あとがき
ついに終わりました。完結です。
『森の娘と獣たち』から掲載開始から6、7年かかったでしょうか。
当時、コンスタンツィアは名前だけの登場でしたが、『森の娘と最後の騎士』としてリメイクするにあたり守護霊からラスボスにあたるキャラクターに変更になりました。
半世紀分以上も描くのは無理かなと思って何度か諦めようかと思いましたがようやく描ききれて感無量です。
この世界の作品全体のあとがきになりますのでレンちゃんについては後述します。
【地獄について】
最近はどんな凶悪犯罪者でも死刑はやりすぎだというような意見も多くなりましたが、神話や宗教では死後もさらに厳しい刑罰を受け続けるのは多くの文化圏で共通する所です。
仏教系の幼稚園で祖父の家にあった仏典を読んだり、『地獄』というものに触れる機会が多く、幼心にもおっかない、死後も苦しむなんて酷いなんて思ったものです。
神話では愛する者を生き返らせる為に冥界の主に談判しにいくのもよくある展開ですが、コンスタンツィアが求めたのは生き返らせる為ではなく(まだ存命ですが)せめて、死後は安らかに眠らせたい、それだけが願いでした。
(余談ですが地獄と冥界は別物です。
ギリシア神話などでも当初は別物として描かれたようですが、後年文学作品が多数出るといつの間にか同一視されていってしまったようですね)
世情もあって少々残酷描写を描くのがイヤになってしまい、かなりマイルドな描写になってしまいましたが、そこはもう読者の方々が持つ地獄のイメージに任せる事にしました。
おはなしとしては地獄があまりにも残酷で理不尽な存在であるというのを強調して描かないと、行動に説得力が得られないのでちょっと悩む所がありました。
【主人公と社会情勢について】
この作品世界の各主人公達は十代で自分の担当エピソードを終えるので、基本的に社会全体を変えるほどの力は持たず、それぞれの環境で各自の問題に抗って必死に生きるのみです。
世の中自体を何とかするのは大人の仕事で、いくら能力があっても少年少女達にはそこまでの影響力はまだ無いものとしています。
『天に二日無し』は共通する作品世界観全体のラストの締めくくりになる話なのでレナートの場合は若干関与していますが、方針は他のキャラクターが決めています。
全体を通して改めて思うのはやっぱり王制って駄目ですね。
エドヴァルドもマクシミリアンも娘一人の為に世界大戦引き起こして、コンスタンツィアも
娘の為に世界を滅ぼそうとして~とモチーフの神話みたいなエゴ全開、迷惑千万です。
【人名とか固有名詞とか】
『森の娘と獣たち』を考えていた大昔の名前リストから『天に二日無し』も流用しましたが、大昔過ぎて名前の由来を忘れてしまったものも多々ありました。
いい名前が思いつかず仮設定のままうっかり投稿してしまったり(汗)
当初はアナグラムジェネレーターで適当に捻って発音しやすいものに置き換えてる筈だったのですが、何人か忘れてました。
【レナートについて】
終末世界が氷河期となるのは当初の予定通りで早いうちに姿を消した氷神の転生体が最後の主人公となりました。
これまでの主人公同様に彼(彼女)も自分の身の回りでやれる範囲で精いっぱい生きるのみです。人口が激減した世界でこの子の特性が大きな役割を持つことになるでしょう。
悪役についてはやっぱり精神操作系の能力を持つ相手は作品が何でもアリになってしまうので、そこはもうちょっとうまく描ければよかったな、と心残りが少しあります。
ヴァイスラやファノも死ぬ予定でしたが、先に書いた通りちょっと描くのが苦しくなり予定変更となりました。長編を書いているとどうしても心境の変化が出てきて影響されてしまいます。
コンスタンツィアも怨霊と化した完全なラスボスから変更になりました。
モレスについてはメテオをかますのはイルンスール編からの予定通りですが、本当にここまで長編を書けるとは思っていなかった面もあります。
【本編終了後について】
アルベルドが東方大陸南東部を再統一して完全に鎖国してしまいます。
歴史を忘れた人間が踏み込んで来ないようにする為です。
【最後に】
設定を考えて下書きをしていた頃からすると10年近い時間が経ちました。
続けるのは大変だった時もあればいい気分転換になっていた事もあります。
全体で数十万PVはありますが、地味な作品なので滅多に反応もなく自己満足で淡々と続けているとさすがに長編はもう限界かな、と思います。
気まぐれに短編を書くことはあるかもしれませんが作品のクオリティが途中で落ちたり更新続けられなくなるとせっかく読んでくれている皆さんに申し訳なく、結末まで描くのが約束できない長編はこれが最後かと思います。
あれこれ悩んで書いたり消したり右往左往した事もありましたが、これでようやく落ち着きます。本作からの方も初めての作品からずっとお付き合いいただいている方も長い間ご支援有難うございましたm(__)m




