5話 過剰な親睦
昨日は飲み過ぎたようだ。記憶がない。どうやら宿屋には無事に帰れたようだが……
あたりに人の気配がした。僕は緊張した。
すると、クレアががばっと起きた。他にいるのはアイリスとシャルのようである。
みんなパジャマを着てい……アイリスは下着じゃないか。
「ニコル、昨日は随分と飲んでいたようね。動けないようだから私達の宿屋に運んであげたの。感謝してね」
大きな胸を揺らせながらクレアは言った。
「ニコル、おはよう……ああ、この格好か?いつも寝るときはこの格好だから気にするな」
体を隠すこともなくアイリスは堂々と言った。
「ニコル、おはよう!」
そう言うとシャルは僕にタックルしてきた。うん、腰の入ったいいタックルだ。
僕はいたたまれなくなったので、速攻で着替えてとりあえず部屋を出た。
「どこいくのよ〜ニコル」
私は朝食を食べに食堂へ向かった。
しばらくしてクレア達も着替えてやって来た。
「どうしたのニコル、何を慌てているの? 」
「そりゃ慌てますよ」
「まあ、そんな気にするな。これからはダンジョンで寄り添って寝たりすることもあるのだからな」
アイリスが言った。
「ラルフの時もこんな感じだったんですか?」
「いや、ラルフは生理的に好かんのでな。完全に別行動を取らせてもらったよ」
「そうなんだ」
そして僕達は朝食を取った。よくわからんがシャルが「あ〜ん」してくるのでそれを食べる。
「私も、『あ〜ん』」
クレアが僕にスプーンを差し出して来た。僕はそれを食べる。
「うん、お利口」
「なんと! これでは私だけが、のけものではないか」
アイリスは苦悶していた。
「アイリス、あなたもやればいいのよ」
「はっ、その手があったか」
そしてアイリスは料理をスプーンですくうと
「はい、『あ〜ん』」
僕の前にスプーンを差し出した。なぜかスプーンは小刻みに震えていた。
僕が躊躇していると、アイリスは激しくショックを受けた顔になったので、その震えるスプーンを大きく口を開けてくわえるのであった。
僕がスプーンから口を離すと、アイリスは放心したようにも見えるほどに、ほっとしていた。
朝食からなぜこんなに緊張感があるのであろうか。
「そういえばニコルの冒険者ランクは何?」
「一応、BランクパーティーにいたからBランク冒険者だよパーティーはクビになったけどね」
『双竜の牙』ではみんなが一緒になってランクを上げたからな。決して寄生していたわけではない。なのに突然クビにするなんて……
「まあ、気にしないことよ。それよりも私達『漆黒の影』はCランクパーティーで、みんなCランク冒険者なの。ニコルとはちょっと釣り合いが取れないかな? 」
「いや、そんなことないよ。それに他のパーティーには誘ってもらえそうもないしね」
「ニコルならどこのパーティーでも入れると思うけどな。でも、良かった。じゃあ正式に加入してね。ギルドに登録しなくちゃ」
僕達はギルドに向かい『漆黒の影』に僕を登録した。
「よし、これでニコルも『漆黒の影』の一員ね。お祝いしなくちゃ」
いや、もういいです。
そんな僕の気持ちとはうらはらにギルドの酒場に連れて行かれては、過剰な密着の中、お祝いが始まるのだった。
話がうますぎる。何か罠があるに違いない。『双竜の牙』の件で若干人間不信になっていた僕はそう考えた。
「そんなものないわよ」
僕の考えを見透かしたようにクレアが言った。
「ニコルは実力もあるし、何と言っても、みんなはニコルのことを気に入っているんだ」
アイリスが言った。
「そうですよ。シャルはニコルのことが大好きです」
その言葉に僕は顔を真っ赤にしてしまった。
「お、赤くなった、赤くなった」
「ちょっとシャルは発言が過激よ」




