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ささやかな情交

生き方が不器用

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。

今日の夕飯は青椒肉絲(チンジャオロース)と餃子だった。ピーマンの千切りは所々繋がっていたし、餃子の襞からは僅かに実が漏れ出ていた。それでも目の前の女がせっせと慣れない手付きで包丁を握ったり、細々とした動きで襞を作っている様は健気だった。

何時も一緒にやっている事。もう何度もやっているのに慣れない所を見ると、根っからの不器用なのだと笑みが零れた。

そんな回想を浮かべながらの夕食。ついつい、不器用なものばかりに手が伸びる。

「もっと綺麗なものあるよ。君が切ったもの、折ったもの」

俺の元に細切れになったピーマンやら筍、実の出てない餃子を俺の元に寄せながらの一言。でも。

「これが良い」

自分で作ったものを自分で食えばそりゃ自炊だろうが。先輩の名言をお借りする。まさか此処で使うとは。

「君は優しいねぇ」


食事が終わった後、女は冷蔵庫から正方形のボックスを持ち寄ってきた。中にはチョコバナナ。一口サイズに切られたバナナをチョコが覆っている。俺にフォークを渡した後、自身も小さなフォークで、小さな口でせっせと口に入れる。

「夏祭りで売ってるお菓子、何時も不器用に食べてたなぁって」

「お菓子?」

「チョコバナナは落としそうになるし、林檎飴は上手く齧れなかったし、あんず飴は上手い食べ方が分からなかったなって。色々不器用……。うん……考えて見たら、生き方も不器用」

確か去年の夏祭り。柔らかい、崩れかけのチョコバナナをせっせと口に入れていた。林檎飴は一度歯を立てた後、もどかしそうに唇を擦り合わせていた。あんず飴は売りのあんずを棒に巻き付けられず、水飴だけをせっせと舐めていた。

「不器用なら不器用なりに生きれば良いだろ。俺は気にしない。寧ろ好き」

「本当?」

「世話、焼けるから。あと味がある」

完璧な物が食べたいなら店に行けば幾らでも食えるだろ。お前が作った味は、個性はお前しか出来ないだろ。所々繋がったピーマンとか、肉がはみ出た餃子とか。そこに味があると思う。愛着が……ある。

「今日の夕飯のお礼。口開けろ」

チョコのコーティングが溶けかけたチョコバナナを一摘みする。それを口元まで持っていき、女の口腔にポロッと落とす。

「今日の奴。また食べたい」

「また作るよ。時間かかるけど」

摘んだ途端に蕎麦見たく川になる。

圧倒的に襞がデカい。お肉漏れてる。

観察眼鋭いですが、今回は誰が見ても分かるレベル。


まぁ私から彼氏さんに言わせりゃ

なんか知らんけど、アンタが人並み以上に出来るだけだよ!!

性格的に、レシピは頭に入れてる。きっかりきっちり計る。丁寧に切る。無駄な動きは徹底的に省く。だからかなー。


一緒にご飯は食べたくない気がする(;・∀・)

気が滅入っちゃうよ(;・∀・)

寧ろ嬉しそうだけど(;・∀・)


不器用でも懸命に作ってる様が好きなので、何かと型崩れしたものに手を伸ばしてます。

君しか作れないものを、君が生きてるうちに食べたい。

上手くなったら上手くなったで良いんです。

隣で成長を見ているから。その分の努力とか、ちゃんと見てるから。


自分で作ったものを自分で食えばそりゃ自炊だろうが。

これは合宿の時の先輩の名言ですー。あ、あの時は味噌汁でした。


何も料理だけじゃありません。夏祭りのお菓子もです。

人を見る目のなさも相まって、悲惨な過去を歩んでます。

それでも、それでも、不器用なら不器用なりに、探し出した運命の人が彼のこと。


追伸

チョコバナナって溶けません?(比喩ではなく)

林檎飴って歯が立たなくないです? (舐めたって解決しない)

あんず飴が食べたいです。(なんか、冷やすみたいですね)

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