第ニ話
目を開けると遠目に頑丈そうな壁と大きい門が見えた。俺の格好はレザーアーマーを着ていて、靴も頑丈そうなブーツだ。
右腰には剣を差して左腰にはポーチを付けていた。体形もだいぶスリムになっていて、体が軽い。
確認し終えた時ちょうどに目の前に紙が降ってきた。取って見てみるとそれは神様からの手紙だった。
それを読みながら門の方に歩いていく。
どうやらステータスオープンと言うと自分の名前と年齢と職業と持ってるスキルと自分の称号が見れるようだ。試しに言ってみる。すると目の前に半透明のガラスみたいなものが現れた
名前:秋峰 梨央
年齢:14
種族:人間
職業:無し
Lv:1
スキル:P疾走、A気配遮断、A気配察知、A宮中儀礼、P看破、P軽業、P梨央流剣術、P梨央流無手術、P言語理解、A観察、P無限の可能性、P隠蔽
称号:心が壊された少年、神に出会った少年、異世界の少年
スキルのPやAはPasiveとActiveという意味らしい。
筋力値などのゲームで定番なステータスがないのは自分の強さは自分で判断しろみたいな意味らしい。Lvは一応の強さの基準らしい。
スキルの言語理解以降のスキルは神様からのプレセントらしい。
スキルの詳細はそのスキルを知りたいと思うだけで表示されるらしい。
それぞれのスキルの詳細を見てみた。
疾走:Passive
走るときに走る速さが少し上がる。
気配遮断:Active
気配が周りに悟られにくくなる。
気配察知:Active
周りにある気配が感じやすくなる。
宮中儀礼:Active
誰の前に出ても恥ずかしくないほどの礼儀作法を使えるようになる。緊張がなくなる。
看破:Passive
相手が嘘をついたかどうか目を見ればわかる。
軽業:Passive
体が身軽になり跳躍力などが上がり、多彩な動きが可能になる。
梨央流剣術:Passive
梨央が自分の知識を使って作った梨央の剣での戦闘術。
梨央流無手術:Passive
梨央が自分の知識を使って作った梨央の素手での戦闘術。
言語理解:Passive
ありとあらゆる言語が理解できる。
観察 : Active
対象をよく見ることで、その価値や情報を知ることができる。
無限の可能性:Passive
成長の限界をなくす。レベルがどこまでも上がる。
隠蔽:Passive
自分のステータスが見られるときに自分の見せたくないスキルや称号を消すことができ、レベルは今より数値の低い数値に見せることができる。
こんなだった。説明が少ないけどまぁ、一応わかるからいいや。とりあえず隠蔽を使ってみる。
普通に使いたいと思ったら使えた。称号は全部消してスキルは無限の可能性と隠蔽を消しておく。
他にも腰のポーチは見た目によらず、物であるならば何でもどんな大きさでも無制限に入るらしい。取り出し方はポーチの中に手を入れると一覧が頭の中に浮かぶからその中から選ぶと取り出せるらしい。
入れ方はポーチの口を入れたいものに触れさせて入れたいと願えば入るらしい。そして、植物は生命と定義されるらしく、根っこを引き抜くとそこから物に定義されるらしい。
根っこを抜いてすぐはまだ生きていると思うのだがそこはいいのだろうか?
まあ、微生物とかを気にしていたらなにも入れられないしな、と思いながら入っていた金や投げナイフを出したり入れたり、途中で青色の珍しい草がたくさん生えていたのでそれを採集したりしたりして進んでいった。
そうこうしてるうちに門の前に着いた。門の高さは6mほどだろうか。魔物から守るために高くしたんだろうな。門の横には甲冑を着たいかにも門番らしい人達がいた。
そのまま門をくぐろうとするともちろん止められた。
「おい、お前はこの町の住人か?」
「いや、おれはあっちの方角から流れてきた旅人だ。この町で冒険者登録をするつもりで来た」
俺は自分のいた方角を示し、さっき決めたばかりの設定と目的を言った。
門番はそれを聞くともう一人の門番に何か言うと、もう一人の門番が走って門の中に入っていった。
それを見送った門番1はこちらに声をかけてきた。
「少しここで待っていてくれ」
「分かった」
二、三分待つとさっき門の中に入っていった門番2が戻ってきた。門番2は手にプレートっぽいものを持っていて、こちらに向けてきた。
プレートは一度青く輝きすぐにただのプレートに戻った。
「今のは?」
「今までに犯罪行為に手を出したかどうかを調べる魔道具だ。青ならなし、黄なら未遂、赤ならあるだ」
「俺は青だから大丈夫ってことか」
「ああ、君を歓迎しよう。ようこそ、グラリアへ。冒険者ギルドへはまっすぐ進めば着くよ」
そう言って門への道を開ける門番1に軽く手を振って門の中に入っていく。グラリアという名前の町の最初に抱いた感想は、賑やかだった。
そこら中から呼び込みの声が聞こえてきてとても活気があるように見える。
神様が言った通り技術力はあまり高くないらしく、家はたいてい石か木造だった。露店など気になる店は多々あったが、とりあえずはギルドに向かうことにした。
門番に言われた通りただただまっすぐ進んでいるとそれっぽい建物が見えてきた。ギルドは木造の古っぽいものだが、他の建物より大きく丈夫っぽい。
扉を開けて中に入るとそこには荒くれものと思われるような格好をした者から、きれいな格好をした少女までいろんなやつらがいた。
一瞬こちらに大量の視線が向いたが、俺の格好を見て駆け出しと思ったのかほとんどが興味を失ったように視線をそらした。
気にせず受付と思われるところに行き手の空いてそうな男性に声をかける。
「すまない、ギルドに登録したいんだが」
「わかりました。ではこの紙に必要事項を記入してください」
そう言って手渡された紙には、名前、年齢、使う武器、Lv、自分のアピールポイント、パーティー希望かソロ希望か等を書く欄があった。
その内名前とレベルと希望の欄には必須と書かれていた。俺は名前をリオン、年齢は14、使う武器は剣、Lv1、無し、ソロ希望と書いて男性に渡そうとした。
しかし、そこで定番というべきかニヤニヤと笑みを浮かべた二人の男が絡んできた。先ほどの視線を俺に向けたままだったやつだ。二人とも体が大きく片方が剣でもう片方が斧を持っていた。
「おいおい、お前みたいなガキは帰ってママンのミルクでも飲んでろよ~。ギャハハハ!!」
「まったくだぜ。ここはお前みたいながきの来るとこじゃねぇんだよ!!」
剣、斧の順番だ。ほっといて、俺の書いた紙を男性の職員に差し出す。それを見た絡んできた二人はスルーされたことに腹を立てたのか、俺の手から紙を奪い取りビリビリに引き裂いた。
そしてまたギャハハハと気持ちの悪い笑い声を上げる。俺はそれをスルーして男性に声をかける。
「すいません、虫に紙を破られたんでもう一枚もらえますか?」
二人は無視されて虫呼ばわりされるという二重のムシの屈辱に耐えかねて、ついにそれぞれの得物に手をかけた。
「いい度胸だクソガキ。ぶちのめしてやるから付いて来い」
「どこにだ?虫さん」
「このギルドの訓練場だ。ここじゃ罰をくらうからな。俺達のことを虫呼ばわりしたんだ。まさか逃げるなんてことは無いよな~?」
「いいぜ虫さん。すぐに終わらせてやるよ」
俺がこいつらを挑発させてあっさり勝負を受け入れたのはこの世界での自分の実力を見極めるためだ。二人が歩きだしたので俺も付いていく。
そして俺の後ろをギルドの中にいたほとんどのやつがギャラリーとして付いて来た。訓練場はとても広かった。俺が入ってきた扉とは違う扉を通るとそこに大きな空間が広がっていた。
真ん中が一辺40mほどもある正方形の部分が50cmほど高くなっていた。そこが戦う場所なんだろう。運のいいことにちょうど先に使っていたやつがそこから降りた。
俺と二人はそこに上がり他のギャラリーはその周りを囲むように広がった。
中心から5mほど離れて向かい合って立つ。
「一対二でも問題よな~?何しろ虫だもんな~?」
「当然だ。ついでに素手でやってやる。いつでもかかって来い」
とことん相手をなめる俺の態度にさすがに我慢の限界が来たらしく自分の得物を構えて突っ込んできた。二人はまず二手の分かれて俺を一直線上に結ぶように位置どってから、時間差で攻め込んでくる。
まずは剣の方がその巨体に似合わない速さで切りかかってきた。大上段に振り上げた瞬間にそのわきを潜り抜け後ろから押す。そこにちょうど斧が来て二人がぶつかる。
ぶつかってよろめいている間に剣の方の腹に全力の蹴りを叩き込む。鈍い音を立てて場外に吹っ飛んだ剣の方を見て呆然としている斧の方の後ろに回って首に手刀を入れる。
それで斧の方は気絶したので俺の勝利となった。俺の身体能力は向こうの世界での平均の力との差とこの世界での平均の力との差が同じになるように強化されているようだ。
呆然としている観客をほっておいて受付に戻りもう一度同じことを書いて職員に渡した。もちろん男性の。男性の職員がギルドカード発行のために受付の奥に入ってくと、女性の職員が近づいて話しかけてきた。
「待っている間にギルドの説明をしましょうか?」
俺は一歩下がりながら頷く。近づいてきた女性の職員は赤い髪に茶色の瞳をしていて、全体的にスレンダーで、秘書とかをやってそうな雰囲気な女性だ。俺が一歩離れたのを見て少し疑問の色を浮かべたが、すぐに笑顔で説明してきた。
「まずギルドには階級があります。一番下からG、F、E、D、C、B、A、S、SSとなっています。基準としてはGとFが低級、EとDが中級、CとBが上級、AとSが超級、SSは化け物級となっております。
この階級を上げるには試験を受けてもらいます。試験はその時によってばらばらです。次にギルドは一つの国と考えて良いでしょう。理不尽な理由で国がギルドのメンバーを処罰しようとした場合はギルドが保護、または国に反逆を起こします。
実際だいぶ前にそれで国が一つ滅びました。そして、ギルドのルールですがギルドの面目を潰すような行為でなければ基本大丈夫です」
「面目を潰す行為とは具体的に言うと?」
「人殺し、ギルドの施設の破壊、力を振りかざし、一般人へ脅迫するなどですね」
「大体は理解した。助かった」
俺の言葉に一礼して去っていく職員を見て一つ溜息を吐いてさっきの男性職員を待つ。
男性職員は待ち始めてから一分程度で来た。職員から渡されたのは銀色のカードだった。
そこにはさっき自分が書いた情報が書いてあり、一番上にはギルドランク:Gと記してあった。
俺はそれを受け取りギルドを出て宿屋を探すことにした。