斑鳩邸
主な登場人物
・反町友香(ソリマチ ユウカ
中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。
ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。
茉莉花茶が好き。
・青山清花(アオヤマ サヤカ
神奈川県警の刑事。友香の姉的存在。
英国人と日本人のハーフ。
灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。
愛車、ナナマル(JZA-70)の整備が趣味。
・神津柳(カミツ ヤナギ
中華街で探偵事務所を営む女性。
カールしたショートボブと眼鏡が特徴。
友香の叔母にあたる、母親的存在。32歳。
4
ビルを後にした三人は、行方不明の少年宅を訪れることにした。彼の自宅は田園調布市内にあるそうで、首都高速神奈川一号横羽線と玉川ICを乗り継ぎ向かうことになった。
普通は40分はかかるところを、清花が車をとばしたため30分程度で着いてしまった。途中、吐き気を催したのか、後部座席の柳は車体が揺れるたびに呻き声をあげていた。
彼の家は、田園調布駅から車で3分の距離だった。
その門前で、柳は驚愕した。無理も無い。そこには、敷地面積200坪はありそうな豪邸が建っていたのだ。
敷地内に車を入れる清花。大きな噴水が目の前に現れ、横に目を移せば、手入れの行き届いた庭園が広がっていた。
「あら、彼の家は資産家か何かなのかしら」
「ええ、相当な資産家で、地元でも有名だそうですよ」
友香が窓の外を見ながら問いかけ、清花が前方を見たまま答えた。
それとほぼ同時に、彼女が車を停車させる。そこは、邸宅のエントランス前だった。
「では、駐車場に車を止めてくるので、ここで降りて待っていてください」
「ありがとう清花。待ってるわ」
ドアのロックを解除する清花。
柳はシートベルトを外すと、車から降りた。
「……って友香、あなたは車の中で待機よ」
友香がちゃっかり車から降りようとするのを、柳は見逃さなかった。少女を見咎め、制止する。
その言葉に、きょとんとした顔をして、
「あら、さっき、あなたの目が届くところにいればいいって言ってなかったかしら」
「あのねぇ、彼のご両親はロボットじゃないのよ?そんなさっきみたいに都合良くいくわけないじゃない」
笑みを浮かべた友香に、柳が呆れたといった口調で叱る。
「言われてみればそうねぇ……わかったわ、おとなしく車の中で待ってるわね」
少女は少し悩むポーズをした後、車に乗り込み、ニコニコしながらシートベルトを締め直した。
「絶対、言う通りにする気ないわね……」
そんな友香を見て、柳は再びため息をついた。