番外編⑥:ニキアス
「陛下、本当によろしいのですか。私から王妃殿下にお伝えしても構いませんが」
「よせ。傷口に塩をなすりつけるだけだ。カートリーは死んだ。どんな理由があろうともう今まで通りには振舞えん」
マルーン公領に派遣していたマミカから裏切りがあったと通報があり、カーバイドを派遣した所、カートリーは亡者と合体した異形の姿になっていた。
再び失踪したヴィターシャを捜索に来たスパーニア勢と共に倒したものの、マミカは失踪していた。
「領地も捜索もエンマに任せる。もういいんだ」
エンマを通じてグランディから離婚の意志が伝えられ、疑わしい行動が見られたマミカの追跡を依頼した。
「無念です」
「カートリーの実験映像は処分しろ。絶対にグランディにみせてはならん」
「はい、スパーニアには?」
「口止めしておけ」
メドン、ベラーなど譜代の有力家臣は皆死んだ。
バントアンバー、マルーン公を身内にするのも失敗した。
シュランナは去り、マミカも消えた。
「カーバイド、お前も参戦しろ」
「は、しかし陛下のお側が心もとなくなります」
「プレストル伯がいる。遠征で活躍してくれる事が俺の助けになる。行ってくれ」
「は」
旗揚げした最初期の規模にまで領地は小さくなり、家臣を失い自棄になりたい心境のニキアスだったが、踏みとどまって必要な判断を行った。




