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誰も知らない誘拐事件  作者: 空波宥氷
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鉄格子の中で

主な登場人物


・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。



・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の刑事。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。

愛車、ナナマル(JZA-70)の整備が趣味。



・神津柳(カミツ ヤナギ

中華街で探偵事務所を営む女性。

カールしたショートボブと眼鏡が特徴。

友香の叔母にあたる、母親的存在。32歳。

11


 男は苦悩していた。



 言うべきなのだろうか……いや、しかし、誰にも言うなと言われていたし……



 彼は先日の強制捜査で拘留された組員の一人であった。

 留置所は、コンクリートが剥きだしで、ジメッとした空気に包まれていた。部屋には畳まれた布団と、簡易トイレがあって、一つしかない窓には鉄格子が嵌められていた。この窓をぼんやり眺めていると、自分がしたことがいかに愚かな行為であったかを思い知らされる。



 組長の様子がおかしくなったの、どう考えても俺のせいだよな……



 そんな部屋の片隅に座り込んだ男は、頭を抱えた。彼にとって、金田は上司以上の存在だった。働いていた会社をリストラされ、路頭に迷っているところを助けてくれた恩人だった。それ以来、彼は金田についていくことを決心し、言われたことは忠実に守ってきた。


 しかし、今回は状況が違う。その慕っている上司の消息がわからなくなったのだ。一時期、警察の強制捜査を事前に察知して、自分だけ逃げたのではないかと疑いかけたが、彼がどうしてもそのようなことをするとは思えなかった。なにより、様子がおかしくなった経緯に心当たりがあるのだ。



 何かトラブルに巻き込まれているのか……?



 考えれば考えるほど、嫌な妄想は加速していく。



 もし、俺がしゃべって、事態がいい方向に動くなら……いや……



 どうするべきなんだ。男は頭を掻き毟る。

 このとき、彼は知る由がなかった。のちに、この苦悩から解放されることを。それも、最悪な形で。





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