十一星 お前骨じゃん
矛盾など違和感など指摘してもらえると幸いです。後受験合格しました。最近は調子が良いので頑張って投稿していきたいです。
ただいま十層に居ます。わかった事、星制使いやすい。この星制色んな物に固さ関係なく刺さる性質が有るのだ。肉体だろうが壁だろうが豆腐の如く刺さる。それと1分ぐらい放置すると勝手に消えるし刺さった所は何も無かったみたい穴が消えていたのだ。
つまるところダメージは多分無いと予想できる。でもノックバックは有る。とりあえず投げとけって感じのスキルかな。後段々わかってきた事だが多分星殴の使用条件って星透とかのスキルを使えば使える様になるって事かな。
ここのダンジョンは敵が少ないのが幸い…じゃ無いなうん、レベル上がらんし。もしエルキアの言っていた魔物と戦闘になった場合俺より強い事は明白だ。俺には技術なんか持ってないからレベル差が酷いと一蹴されるのがオチでしかない。
だからと言って態々魔物を探すとなると仲間さんが死んでいる可能性が跳ね上がる。確実に一瞬で倒せる方法があれば上げやすくなるが…。
いい事思いついた。魔物の不意を突いて俺が星制使って壁に貼り付けて魂鎮で首を断ち切れば効率よくやれるんじゃね?
思い立ったが吉日。魔物がいたらやるしかねぇよな?待ってろよ魔物ども。
そんな事を思いつき、俺はエルキアと共にほんのばかし走り、途中にあった曲がり道を曲がっていくと丁度1匹のあのスライムに食われていた鳥の魔物と同じ奴がいたので、早速試してみた。
「エルキア、少し待っていてくれ」
「…あんた何する気?」
「実験」
ゆっくりと俺の身長ぐらいの岩に隠れながら星制を構える。狙いを定めて、あいつが壁に近づいた瞬間、投げる!
よし、上手く壁に突き刺さった。間抜けな面晒してんな。だが安心しろそんな間抜けでも俺の糧となれ。
よしよしこれでレベルが12に上がったぜ。…なんかレベルの上昇量が少なくなってきている。さっさと次の奴を殺さなくてわ。
さっきの実験を元に道中出会った魔物大体20匹位を倒し大体レベル16になった。ここまではいいんだが見つからないんだよお仲間が。
「…見つからねぇな」
「仲間と逸れたのはこの層で間違いないのだけれど…数十分歩いていないとなると死んでるかもね」
「案外薄情なんだな」
「薄情な訳ではないわよ…。ただ可能性の話をしてるだけよ」
「死んでるとしたら遺品だけでも回収してやろう」
「…それもそうね」
そんな話をエルキアとしている時何か巨大な物を引き摺る音が響き渡り、地面が揺れている。近いな。てことはつまり、戦闘は避けられなさそうだな。
引き摺る音がどんどんズルズルと聞こえてくる。その音はまるで骨を無理矢理地面に押し付けて引き摺っている音だった。
薄暗い洞窟は松明の光しか光は無い。そいつはそんな光に気づいて来たのだろうか。そいつの進路に居る魔物が進路に巻き込まれて死んだのだろう…先程とは違い、微かにピチャピチャと水の音がした。どんだけデカいんだよ。
もう来たのか。松明の光がそいつの姿を表す。そいつは蛇の体から腕が生え、2本のデカデカとした羊の角を生やした牛の頭部を持つ全長はゆうに10mは超えているだろう巨体。その体は全て骨でできたスケルトンだった。
「貴様ら…今この瞬間、この場にいた事を後悔するがいい…」
「……っ!…喋った!?」
「貴様らに話す事などなに一つとして無い。このまま理解もせず死んでいけここに来た冒険者達のようにな」
そいつは手を広げ、地面が盛り上がる。勢いよく地面から飛び出し、そいつの手の中へ収束する。それは骨だった。無数の骨が一本の棒のようになり、形作られ杖となった。
さっきあいつが言っていた“ここに来た冒険者達のようにな“あの言葉もしかして…。お仲間は死んでる可能性が大いに高まった。多分エルキアも気付いてるだろうし。
「おのれ!貴様、私の仲間までも殺したのか!」
「覚えてなどいるものか…例え私が殺した所で貴様はどうする。私を殺すか?恨むだけなのか?言葉ではなく貴様の行動でそれを示せ」
「貴様ァ!!」
「待て早まるなエルキア!」
駄目だ我を忘れて突っ込みやがった。こうなったら俺も続くしかない。刀を握り締めた時エルキアは既に走り出し、壁を走り奴の背後に回った。余りの速さに俺は一瞬だけエルキアを見失ってしまったが次の瞬間壁に吹き飛ばされたエルキアが俺の真横にいた。
「どうした?殺す気だったのだろう….。本気で我を殺しにこい。退屈なだけになるぞ」
おいおい、どんだけレベル差あんだよ。…いや、絶望するにはまだ早い。俺にだってやれる事はある。
「やってやる…俺だってやってやる!」
「ふんっ…無駄な足掻きを…」
魂鎮に纏ったオーラは振り払って俺は奴の目の前まで行く!
「『星縮』」
さっき実験した時に獲得したスキルだ。使えば自動的に敵との間合いを詰められる自動縮地。そのまま刀でブった斬る。
それはほんの僅かに奴の身体を刀が裂いた。振り払った刀の先端だけしか奴の骨に触れていない。しかし奴は苦しんだのだ。俺が何かに吹っ飛ばされてしまったが。
「あああああああぁぁああぁ!?」
「貴様?!何故そんなガラクタを持っている!」
「…ガラクタ?俺はあまりこの世界について知らねぇから何の事かさっぱりだ」
「貴様…我の存在を知っていたのか。有り得ぬ!あまりにも出来過ぎだ!」
一々五月蝿えな犬の好物野郎。何だか良く知らねが倒せるんだったらそれだけでいい。お前は強いんだろ?たんまりと経験値が入りそうだ。自分が不利だったら尻尾巻いて逃げるのか?違うよなぁ!姿覚えられたくねぇんだろ。殺しに来いよ、ぶっ殺してやるから。
「『星制』」
星制を呼び出しあいつの顔面へと投げつける。三本中一本だけしか刺さらなかったが刺さる事はどうでもいい。意識だけそっちに向いたらいい。少し顔が後ろへとのけ反って俺から視線が消えたので星縮で詰める。今度は慌てて斬る必要はない。しっかりと骨を断つ!
袈裟斬りをする。あいつの骨が周りに飛び散った。空洞しか無い身体がぽっかりと骨が断たれ露わになる。
「貴様ァ…何者だ!誰の手の者だ!」
「ゴチャゴチャ五月蝿えよ!」
横にステップ。人間的に言うとくびれの部分を切ったのかな?まぁ尻尾が身体の大半を占めているせいで全長が10mぐらいと言っても言うほどデカく感じない。それにお前、尻尾斬られたらバランス取れないだろ。俺の方向に身体を向ける前に…!
痛みでお前、転びかけただろだから反応少し遅れたな?そう易々と見逃すほど俺は優しく無いんでな。そのまま尻尾の骨斬らせてもらうぞ。
「そのまま斬られろ!」
断たれた尻尾は宙を舞い地面へ強くぶつかった。その衝撃少し崩れて周りに骨が飛び散っている。
「おのれ…おのれおのれおのれおのれ!」
「我魔の者として命じる我が眷属よ顕現せよ」
カタカタと砕けた骨が集まり、何処からか来た頭蓋骨が最終的に頂点に乗っかると四匹のスケルトンとして形を変えた。めんどくせぇ、ズッコケながら詠唱するなよ。
杖を使って体勢を変えようとあいつは頑張っているみたいだが尻尾が思いっきり無くなってるせいでバランスが取りずらいらしい。哀れだな。
「私は…まだやれるわ」
「おう、じゃあスケルトンを片すの手伝ってくれ」
「あいつはどうするの?」
「あいつはいいさ、どうせ碌に立てず俺たちがスケルトン共を倒した後でも立てずにいるだろ」
目の前には四匹のスケルトン。こいつらには武器は無く、素手。エルキアと連携を取れればまぁいけるかな。星制を構える。
投げる三本とも頭部に命中。こんな実力があればきっと現代で有名になってただろうな。全部スキルのおかげだけど。頭部を持っていかれたスケルトンはウロチョロと頭部を探している。ミスったな俺。かえって邪魔だこれ。
未だ頭部があるスケルトンと一体の頭部なしスケルトンを相手にすれば良い訳で…。
「エルキア!頭部の無いスケルトン二体の相手頼んだぞ」
「了解!」
エルキアが戦っている間に俺は魂鎮で氷の壁を生成する。それは今まで立ちあがろうと踠いていた食べ終わり野郎がとうとう諦めて這いずる形で逃げようと画策していた。駄目だぜ、お前はここで倒せられるのがオチって決まってんだ。
…今のうちに星制で刺して拘束した方がいいか?駄目だ。此処で無駄な消費は抑えておくべきだ。どの道逃げられないんだから徹底的にやらなくても良い。
おっといけねぇ今はスケルトンに集中しないとな。…あれ?なんか光ってんだけど。まさか!振り向くとこちらの方向に杖を振り翳した奴がいた。十中八九スケルトンを強化したのだろう。だってあからさまに光ってるし、剣と盾持ってるし。
横からの剣での攻撃。それに合わせて刀で阻む。反撃の薙ぎ払い。そのまま脊椎を切断。上下に分かれた骨は跡形もかな粉となりサラサラと散っていく。だが、その粉でまたスケルトンが出てくる。この攻防だって三回目だ。
…うざったいな、いい加減にしろ。上から目線で俺の事を値踏みするような目をしやがって…。お前は強く無い。先の出来事でそれは確信した。でもまだだ。あいつは俺をまだ値踏みしている。お前は上じゃ無い。…俺が上だ。
「エルキア、刀貸してやるから使え。どうやら効くらしいぞスケルトン共にな」
「えっ…そんな急に!」
「あいつには腹が立ったんでな。ぶちのめす」
「『星殴』」
全力で踏ん張った地面には俺の足跡がのめり込む形で残っていた。走り出した俺はなんだか自分が自分じゃない違和感が溢れていた。こんなにも何かに腹立ちを覚えたことは成長して大人へと近づいていくと無くなっていく幼稚な精神性のような物を感じる。
この世界に来てからというもの、与えられすぎた。レベルを上げるだけで命を簡単に奪える力が大きくなっていく。つまりそれは一般人に殺害する権利を与えた事と同じなんだと思う。武力や権利を持った人はそれを振り回す。
俺もきっとそいつらと同じだったんだ。知らなかっただけで。でもやらなきゃ死ぬ。何もせず生きる事を諦めるなんて真似はしたくない。地獄があるなら行ってやるさ…。後でな。
軽くビル1.5階ぐらいは飛んで、こいつの頭へと乗る。そのまま拳を頭部へ_。
「お前は!此処で一生寝てろ!」
たった一発で砕かれた頭蓋骨を俺はただひたすらに粉になるまで殴り続けた。心の中の怒りが薄く散布していく。その時にはもう奴の体はバラバラになっていた。
…少し殴り過ぎたな。血の滲んだ手を見ながら自己嫌悪さえ感じる。レベルが上がった。随分と上がるものだな。…なんでレベルに固執していたのだろか。家に戻りたいな….。
「終わったのね…。これ返すわよ」
「ああ、ありがとう」
「…まだ捜索は続けるのか?」
「ええ、もう少しだけ探したいの。付き合ってる?」
「頼まれたしな、付き合ってやるよ」
「じゃあ….行くわよ」
一、二時間探し回って見たかった物は骨で胸を貫かれた女と目を刺され、口から下が分かれていて首の骨の辺りからぶくぶくと泡を立てながら絶命した男がいた。死体は道端で多分あいつと戦闘して負けて死んだんだろう。
俺とエルキアは何も会話をせず、黙々と死体を火にやって弔った。漂ってくるゴミを燃やしたような臭いでエルキアは吐いていた。俺は何も言わずただ背中を摩ってやるだけしかできなかった。
吐き切ったエルキアは泣いていた。遺品を強く握りしめながら深く深く縮こまりながら泣いていた。叫ばずただじっと涙を垂らしていた。十分ぐらいしてエルキアは寝ていた。俺は起こさずに背中に背負い元来た道を辿っていった。
一層に着き、扉の近くら辺でエルキアは起きた。赤く腫れた瞼を擦りながら俺に話しかけてきた。
「…私はあいつらに恨まれているわねきっと」
「多分な。だがエルキア例えどれだけ恨まれたとして誰がそれを証明する?」
「…お前は聞こえないものを信用するのか?…今は考えず、死んだ後から考えようぜそんな事」
「…あんた、多分て何よ」
「今までの行いとか?」
「あんた今だったら首斬り落とせるわよ」
「待て、冷静に剣を当てるな」
「…はぁ、あんたの所為で恨みとかどうでも良くなって来たわ」
まぁ冗談言えるぐらいには元気になってくれて良かった。あのまま自己否定やらを続けているのを見るのは流石に嫌なんでな。
…起きたのに背中に背負い続けている俺はどうしたらいい。エルキアはなんかさも当たり前の様に背負われ続けているがそろそろ扉だから降りて。
「…村まで背負ってくれないかしら。今はこうしておきたいからお願いしてもいい…かしら」
「……わかったよ、安心して背負われてろ」
「ありがと…」
それからダンジョンを出た俺たちはまだ夜が明けぬ空を眺めながら村へと帰った。来た時とは違う少ししんみりとした森は俺は現代を思い出していた。
「それと言いたい事があるんだけど」
「なんだ?」
「あいつ、死に際に“一週間後お前達は魔王軍によって全滅させられる。我を倒したからと言ってその大規模な殲滅は止められない。せいぜい余生を楽しむのだな”って言い残していたわ」
「おい、それ早く言え」
「村に帰ったら村長にこの事を伝えないと」
「魔王軍ってことはエルフの都か…」
「そうなるわね、急ぎましょう。今だったら私達が出来る事だってあるわ」
魔王軍…あいつらもきっと今頃戦っているだろう。
忘れていたこの世界の事。俺たちは魔王と戦う為に呼ばれたのだ。今更それを思い出した。
魔族には職業システムみたいな物があり、それが種族システムである。種族ごとにスキルやらが共通である。まぁ使う時に前口上がある物があったりする。(人間側にもあるけど)
魔具やスキルで作られた物は時間経過で消える様になっている。そんな風に造られた。