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天に二日無し  作者: OWL
第一章 地に二王無し ~前編~
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第49話 強襲④ ~再戦~

「何故貴様がここにいる?」

「おう、そんな所にいやがったか」


アルメシオンは他にもう一人の魔導騎士と数名の兵士を連れてきていた。


「そっちの男・・・まさかアイガイオン?そんなはずは・・・」


松明に照らされて、顔がちらと覗くだけだが知った顔に見える。

しかしアイガイオンについては確実に死亡を確認している。


「生き返ったのさ。俺の腕のようにな。そっちは親父に切り落とされたままみたいだが」

「ちっ、どうやらほんとらしいな。どうやった?」


アイガイオンはアルメシオンの横に立っているだけで反応がない。


「無駄だぜ。まだ知性が回復してないんだ。いわれたままに動くだけだとさ」

「どういうことだ。説明しろ」


教える義理も必要もないだろうが、優越感に浸るのが好きで、虚栄心に凝り固まっている男だ、どうせ喋るだろうと聞いてみた。


「俺の腕と同じだといったろ。死霊魔術の奥義を使って貰ってな、蘇ったんだ」

「亡者としてか?俺がもし息子にそんな真似されたらブチ切れるぜ」

「亡者なんかじゃねえ。貴族の体は特別なんだ。ちゃんと知性も回復する。証拠にこの体は腐りもしない。ちゃんと心臓も動いて血も通ってる」

「そりゃ結構なことで。で、何の用だ」

「神器を渡して貰いたくてな。聞いたぜ、たんまり発掘したんだろう?」


やはり裏切者がいたのか。

しかし、何故だ?生活は楽になったのに。軌道に乗ってきたのに。この大陸から脱出する希望も見えた今、何故領主に通報する必要がある?どうしても疑問が拭えない。


「欲しけりゃ少しは恵んでやったのに押し入り強盗とは見下げ果てた奴」

「てめえのような平民がこの俺に恵んでやるだと?調子に乗るな」

「街のチンピラのような口調して貴族様ぶるとは笑わせるね。もう少し優雅さを身に着けて出直してこい」


オルスはアルメシオンをせせら笑う。


「相変わらずよく口の回る奴。まあいい、どうせお前は殺すつもりだったんだ。それが依頼主の要望でね」

「誰がお前にこんなことを頼んだ?フィメロス伯かマルーン公じゃないだろうな?だいたいなんでお前がこんな所にいる」

「親父の遺体を回収しに来たんだよ。生き返らせるために。ここの領主にゃ迷惑かけたからついでに援助してやろうと思ってね」

「ほう、意外に親孝行だったんだな」


亡者なのか、本当に生き返らせたのかはよくわからないが、親の体を死霊魔術の献体として再利用するのが親孝行といえるのかどうかは微妙である。


オルスは話しながら槍を持つ手に力を込めた。

アイガイオンが命じられなければまともに動けないのなら標的はアルメシオン一人でいい。

片手を失ったオルスが一対一で勝てる相手ではない。

一撃で、不意打ちで、全力を込めて殺す。この神槍は視線が届く限り放てば確実に敵を刺し貫く。神槍の前に魔導騎士の装甲は何の意味もない。


会話しつつオルスは暗がりへと少し下がった。


「おい、逃げるんじゃない!」


追いすがってくるアルメシオンめがけてオルスは全力を槍に込めて投げ放った。


 ◇◆◇


 投じた槍の穂先から血が一滴一滴と垂れていく。


「な・・・んだと」


投げ放った筈の槍の柄が自分の目の前に見える。

穂先は腹を貫通して背中へ抜けていた。


 オルスは両膝をついた。

少しづつ痛みが襲ってきて視界のほとんどが白く染まっていく。目の前がちかちかして気を失いかけていた。


「おー、あぶねえあぶねえ。自爆してくれて助かったぜ」

「なんだよ、これ・・・」


手が届く位置までアイガイオン達は近づいてきたが、オルスはもう動けない。


「神器を持ってるのが分かってる相手に迂闊に近づくわけないだろうが。間抜け。俺の持つ水神の盾はあらゆる攻撃を反射するのさ」

「そうか・・・ドジったなあ」


初撃で最強の武器で最大の奥義でもって対処しようとしたが、失敗した。

取り返しのつかない失敗をしてしまった。


「お前の体は死霊魔術師共が欲しがるだろうが、俺は気分が良くない。ここで首を刎ねてから魔獣にでも食わしてやる」


槍を抜けと命令されたアイガイオンがオルスの背中に足をかけて蹴り飛ばしながら槍を引き抜いたせいで一気に血があふれ出る。


「ほっておいても死ぬが、俺様は慈悲深い。今すぐ殺してやる」

「・・・そりゃあ、ありがたいねえ」


業の深い人生だった。

若いころからずっと生き物を殺す事で生活してきた。

狩りではなく娯楽の為に、生活の為に多くの命を奪った。

若い頃は金と名誉と女を手に入れて有頂天だった。

父はそんな自分を軽蔑していた。


(まあ、こんな死に方しても仕方ないわな。だがファノとレナートは生き延びて欲しいなあ・・・)


オルスはもう死を覚悟していたが、それに待ったをかけた者がいる。


「族長をお前ら如きに殺させはしない」

「シュロス殿・・・」


シュロスがヴァイスラを連れて戻ってきてくれた。

しかしファノの姿がない。


ヴァイスラは無言でアルメシオンに向かって走ってくる。


「守れ!」


アイガイオンがヴァイスラの前に立って妨害し、シュロスがアルメシオンに剣を抜いてかかっていく。


「そいつは攻撃を反射するぞ」


オルスが力を振り絞ってシュロスに忠告した。


「承知」


オルスにはもうこれ以上は何も出来ない。その場で前のめりに倒れ意識を失った。


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2022/2/1
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