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誰も知らない誘拐事件  作者: 空波宥氷
18/28

清花の思い

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の刑事。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。

愛車、ナナマル(JZA-70)の整備が趣味。



・神津柳(カミツ ヤナギ

中華街で探偵事務所を営む女性。

カールしたショートボブと眼鏡が特徴。

友香の叔母にあたる、母親的存在。32歳。

19


 取り調べを終えた清花は、足利と共に休憩スペースにいた。



「にしてもまぁ、よく自供させたな」



 彼が缶コーヒー片手に、ベンチに座った清花に話しかける。



「私自身も、驚いています。後先考えず、つい勢いで凄んでしまいました……」

「それだけ、本気で相手を思っていたってことだろうよ。それから被害者と、その家族のことをな」

「ええ、そうですね……」



 清花は思った。それだけではないかもしれない。自分は友香のために力を尽くしたのではないかと。

 少女はこの事件を狂言誘拐だと推測した。それを間違っているとは思いたくなかったのだ。清花は、幼いころ共に過ごした友香を心の底から信頼しているのだから。



「まだ事件は終わっちゃいねぇからな。頼むぞ青山」



 足利は、空になった缶をゴミ箱に捨てると、



「俺は先にデスクに戻ってるからな、じゃーな」



 右手を上げ、休憩スペースを去っていった。

 一人残された清花は、両手で包んでいた缶コーヒーをぼーっと見つめていた。すると、彼女の首輪が通知音を立ててた。

 認識画面を表示させ、相手を確認する。画面には友香と表示されていた。



「もしもし友香?」



 自供させた達成感からだろうか。少し興奮気味に通話回線をオンにする。



「もしもし清花?取り調べは終わったかしら?」



 電話の向こうの友香は清花以上に興奮気味だった。そのため少々早口だった。



「はい、終わりましたよ。友香のほぼ予想通りでした」

「自供させたのね。さすが」

「ありがとうございます。それより、何かあったのですか」



 少し嬉しそうに口元を緩ませた清花だったが、友香の異変を思い出し、問いかけた。



「ええ、確認してほしいことがあるの」

「確認してほしいこと?」

「ええ、もし私の想像通りだったら一気に事件が解決するかもしれないわ」

「……!それは本当ですか?」



 驚きのあまり大きな声を上げてしまった。周囲には誰もいなかったのだが、口元に手を当ててコソコソと話をする。



「で、その確認してほしいこととは?」

「金田の通信デバイスを調べてほしいの。私の予想が正しければ……」



 友香は清花に確認して欲しいことの詳しい内容を告げた。



「わ、わかりました。わかり次第すぐに連絡します」



 清花は、その注文に動揺しつつ了承した。

 通信回線をオフにした彼女はベンチから立ち上がると、その内容を確かめるべく鑑識課へと歩き出した。




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