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星闘家、星を殴るまで  作者: 竹小
エルフの大陸
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一星 異国からの来訪者


 人生において一番大切なものは何か知っているだろうか。愛や金、人など色々な回答が出るだろう。かく言う俺もそう言う回答をするのだが、人生は決まり決まったルートを辿る。それが正解であり、普遍。安定を重視するのが現代だ。「平凡」それこそが現代にとって一番だ。だが、それは人生にとって一番ではない。


 さて自己紹介紹介しようか、俺の名前は一崎悠。何処にでもいる陰気な高校生だ。

 平穏平凡な日常、それが普通。高校に通う俺たちは何もないこそが至高。それなのにそれなのにどうして、普段使っている教室では無く、見覚えのない場所に座り込んでいるのだろうか。考えられることは、俺たちはラノベで言うクラス召喚をされたらしい。


 見渡せば豪華に着飾られた部屋、真ん中に権威を示すかの如く威圧感が半端ないおっさんが一人。横に王冠を被った初老の男性が一人。その横に妻らしき女が一人。状況からして王様と王妃といった感じだろう。俺たちを囲むように大臣らしき人らがずらりと並んでいる。


「この度は感謝する、異国の者たちよ。今、我が国を含め世界中で魔王と戦っているのだが…」


「ちょ、ちょっと待ってください。言っている意味が分かりません!」


 王様らしきおっさんの話を遮ったのは、我がクラスの委員長の大久保楓。

品行方正を体現したかのようなまさに、リーダー。どんな人でも彼女が説得すれば言うことを聞いてしまうほどのカリスマ性がある人物。


「そ、そうだよ。ここはどこなんだよ、家に帰らせてくれ!」


 囃し立てる生徒たち。中には泣く人もいる、反対に興奮を隠しきれない人たちもいる。そんな中たった一声で俺たちは静寂へと返された。今までに感じたこともないくらいの怒声と覇気。威圧だけでイメージされたのは怪獣が咆哮したかのようだった。


「貴様ら黙れ!王がお話の最中だぞ。王よ続きをどうぞ…」


「ああ、すまんなネロよ。さて、続きを話そうか。世界中に侵攻する魔王軍と我々国際連合軍とで戦っていた。しかし魔王軍が更なる力をつけ、今や連合軍は劣勢に追い込まれ、国が消滅し続けている。諸君らはこんな状況下の中で唯一の希望なのだ」


「さて、この世界について説明したがこの世界にはスキルというものがある。全員『ステータスオープン』と唱えてくれたまえ」


「「ステータスオープン」」


 全員がそう唱えるとゲームのステータス画面と似たようなものが表示される。


ーーーーーーーーー

名前  一崎 悠 Lv.1

職業 星闘家 詳細ステータス

スキル 星透 ???

所持品 無し

装備

頭 無し

胴体 無し

腕 無し

腰 無し

足 無し

称号 異国からの来訪者 勇者 

ーーーーーーーーーー


 こう言うラノベ的展開といえば、職業勇者が居る。そしてそんな奴は大体…


「俺が…勇者!?」


 ほらキタ。彼の名は天野照之、スポーツ万能で勉強さえお手のものな完璧超人野郎で絵に描いたような主人公。神がいるなら、やはり彼を選ぶのだろう。


 それに比べ俺ときたら星と闘う者…。うん、意味がわからん。格闘家かなんかかよ。


「確認したかね、諸君。今から魔具を用いてステータスを開示してもらう。」


 王様が何か、後ろに指を刺すとそこに嘘発見器のようなものが運ばれて来た。開示かぁ…笑われるのがオチかな。


「まずはそこに列として並んでくれたまえ」


 王様に言われた通り並び、開示していくクラスメイト達。その中に勇者が混じっているがまあいい。王様達が何か感嘆とした声が聞こえたがまあいい。


 格闘家やら魔術師、呪術師、剣士、鍛治師などなど…。まあ王道な職業が多いの多い。まあ自分は王道から掛け離れた訳わからない職業なんだが。


 そろそろ俺の番だ。さっさと終わらせようそうしよう。


ーーーーーーーーー

名前  一崎 悠 Lv.1

職業 星闘家 詳細ステータス

スキル 星透 ???

所持品 無し

装備

頭 無し

胴体 無し

腕 無し

腰 無し

足 無し

称号 異国からの来訪者 勇者 

ーーーーーーーーーー


「何アレ?変な職業…」


「星透って何?弱そう」


 おお、聞こえてくる聞こえてくる。罵詈雑言が聞こえてくるは陰キャの宿命だろう。あれだ、レベル上げたら強くなるんだよきっと。それに???だってきっと最強の力なんだ、そう思うしかねえ。スキル詳細もない、格闘家ぽい癖に戦闘向きじゃない。生産職の方が役にたつレベル。あれだ、強くなろう。


 俺は泣きそうになりながら次の番に譲る。こう言う展開になれば友人が慰めてくれるなんて甘い妄想、ある訳ねぇぇぇ!


 そうだよぼっちだよ畜生。そんな呪詛を撒き散らしながら俺は部屋の隅に居座る。


 二十分近く経過したらしくクラスメイトのステータス開示が終わったらしく王様がメイドを呼び、俺たちを各自の部屋まで連れて行ってくれた。俺は部屋に着いた途端ベッドに倒れ込んだ。眠たいわけではないが疲れた。そいえばステータス画面に詳細ステータスなる物があったな。俺がどんなステ振りなのか気になるところだ。


ーーーーーーーーーー

詳細ステータス

筋力 100

速力 80

器用 120

防御 50

抵抗 85

体力 120

MP 110/110

ーーーーーーーーーー


 なんだこの貧弱さ。百が常人なら足は遅いし、防御力なんて紙も同然のゴミ。やはり戦闘職と言われたら中途半端だ。せめて七十は欲しかったが、時すでに遅し。そいえばそろそろ飯の時間なはず、メイドさんが午後六時から晩飯と言っていたはず、行くか。徐に部屋を出て俺は食堂に行こうと進んだが、結果迷子になった。すんません方向音痴で。地図がないか探すとするか。迷子になりつつ城を徘徊すると、誰かとぶつかってしまった。


「ご、ごめん。大丈夫?」


「だ、大丈夫です。あなたの方は怪我はありませんか?」


「いえ、特には…」


「そうですか、ってあなたは一崎くんですよね?なんでここにいるんですか?」


(うん?なんで俺の名前知っているんだ。ってよく見たら眞田さんだ)


 眞田黛。うちのクラスの図書委員で、物静か。まあ簡単にいえば三つ編みの文学少女でメガネっ子。彼女とは接点はないが、意外にも名前覚えててくれたのかすぐに名前を出してくれた。陰キャは自分のことを覚えてくれたら好きになっちゃう生き物なんだぜ。


 ってのはどうでもよくて、眞田さんに聞けば場所分かるかな。頼む知っていてくれ、最後の頼みの綱なんだ。


「あの、眞田さん。食堂の場所とかわかる?今何処にあるか探しててさ」


「あっ、うん。さっきメイドの人に聞いて来たから分かるよ。もし良かったら案内してあげようか?」


「あっ、うん。ありがとう、お言葉に甘えるよ」


(ありがてぇーー。マジ神!)


 眞田さんの案内もあり、なんとか食堂まで辿り着けた。道中、立ち入り禁止の看板が立てられていた通路があったがゲーム的にはいつか通れる物なんだろう。でも気になる、人間やるなと言われたらやりたくなるってのが人間の性よ。夜に行ってみるのもあり、ミマワリガイソウデコワリケド。でも、ふと考えてしまうこれはゲームなんかじゃないと。死が怖くなる。でも、俺は全力で刹那主義を楽しむ。


 この世界で俺は楽しんで生きてみたい。魔王がどうたらこうたらは知らねぇ。でも戦わなければ生き残れないのなら戦ってやる。まあ決意だけは一丁前に決めても意味ねぇが。って、そろそろクラスメイト達が集まる時間のはず。そう考えているとゾロゾロとクラスメイト達が入ってくる。全員が揃ったらしく料理が運ばれてくる。うん?なんか一席だけ空いてる…まあいいか。


 食事を終えた俺たちは各自部屋へ戻る。王様達から明日はスキルについて説明するとのことだ。明日から本格的に「戦い」をする為の訓練だ。所詮俺たちは素人だ、剣道やボクシング、弓道、現代でやってきたこれらは戦乱の世では意味がない。なら俺たちが学ぶべきは武士道精神では無く、意地汚く勝利を渇望する事を学ばなければならない。俺にそんな覚悟はあるのだろうか迷いが渦巻くが答えは未来しか知る由もない事だ。


 そんなこんなで一日が終わった。憧れはあったかもしれないが、今になって現代に戻りたいと強く思うことは所詮憧れは憧れだったんだろう。時間が経てば死が真横まで迫ってくる。それでも最後まで俺らしく生きてみたい。そんな事を考えているうちに眠りに落ちた。


勇者がいるらしいけど所詮脇役よ。別に勇者が居なくても魔王は倒せるだよなぁ。難易度がノーマルからベリーハードに変わるぐらいの違いだが。あと装備なしと書いてあるが異世界の物は装備判定になっていないだけだから間違っても全裸じゃねぇぜ。

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