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お姉ちゃん(♂)と妹のすゆことぜんぶ。 -前日譚-

作者: かるびーえーる

1


「ねえ、お姉ちゃん」


「…………」


「ねえ、おい、無視しないでよ。おちん●が大好物なお姉ちゃん」


「俺はお前のお姉ちゃんじゃないし、ちん●が大好物でもない」


「うんうん、分かってるよお姉ちゃん。本当はお兄ちゃんになりたかったんだよね?」


「分かってないよね?」


「あ、ちん●が大好物じゃなくて、しなびたギャランドゥが大好物なんだよね」


「ゾワッとするから止めて」


「うへへ、とりあえずスカート履こうか」


「やだこの娘、会話にならない」


「だいたい今時の女子がジーンズなんてペ●ちゃんが深夜の暗い台所でケーキを一心不乱に貪り食べるのと同じくらいあり得ないと思うんだよね」


「いや、想像すると軽くオカルトだが、あり得るだろ」


「私的には女子を魅せる意味では股下10センチのスカートがオススメだね」


「それ、スカートを履く意味ないよね?」


「パンツとかいう邪悪な布切れなんていらないよね?」


「しかもまさかのノーパン? ……誰が得するのその謎のおっさん羞恥プレイ?」


「私が得します。ご飯、十杯は軽くイケます」


「マジか……え、ほんとにマジですか。ていうか、そこまで力説するなら女子のお前がやれよ。お前なら俺以外の誰かが得すると思うぞ」


「はあ……。分かってないね、私がそんなことしたら只の露出狂だよ、変態さんだよ」


「お前は元から変態だから気にするな。俺がやったら露出狂どころか何の罪もないキッズやワンコがピーピー泣き喚いてPTSDになると思うぞ。何度も言うが、俺はおっさんだぞ、おっさん」


「おやぢ系女子だね」


「それはお前だ。おやぢ系じゃなくて、リアルおやぢなんだよ俺は」


「おやぢのコスプレをしてるお姉ちゃん……尊い」


「こんなくたびれたコスプレがあってたまるか。ていうか、いい加減にしないこの不毛すぎる会話?」


「だよね……お姉ちゃんはとっても不毛だよね。女の私でも嫉妬しちゃうくらいに」


「お前の目ん玉はビー玉か? この脛毛をミロ。もっさもっさだぞ、おら」


「えいっ」


ブチッ


「イテッ、ナニするアルか」


「ほら、とれた。これも作り物だよね」


「軽く虐待じゃないこれ?」


「お兄、お姉ちゃんが悪いんだよ、頑なとして認めようとしないんだから」


「おい、何で訂正した? ていうか、言ったよなお前、『お兄ちゃん』って。 合ってるよ、それで。俺はお前のお兄ちゃんなんだよ」


「うるさい、だまれ、不能戦士オカマン」


「不能って……わ、悪かったよ。そんなに切れるなよ」


「今度、私の前で『お兄ちゃん』っていう不愉快な単語を口にしたら、一言につき汚い雑草をもぎ取るから」


「汚い雑草て」


「…………」


 ブチッ


「イテッ、えっ、なんで汚い雑草もぎ取られたの俺?」


「私が口にしたから」


「え、ひとすぎないその新ルール」






2


「フー、ただいま」


「お帰りー、お姉ちゃん。残業お疲れ様」


「俺はお前のお姉ちゃんじゃない」


「ハイハイ」


「いつものみたいにおざなりに返事するな」


「今日は全身がちん●な上司にセクハラされなかった?」


「今日はじゃなくていつもセクハラされてないよ、ていうか俺の上司に失礼な肩書きをつけるな」


「え。デキてるの?」


「お前の思考処理能力はどうなってんの?」


「だって、お姉ちゃんのオッパイが大きいから……セクハラに服を着せたような上司に狙われてるんじゃないかと思って」


「触られるほどのオッパイはない…まって、俺が女っていう前提で話進めるのやめてくんない?」


「えいっ」


 モニュ


「あん」


「うへへ、良い声で鳴くじゃねえかお姉ちゃん」


「やめて、乳首つつくのやめたげて。何でお前が俺にセクハラを働くんだよ」


「だって、『男に触られるほどのオッパイはない』ってお姉ちゃんが言ったから。触って確かめようかと思って」


「俺の台詞に変なオプションをつけ足すのはやめろ。触って確かめるにしても乳首を突くこたあねぇだろ」


「え、揉みほぐされたかったの?」


「アアン、気持ちよくなってキタですーってちげえよ。だいたい、服の上からでもオッパイが無いのは一目瞭然だろ」


「でも乳首はあるじゃん」


「なにそのお尻をでもイケルよね理論。まってまって、また話が俺が女って前提で進んでない?」


「じゃあ、お尻を愛撫されたとか?」


「何でお前は上目遣いで嬉しそうに聞いてくんの? ミステリーだわ、お前の頭」


「だって、私のお姉ちゃんは世界一可愛いから……酷いことされないかって心配になって」


「お前……待って。今一瞬、心が傾きかけたが全然そういうシーンじゃなかったわこれ」


「で、で、で! お姉ちゃんの下のお口は無事だったの! オフィスセクロス!?」


「え、セクハラが過激になってない? なにが下のお口だよ、何もないわ。まあ、客先の訪問があったから精神的に疲れたけど」


「なーんだ、上のお口の処女を奪われただけなんだね」


「お前と話してると疲れるわ」






3


「大変だよ、お姉ちゃん!」


「俺はお前のお姉ちゃんじゃな」


「冬休みの宿題が終わってないんだよー!」


「最後まで言わせたらんかい。知るか、最終日まで放っておいたお前が悪いんだろ」


「うう~どうしよ~。謎の竜巻で学校がぶっ飛ばないかな? 校長が愛人スキャンダルで休校にならないかな?」


「お前の発想が怖いわ。計画的に進めてたらこんなことにはならんかったろうが」


「ア~あー! 正論は聞きたくなーい! ねえ、お姉ちゃん? 全裸になって学校に突貫してよ! 私のために!」


「話が見えんな、理路整然に話してくれ。あと、この国の言語で頼みます」


「お姉ちゃんがたわわに実ったちん、オッパイを学校で気が狂ったみたいに振り回したらハゲの校長も教師もみんな美貌に振り回されて仕事に手が着かなくなり、学校としての機能低下を狙うの。そしたら、男同士でお姉ちゃんの争奪戦が始まるでしょ? ドッガ~ン! 学校がぶっ潰れるね!」


「いま、ちんって言いかけた? それなんて混沌? お前、ほんとに高校生か? 頭が幼稚園児で止まってるんじゃないか?」


「ひっどーい! せっかく皆が幸せになれるプランを用意したのにその言い草はないよ」


「俺が幸せにならないのですがそれは。お前が今日頑張ればいいんじゃないですかね」


「ちっちっち、甘いねお姉ちゃん。飽き性で長続きのしない私を甘く見ないでもらいたい」


「ドヤ顔で言う台詞かそれ?」


「ねえ、お願いお姉ちゃん! 私の宿題明日の朝までに終わらせて!」


「そこは手伝ってとかじゃなくて、丸投げかよ。図太すぎるだろ」


「全部やってくれたらお礼にお姉ちゃんが欲しがってた白スクすけすけエロ水着あげるから! ね、お願い!」


「欲しがってねーし、お姉ちゃんじゃねーし……自然な会話で変な性癖なすりつけようとするのやめてもらえますう?」


「気に入らないならメタボなおやぢフィギュアもつけるから!」


「質の問題じゃないんですが。ゴミを押しつけんな」


「う~……じゃ、じゃあどうしたらやってくれるの?」


「お前の態度が気に入らないからやだ。素直に手伝ってって言えばよかったものを」


「お姉ちゃんのいじわる! 私が学校で宿題忘れた罰で先生から鞭と蝋燭でしばかれてもいいんだね!?」


「え、お前の学校、そんな女王様みたいな教師飼ってんの? 蝋燭でしばかれるって……過激過ぎない?」


「わ、私が折檻受けてるのを見て楽しむんだ……悪趣味!」


「俺、お前の学校にいねーし」


「私の服に盗聴器を仕掛けて……と、盗聴する気でしょ!? 耳で楽しむ気でしょ!?」


「楽しまねーよ、どんだけ暇人なんだ俺は」


「前夜に学校に侵入してカメラを仕掛けて盗撮する気でしょ!? タオルケットを羽織ってワインを片手に大画面のプラズマテレビで楽しむ気でしょ!?」


「すごくないお前の被害妄想? さっきからお前は何と戦ってるの?」


「はあはあ、何かドキドキしたよ」


「なあ、こんな下らないやりとりしてる暇あるならさっさと宿題やれよ」






4


「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」


「俺はお前のお姉ちゃんじゃな……疲れたからもうやめてもいいこの台詞?」


「白い粉をあげるよ!」


「お前は俺を犯罪者にする気か?」


「これをコークと一緒に飲めば元気ビンビン!」


「何で薬と一緒に飲みにくそうなコーク? そりゃ、不自然に元気になるだろうが、ちなみにこれは何ていう薬だ?」


「『処女を殺す薬』だよ」


「えらく物騒な薬だな、ジョークグッズか?」


「つまんない」


「は?」


「つまんないよ、お姉ちゃん! そこは『しょ、処女ちゃいますわ!』って赤くなって慌てるとこじゃないの!?」


「口にするのもやだが、処女じゃなくて童貞な? 別に俺は童貞……」


「じ~……」


「……ノーコメで」


「エー! 言いかけは酷いよ! ちゃんと言って!」


「言ったらお前俺をいぢるの目に見えてるもん」


「もう答えを言ってるようなもんじゃん!」


「ったく、そりゃ俺もう37だぞ? 過去に彼女の一人くらいいてもおかしくないだろ」


「なーんだレズだったんだね」


「レズじゃねーよ」


「まあ、お姉ちゃんくらいの歳で独身で実家住まいって、軽くホラーだよね?」


「ホラーとかいうのやめてあげて。失礼だろ」


「今風でいうと、こどもおばさんってやつ?」


「こどもおじさんな。それ、言いたかっただけだろ」


「とにかく飲んでよ、私の粉」


「私の粉とか言うのやめろ。飲まねーよ、そんな正体不明の白い粉」


「フッフッフ、白い粉だと思うからそれは白くみえるのだ。カラフルな虹色と思えばもうひとりの貴方の頭の中でそれは既に虹色の粉となっているのです……」


「宗教か? 意味不明なこと宣ってないで、そこいらの変質者に散布してこい」


「塩じゃないよ! クエン酸だよ!」


「最初からそう言えよ、どんだけ長いんだこの件」


「えっとね、水にクエン酸と蜂蜜を入れるとね……はいっ、オシッコの出来上がり!」


「レモネードだろ」






5


「お姉ちゃん! ハッピーメリークリスマス!」


「お前の頭がハッピーだな。お前専用のサンタさんは十年前に引退しました」


「そんな戯言が聞きたいんじゃないよ! この私のミニスカサンタコスチュームを見てなんとも思わないの!?」


「寒くない?」


「ペッ、つまんね! お姉ちゃんのコメントつまんね!」


「唾を吐くな、唾を。お袋がナマハゲみたいな顔して襲来するぞ。あと、言っても無駄だと思うが、俺はお前のお姉ちゃんじゃない」


「このコスチューム見て可愛いと思わない?」


「ああ、馬子にも衣装ってやつだな」


「コロしたろか、この童貞」


「童貞じゃなくて、処女…いや、合ってたわ童貞で。いや、俺は童貞じゃないけれども」


「もー、これ見て自分も着てみたーい、とか思わないの?」


「いい歳こいたおっさんがミニスカサンタとかそれなんて罰ゲームだよ」


「ダメか……。このトラップでもお姉ちゃんは着てくれないか」


「いま、トラップって言わなかった?」


「じゃあ、ミニスカサンタじゃなくてもいいからビキニ履いてよ!」


「そっちのが難易度高いわ」


「絆創膏とか葉っぱでもいいよ」


「何その究極の選択肢。隠しきれねーよ、いろいろなモノが」


「もういっそのこと全裸でオナシャス」


「開き直んな。お前が全部やれや」


「う~ん……私がやると只の露出狂になっちゃうと思うんだよね、お姉ちゃんの方が適任かも」


「ちょっとやってもいいやみたいに思ってるお前のその思考にドン引きだわ」


「アッ、そうだ! 出勤の時に着ていけばいいじゃない! 絆創膏」


「一番最悪なコスきた。だいたい、絆創膏は着るもんじゃなくて貼るもんだ」


「一躍、会社のアイドルになれるね!」


「ああ、犯罪者のアイドルになれるわな」


「あ、でもやっぱダメだよ。そんな格好になったらお姉ちゃんの上司にエレベーターで襲われちゃうよ」


「お前、エーブイの見過ぎだろ」


「う~ん、お姉ちゃんの肌を見せたくないなーどんなコスチュームで出勤するのがいいかな~」


「あの、真剣に俺の出勤スタイルについて悩んでいるところ申し訳ないが、スーツ一択なんで、はい」


「あ! ガチャ●ンなんてどうかな?」


「キチ●イがきたと思われるわ」






6


「ヤッホー! 今日はお友達を連れてきたよ、お姉ちゃん!」


「は、はじめまして……お姉ちゃんさんですか?」


「いや、なんかおかしくないこの会話? どこからどうみてもおじさんだよ俺? えーっと、君は?」


「はい……私、〇〇△△と言います」


「何で伏せ字になってるんだ?」


「あ、自称学生とか付けとけば良かったかな?」


「怪しい肩書きはやめろ。えーっと、△△ちゃんで良かったかな? いつもこの馬鹿な妹がお世話になってます」


「あ、いえいえ……こちらこそ。お姉ちゃんさんの方こそ私がお世話になってます」


「俺は君をお世話してないんだけど? おっさんにお姉ちゃんさんて言うのやめない? 気味悪いわ」


「あ……。ごめんなさい、初めてお会いする方にお姉ちゃんさんは失礼ですよね?」


「聞いてる? 人の話」


「はい、姉君。お慕い申し上げております」


「この娘、頭、イってない?」


「こら! お姉ちゃん、私の友達に失礼だよ! 謝って!」


「およよよ……姉君。申し訳ありません」


「いや、君は謝らなくてもいいからね? 君ら揃って良いバンド組めるわ」


「もー! これから私の部屋で二人でバドミントンするから静かにしててよね!」


「何で室内でバドミントンするんだよ、普通に外でやれや。静かにしててよねとか言う人間の台詞じゃねぇわ」


「あ、姉君。テスト勉強ですから妹さんを叱らないであげて下さい」


「バドミントンがテスト勉強ってどんな世界観?」


「もー! バドミントンでテスト勉強の息抜きしようってことだよ!」


「息抜きもなにもまだテスト勉強が始まってもいないのに? だとしても、表でやってよね君たち」


「雨降ってるじゃん」


「お前の目はヌイグルミか? 雲一つない快晴なんだが」


「およよよ……お許し下さい、姉君。この娘、だいぶ残念なんです……お外はこんなにも雪吹雪で荒れているというのに……およよ」


「そうか、それは絶望的だな。君もとっても残念だと思うがいかがかな?」


「とにかく、私の部屋でバスケするから静かにしててよね」


「なんかさらに騒音になりそうな球技に変わってない?」


「姉君。私こう見えても部活でゴールキーパーを任されてますのよ?」


「スポーツがちがくない?」


「あー喉乾いたなー。お姉ちゃん、私、伊勢エビで良いから」


「エビが飲み物だって初めて知った。俺はお前のメイドか何かか?」


「あっ……そんな、姉君お気づかいなく。私はコピ・ルアクで結構ですので」


「君も大概だよね?」


「ガサゴソ。あ、勉強道具学校に忘れた。△△ちゃん、もってる?」


「がさごそ。あら、私も学校に勉強道具忘れましたの」


「君ら何しにきたの?」

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