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恐怖の物語  作者: 枯谷落葉
第3章 幽霊の物語
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03 デパート



 いつもいくデパートにお使いしに行かなくちゃ。


 今日はお母さんが熱を出しちゃってるから。


 でも目当ての四階は苦手。


 だってあそこ出るんだもの。





 私、霊感があるから見えちゃうの。


 道路の真ん中とか、電信柱の影とかに「いる」のが分かっちゃう。


 こんな力、いらないのにな。


 おかげで今まで大変な目にあってばっかりだよ。


 小さい頃は、生きてる人と死んでる人の区別がつかなかったから、みんなに気味悪がられてたからさ。


「お姉さん、お使いに来たよ! いつものちょーだい」

「あらあら一人できたの? お疲れ様、えらいわねぇ。おまけしちゃうわ」

「わーい、ありがとう」


 やってきたデパート。その四階。


 たくさん並んでいるお店を無視して向かったのはいつもの所。


 お母さんの代わりにお総菜を買って、お会計をしてくれたお姉さんにお礼を言った。


 角にあるお店屋さんであんまり大きくないけど、すっごくおいしいからおまけしてもらえて嬉しい。


 るんるんとした気持ちで帰ろうとしたら、お姉さんが鏡を持って追いかけてきた。


 どうやら、どこかで降ってきた木の葉が頭の後ろについてたみたい。


 わあああ、恥ずかしい。


 私はお姉さんにまたお礼を言って木の葉をとってもらった。


 鏡をくれたけど、頭の後ろじゃよく見えないから。


 うん、いろいろ角度をかえてみたけどダメだね。


 あちこち見えるのは、このデパートの寂れた壁とかすりへった床とか、さっきのお総菜のお店くらいだよ。


 デパートを出た後、緊張がきれて「はぁっ」と息を吐いた。


 近くには、「閉店間近」、「長い間ご愛顧ありがとうございました」とかかれたのぼりがあった。


「ちゃんと四階ではあのお姉さん以外に目を合わせてないから大丈夫だよね。うん、なにも憑いて来てない!」


 鏡に映ったものを思い出す。


 あの四階のお姉さん、霊感がなくてよかったな。


 もし私みたいに見えてたら、きっと大変な事になっちゃうよ。



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