日記2ページ目 最終相撲決戦
正直、毎日日記をつける事はとてもじゃないが、厳しい物があると思っていた。まあ、それはそうとして今日も摩訶不思議な出来事が起きたので、気ままに書いていこうと思う。
◇
突然だが自分語りを始める事を許してほしい。俺は学生という身分に位置している。今日も例には漏れず、半分寝ぼけながら登校していたのだが......
「私はこの神桜帝王学園の生徒会長に立候補した! 梅崎楓です!」
「生徒会長の座を我が物にするために立候補したイケメン......参上」
俺は半分呆れながら、こう呟いた。
「相変わらずな奴らだな......」
こいつらは俺の幼馴染なのだが......いかんせんこの2人の仲は良くない。犬猿の仲、永遠のライバルと言うべきか......
「また貴様か楓! いっつも俺様の栄光の架け橋の邪魔しやがって! 嫌がらせか!?」
ちなみにこの痛いナルシストの名前は大葉海斗と言う。こいつはいわゆる文武両道で、なんで俺と同じ高校に通っているのかが不思議なくらい、絶対的な格差がある。
「フン。アンタが勝手にでしゃばってきて何よその言い草は!」
これはヤバイな。両者睨み合っていて、今にも相撲を始める勢いだ。コイツらは何故か喧嘩の時、命懸けの相撲で決着をつけようとする。本当に理解しがたい関係を持っている2人なのだ。
「アンタ! 何呑気に野次馬になってるの? そんな事をしている暇があったらウチらの相撲の審判をしなさい!」
あっ。こっちまで余計な飛び火がかかってきた。ていうか両者準備するの早くないか? もしかして案外仲良しなんじゃね?
「おい! そこのヘナチョコ! 準備はできたか? 俺達はもうとっくに準備ができてるぞ!」
付き合わさるこっちの身にもなってくれよ。ほらほらなんか学生全員の注目の的になってるし......
◇
「ルールは海斗スペシャルルール。一本先取制。このフィールドから足が離れたら負けだ!」
はいはい。たかだか相撲をするためだけに会場を用意するなんて頭おかしいがもうツッコまん。
「はい。はじめーー」
声に力がこもっていない俺の掛け声で、不毛な戦いが始まった。
「さあ始まりました! 実況はこのマイケル井上。解説は適場純之助がお送りします」
なんか実況者みたいな爽やかな声で唐突に喋り出したが、誰やコイツ!? ていうかなんで俺の名前を知ってるっていうか、解説ってなに? スポーツ実況って奴もやるのか? この意味不明な状況に!? もうなんか今日いろいろおかしい......
ていうかなんでこんなのに巻き込まれなきゃいけないわけ? 事の発端は誰だーー!
「ウフフフフ......アハハハハ!」
「ああーー! もうどうにでもなれ! 海斗は何がおかしいのか分からんが、急に笑い始めたぞ! 早く終われ!」
もう全てがバカバカしく思えて自暴自棄になってる俺の図がこのツッコミである。そんなツッコミもものともせず、海斗はこう続けた。
「昂る......昂るぞ......楓。貴様との相撲はいつだってそうだった。智略と精神を張り巡らせたギリギリの戦い。それが、俺の限界を引き出してきた! 貴様の存在が俺の全身からアドレナリンを掻き出し、この身体の中の血液を沸騰させる! だが、同じ道に2人の覇者は要らぬ。貴様だけは......俺がこの手で倒す!」
ちょっと待て! これは何処かで聞いたことあるぞ! この長い名言は! なんかすみません!
「おおっと! 魂と魂のぶつかり合い! このマイケル井上でも未だかつてない名勝負です!」
だからおまえは誰なんだよ。いったい何処から湧き出てきたんだ? というか、もうこんな茶番早う終われや。野次馬もなんでこんなもん見せられてるかわかってないだろうし、俺も分かってない。なんでこんな事になったんだーー!
◇
そんなこんなで勝負は一応の終わりは迎えた。勝負は結局30分やったが、特にドラマも無かったので日記では割愛させていただく。
その後の展開はというと、結局、両者和解をしてハッピーエンド。何故こんな騒動に発展したのかと言うと、事の発端は楓が演説していた時に海斗が勝手に割りこんできたのが原因だった。
ちなみにマイケル井上は海斗が雇った人らしく、用が無くなったらすぐに帰っていった。会場も海斗が手配していたのだ。アハハハハ......金持ちだね。
今日の日記は終わりっと......明日は何が起きるのだろう?