キムラ王国
「ふわぁぁ…それで…いつ着く…その…木村王国に…」寝不足からか不機嫌そうな赤ちゃんだ。
「そんなことより、これ見てみろ」
筋肉ダルマはおもむろにチャラチャラとした何かを差し出した。
青紫色の宝石のネックレスだった。
まるでブルーベリーのような。
「ごっちゃん着けてみ」ニヤニヤとした気持ちの悪い笑みを浮かべる。
後藤は眠気からか抵抗する様子もなくされるがままにブルーベリーのネックレスを装備した。
防御力が+3された。
「このネックレスはみつきの?」
「昨夜トレーニングしたとき拾ったwおほ〜ごっちゃん似合ってるw」拾い物を装備する人間のクズがこの野郎…‼だが自分も拾われた身であることを思い出し間抜けな三白目で空を仰ぐ後藤であった。
そうこうしてる間に木村王国に到着した。公用語は幸いハングルではないらしい。
城下町には酒場の他にもイオンやぐるぐる倉庫があるらしく活気にあふれている。
街の中央にある泉にコインを投げると願いが叶うらしい。そんなことに金を使うくらいならカフェオレを買うわな、と不敵な笑みを浮かべる後藤。
「ちょっと俺用事あるからこのへんで待ってて…」みつきは後藤を泉の側の公園に放置するとプロテインを買いにジャスコへと向かった。
見知らぬ場所に放置された後藤だったが懐に忍ばせておいたリゼロを手に取る。カップルから一番遠いベンチに座ると陰キャ特有の集中力を見せ、周りの景色などお構いなしにリゼロを読みだした。
それから10分ほど経った時だった…
「何読んでるの?」
意識を外に向けたと同時に本を奪われ、己の目線も奪われた。
(か、管まりな…‼)
決して逆らうことのできない自然の摂理に対して、陰キャはヘビに睨まれたカエルのように硬直し、あがあがと口をガクガクさせていた。