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誰も知らない誘拐事件  作者: 空波宥氷
8/28

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の刑事。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。

愛車、ナナマル(JZA-70)の整備が趣味。



・神津柳(カミツ ヤナギ

中華街で探偵事務所を営む女性。

カールしたショートボブと眼鏡が特徴。

友香の叔母にあたる、母親的存在。32歳。

7


「おかえりなさい。どうだった?」



 清花たちが駐車場に戻ると、友香が車内で待ち構えていた。

 柳が、後部座席に乗り込む。



「収穫はゼロね。強いて言うなら、家族が崩壊しかかってるってことがわかったくらいよ」

「そんなにひどいの?」

「ええ、奥さんが憔悴しきってるのと、旦那さんが発狂していたわ」

「そう……お嬢さんが心配ね」



 友香がうつむき呟く。



「お嬢さん?」

「ええ、ここの家にはお嬢さんがいるって聞いたんだけど」

「いえ、たしか……奥さんが、子供は慎司君一人しかいないとおっしゃっていたはずですが」



 清花が、最後のやり取りを思い出しつつ答える。



「……ふーん」



 その返答に、友香は一瞬目を見開いたが、何かに気がついたようで不敵な笑みを浮かべた。



「なるほど、そういうこと……」

「何がなるほどよ……ていうか、お嬢さんがいるって誰から聞いたのよ?」



 助手席のシートを掴みながら柳が身を乗り出す。



「あ、清花。車の鍵、返すわね」



 そんな彼女にお構い無く、運転席に座った清花に鍵を渡す。



「ちょ、ちょっと待ちなさい!どうしてあなたが鍵を持ってるの!?」

「散歩してたのよ」

「散歩!?」



 どういうことか説明しなさい!と詰問する柳に、気分転換にそこらへんをブラブラしていた。鍵はそのときに借りた。と適当に受け流す友香。

 そんな彼女の態度に、柳は自分が最初に訊いたことをすっかり忘れていた。

 そのやり取りを隣で見ていた清花は、よくもまあ、こんな出任せを言えるな、と呆れつつ車を発進させた。






7-2


「清花、あなたはこれからどうするの?」



 斑鳩邸を出たあと、柳が尋ねた。



 いつの間にか日は傾いていて、空は茜色に染まっていた。



「私はこれから一旦署に戻ります」

「そう……じゃあ私たちは、家に帰る前に彼の通っている学校に行きましょうか」



 柳が友香に提案する。

 友香は、先ほどから何か考え事をしているのか、ええ、とだけ短く首肯した。



「では、そこまで送りますね」

「ありがとう、悪いわね」



 彼の通っている学校は、田園調布市外にある小さな私立校だった。

 東急東横線沿いに車を走らせ、多摩川を渡る。五分程で着いてしまった。

 校門前で、二人が降りる。清花は、運転席側の窓を下げて顔を出した。



「それではまた。明日もそちらに伺います。何かあったら連絡ください」

「また明日ね。暗くなってきたし、運転気をつけるのよ」

「ありがとうございます。では失礼します」



 このやりとりを最後に、三人は別れた。友香は終始無言であった。





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