十三星 扉の先、危険にて気を付けろ
スキルの詳細を覚えていない、定期投稿もできない日本語不自由な私を許してください…。
目の前には二体の魔物。西洋甲冑を着ていて、槍を持っている奴、レイピアを持っている奴。槍を避けるとレイピアで刺されそうになり、避けるのにも人が多すぎる。俺一人だけだったら無理矢理門を通る事も出来そうだが…。
「ユウ!此処は任せて行きなさい!」
そう言ったのはエルキアだった。有り難い事この上ない。さっさと中に入って制圧するか。…此処で少し話さなくてはならない事がある。星睡についてだ。コイツを使えば睡眠を強制する事ができる。だが、この星睡…周りにいる生物に対して無差別に強制させるからかえってピンチになるスキルなんだ。
だからこそ味方が居ない方が良い。俺はエルキアの言葉を皮切りに走り出した。門番は突っ切ってきた俺を迎撃しようと槍とレイピアを突き出す。突き出された武器に俺はこのままでは当たってしまう…だから俺は飛んだ。
飛び方は簡単だ。ただの走り高跳びでしかない…が、前のダンジョンの時のようにこの世界では本気で走ったり飛んだりしたら超人級なのは知っている。
軽々しく門番と門を超えた俺は受け身をとり、着地をする。城まではそう遠くない。走り出した俺は魔物の攻撃を避けつつ城を目指す。
城下町に比べて明らかに多い。避けるのも大変だな。走り出してから数分目と鼻の先に城の扉がある。…妙だな先程に比べて魔物が居ない。少し少なくなるだけだったらあまり気にしないが急に100か0になれば明らかにおかしい。
俺は少し戻り、背後を晒していた一体のゴブリンを喉を刀で貫きネジ切る。曲げた首を蹴り飛ばし、首無し死体を持って扉に勢いよく投げつける。
扉の向こうに行った死体は無数の矢に撃ち抜かれていた。…トラップはあったようだな。ズカズカと俺は城に入ってみたがトラップは作動しなかった。
嫌な静かさだな…。薄暗い、本来シャンデリアやらが光を灯している筈が今は外の光だけが部屋を照らしている。…魔物は居るのだろうか。これは制圧する必要はない様に感じるが、今回魔王軍を率いてきた指揮官的ポジションの奴を見なかった。居るとしたら此処しか残っていない。
俺は少しこの城を探索する事にした。左の廊下を進んで行くと書庫があり、厨房があり、執務室があり、階段があった。俺は階段を上り、探索を続ける。
虚しく響く足音だけしかない空間。なんとも不気味に感じてしまう自分がいる。赤いカーペットが敷かれた廊下は先が見えず少しばかり埃臭い。
遂にたどり着いた城の端には階段がありそこを上り三階へ。今度は左へ行く。開けた場所に出た。そこの奥に先程まで見た扉とは違う金を使い豪華に装飾された大きな扉があった。あれは多分玉座の間なんだろう。調べてみるか。
扉を押すとギーと鳴り扉が重々しく開いた。扉の先に見えたのはあの骨野郎と同じくらいデカく体はただの肉塊であり体から生えた無数の手は大小様々でありだらんと垂れている。頭部はない。ただ肉塊がそこに有るだけなのだが見る人によっては中々キツい見た目だ。
「なんだぁあ?にんげんかぁ?」
その声はなんとも子供の声と大人の声が同時に喋り舌足らずな様な声だった。手しか無いと思っていた身体には手と同じ位有るであろう目が此方に焦点を合わせていた。
「お前が今回の首謀者か?」
「それぇいがいにぃみえるのかぁ?」
意外に素直だな。肉塊は自らの手で這いずりながら寄ってくる。だが遅い。その這いずる姿はナメクジを連想されてしまう。綺麗に敷かれたカーペットはグッチャグチャになっていた。
「じゃまなぁやつはぁころさないぃとぉなぁ」
肉塊は床から俺へと向かって何かが飛び出して来た。俺は後ろに飛び回避する。何だ何のスキルだ、それとも魔法か?見えたのが一瞬だったせいで分からねぇ。
床にはポッカリと俺と肉塊の間に縦長に穴が空いた。
「なんだぁよけられたかぁ」
今度は飛び道具か!スライディングで掻い潜り走り出す。魂鎮であの肉塊をブった斬ってやる。星縮で距離を詰めると刀で肉を斬ろうとする。しかし断つことは許されず刀は肉に阻まれ抜けなってしまった。
「なっ…!?」
「きれるとおもったのかぁ?」
このままでは不味い避けなくては…!決死の思いで魂鎮から手を離すと上から巨大な手が地面に向かって振り下ろされた。どっから出したあの手…先程まで無かった筈だ。
取り敢えずの星制を使って様子見。このまま星制を使えば星殴が使えるようになるが、相手の方がそれを許してくれるだろうか。避けるにも限度があるし、下手に近づけない。
それに星殴を使って殴った所であの刀の様に拘束されるのでは?だが避け続けるしか今は道が無い。どうか打開策を思いついてくれ俺….!
俺が肉塊と接敵してから約…15分位だろうか流石に身体がヘトヘトだ。息が上がっている。こんな今の俺じゃ無理だ倒すのは。レベルが足りない…23レベでは圧倒的に倒せない。攻撃を掠っただけで俺の体力のステータスが一気に下がった。足が痛い…腕が痛い…視界が霞む。
「さいしょのぉいせいはどうしたぁ?」
「もっとこいよぉぉお」
それは突然だった。不自然だったんだ何も無いところから肉塊が飛び出て来るなんて。あいつは自分の体を肉を自由自在に操れる。だからこそ、それを警戒しておくべきだった。肉塊から伸ばした肉の手は俺を拘束した。伸ばされた肉の手は肉塊へと戻り肉塊との距離が縮む。
「よくやくきてくれたぁ」
腕、足を伸ばされ十字架に捕まっている。星透はMPが無く使えない。星睡は効果がない。新しくゲットしたスキル…星棺も効果がない。etcも使えない。つまり俺はもう終わりだと言うことだ。
死ぬのか…なんとも悔しい終わり方だな。
肉塊は俺の腕を強く握り締めていく。痛い痛い。メキメキと鳴らしてはいけない音が俺に耳に響く。ジタバタと暴れようと踠こうとするが拘束されているせいで思う様に動けない。握られた腕はもう感覚は無く痛みだけが残っている。….弄ばれているんだ俺。バットエンドだな。
「あっはははははは!もう使えない腕はいらないよなぁ?そうだよなぁ?おれってやっさしぃなぁ」
「ああああぁああぁああぁあぁああああ?!!」
俺の絶叫と共に右腕がもがれた。見れば骨が丸出しで肩しか残っていない。クソ!クソ!こんな奴に俺は勝てないなんて…。気絶してしまいたい。
………いやまだだ。こんな所で死ぬなんてごめんだね。俺はバットエンドは嫌いだ。せめてノーマルエンドで終わらせてやる。MPが無くても使える物がある。…サンキュー村長。あんたが教えてくれたお陰で俺はまだ舞える。
俺はこの適正は余り無いらしいがそれでも使える。最後の抵抗だ。静電気って痛いよな?
「雷の….言葉!」
全身を覆った雷に奴は直で触ったんだ痛くない訳がないよな。掴まれていた腕を離してもらえた。余り高く無かったのでそのまま着地し、俺はポッカリと空いた穴に飛び込んだ。
「あっ!にげられたぁ…でもまたつかまえたらいいよねぇえぇ!」
そんな事させるか!俺は氷の言葉を使い穴を塞ぐ。これで時間稼ぎは出来る筈だ。落ちた先はただの部屋だった様で俺は扉から逃げ出す。階段を降りる事さえ時間が惜しく感じる。少しでも距離を稼ぐ事を優先する。
右腕を押さながら走り出す。…ペシャンコになった鎧を脱ぎ捨てる。バックの中から薬品を取り出す。この前エルキアから教えてもらったMP回復してくれる薬品だ。俺は一気に飲み干しそこら辺に捨てる。後で怒られようが知らん。今は二階の左端を目指してただがむしゃらに走っている。