。勇者とは名ばかりか。
シーフの固有スキルは確か『盗む』とか書いていたかな?名前的に相手の物を盗む感じだろうな。前のステータス開示で見ていた感じとして他の職業に比べてレベル1にして脅威の120と高かったから戦闘スタイルとして相手を翻弄したり、自分のペースに持ち込むのが強みだろうな。その点、勇者はステータス的にオールラウンダーで他の職業に比べて初期ステータスが軒並み高かったのが印象的だったな。固有スキルで『覇撃』とか言う名前からしてレベル1のスキルにしては仰々しい名前だ。絶対攻撃技だろうな。まぁ今の試合運び的に今は相田が優勢だ。この試合は天野がどれだけ慎重に戦えるかが重要だが、下手して覇撃を外せば相田の勝ちになるな。
「とりゃああああああ」
「いつまで耐え続けられるかな?」
相田は連撃を続ける。それでも喰らい付いて防ぐ天野。痺れを切らしたのは天野だった。相田に対して袈裟斬り、しかし軽く後ろに引かれて避けられる。その隙を逃さず、相田の蹴りが天野の腹部に入る。少しのけぞって膝を突く天野。そのまま相田は天野に突っ込み、天野が焦り覇撃を使ったが横に避けられ天野の首にダガーナイフを突き立、試合終了。
「勝者、相田陽!」
「しゃあ!」
今回の試合はしっかりとシーフの強みを活かしたのが勝因の一つだろう。天野もしっかりと冷静に判断をしていれば勝敗は変わっていたかもしれない。それからというもの特に面白味もなく試合が終わっていき、次は俺の番になった。どうやら順番はくじらしい。対人戦でスキルの能力がわかるかもしれないとなると少し喜ばしく思う。
「次、一崎悠対辻川隼人始めっ!」
相手はいつも素行が悪い事で有名なクソ野郎だ、素行だけでなく人間としてのゴミだ。まあ心の中でしか悪口言えないが。それより相手は仕掛けてこない、ニタニタしながら煽ってくる。なんかチビだの、腰抜けだの、小学生並みの煽りしかしてこないが。それでも煽ってるって事はアイツ俺が弱そうだからって舐め腐ってやがるなぁ?いやまぁ弱いけどさぁ…スキルを実践 してみたいんだ早くしてくれ。俺が無反応でいるとクソが突っ走ってくる。俺はここでスキルを使用を試みた。
『星透』
「死ね!クソ陰キャ!」
結果から言おう、クソの攻撃は通じなかった。俺が止めたでもなく俺の体を通過して当たらなかった。まるで霧を切り裂くようにクソの攻撃は通過していった。ここまで聞くと強そうだが、俺の予想的にこれ、俺が攻撃をしようと意識した時点で実体に戻るっぽい。つまり俺は攻撃について考えたら相手も攻撃する事ができる。つまり何が言いたいかって?俺は今クソに攻撃できない。クソも攻撃できない。弱かった。このスキルは弱かった。この状態でいると攻撃をするという考えが薄れていく、そして俺は降参を選んでしまった。まあスキルの効果がわかって何よりだ。今の気持ちは菩薩の気持ちだ。辻川君との試合はあまりいいものではなかったが誰も怪我をしていなくてよかった。
はっ!なんなんだこの気持ちはなんであのクソの事を辻川君なんて呼んでんだ俺。これもこのスキルの効果なのか?ダメだ完全に戦闘で使えない。クソが希望が消えた、さよなら俺のスキル。俺は肉体だけで次のスキルが解放されるまで戦う事を決めた。俺は強くなりたいんだ、ラノベみたいに俺は最強になってやる。そんな事を決意していたら、全試合終わったらしい。そして全試合の中でまともに戦わずに降参したのは俺の試合だけだった。成金ゴリラから「まともに戦え!」と言われた。クソが首を縦に振っていた。解せぬ。てか皆んな意外に試合ちゃんと戦ったんだな。怪我するのが嫌だって人も居るだろうに。
そうして、一日が終わった。ベットに横たわりながら今日の事に振り返ると思うがスキルもゴミ、ステータスもゴミ。この先、俺はどうなるんだ?一生足手纏いなのか?それは嫌だなぁ。明日は魔物の討伐をするらしいし、レベルを上げないとな…そして俺は眠りに落ちた。
スキル解説
『星透』
効果…自身を霧状に変化させ、攻撃を無効化する。ただし自身が攻撃する際は実体となる為、そこを突かれると弱い。また時間経過していくと心が優しく穏やかになっていく。隠しステータスに影響が…?
消費MP…二秒ごとに1ずつ消費されていく
『覇撃』
効果…武器にMPを流し込みそのまま叩き斬る。初期ステータスでは連発は出来ない。
消費MP…60
『盗む』
効果…文字通りただ盗むだけ。ただし盗む為の動作や対象の場所が直感的にわかるなどしてMPは使う。
消費MP…2