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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

彼氏が全寮制男子校に行ったらイケメンのライバルができていた

作者: 茶トラ

サクラは放心した。

一目惚れして、押して押して、それこそ押し倒さんばかりに通いつめて、やっと念願の彼氏彼女の関係になった人に久しぶりに会えたのに。

今私の目の前で繰り広げられている光景は何なのだろう?

私の彼氏が長身のイケメンに抱きしめられている状態なのは、実は夢オチとか希望するのですが…。

現実ですか。そうですか。


そもそも、付き合い始めて半年後、彼氏が親の転勤の関係で山奥の全寮制男子校に行く事になったのも寝耳に水だった。

それでも、時間を作って会ってくれるという約束をしてくれた。

寝る前には必ずラインでやり取りしてくれるって言ってくれた。

それが、日に日に減り、たまに連絡くれても、忙しいのか短いやり取りで終わってしまっていた。

何かこのままフェードアウトされそうで、無理やり彼の学校に押しかけてみたのだが。


普通、女子高生が校門で待ってたらね。

普通の男子校なら歓迎されるものだと思ってた。

だが、ここは違った。

通る人、通る人全てが、汚らわしいモノを見るような目で私を見るか、完全にいないものとして扱われるかのどちらか。

いや、私って、自分で言うのもアレだと思うけど、中の上くらいは、可愛いと思っていたのになぁ。

話はそれたけど、こうして針のムシロな状態のまま、彼が出てくるのを待ってたら…冒頭のシーンですよ。


私の彼氏が。

長身イケメンに。

腰に手をまわされ、リードされながら。

学校から出てきた。


え?ちょっと待って??


親友にしては、密着度高くない?

何か甘い雰囲気出てない?

私を見つけた時、彼は嬉しそうな顔をしてくれたけど。

隣のイケメンがそれを制するように、さらに密着して、ドヤ顔しながら私を見た。


え?何これ?

完全に混乱した。

私は彼の彼女だよね?

何故、彼はイケメンの腕の中にいるの?

どうしていいかわからず、放心してたら、彼が隣のイケメンに軽く耳打ちしてから子犬のように、こちらに走ってきてくれた。


「サクラちゃん、どうしたの?会いに来てくれたの?嬉しいな。」


うん、私の彼は相変わらず可愛いな。


ふわふわの栗色の柔らかい髪。

くりっとした大きな目とそれを縁取る長いまつ毛。

いつも微笑んでるような形の良い口元。

透ける様な白い肌。

女子の私でもうらやむくらい、お人形さんみたいな華奢な体。

本人は男らしくないと、気にしていたけどね。


「うん、ごめんね、突然きちゃって。でも、ハルくんに会えなくて寂しくなっちゃって…。」


ちらりと横目でイケメンがこちらをみているのを確認してから、そっと彼氏の胸に縋りつく。

そうよ、ハルくんには私という彼女が居るの。

イケメンくんはお呼びじゃないのよ。


「そっか、僕こそごめんね。連絡取りたかったけど、最近よくスマホ失くしちゃって…。」


すぐ見つかるんだけどさ、うっかりさんにも程があるよね。

って笑いながら説明してくれた。


そして、さっきまで隣にいたイケメンを紹介してくれる。

彼の名前は「久遠寺 峻」

ハルくんの寮の同室で、生徒会役員だそうだ。

面倒見がよく、家事もできてハルくんの食生活も管理してくれてるらしい。


「峻が作るご飯はすごく美味しいんだよ。ね、プロも顔負け!!」


そういいながら、イケメンにハルくんは蕩ける様な笑顔を向けた。


「で、彼女は和泉 サクラちゃん。えっと、僕の…。」


「ハルくんの彼女のサクラです。いつもハルくんがお世話になってます。」


ハルくんに紹介される前に『彼女』を強調して前へ出て握手を求める。

私が出した手をじっと見つめてから、イケメンは挑戦を受けるかのようにニヤッと笑って握手を受けた。


「いや、ハルのお世話は俺の役得だからね。」


意味深にそう答えてから、再びハルくんを自分に引き寄せ、髪にキスを落とした。

このヤロウ、彼女の私の目の前で、ハルくんに何をする。


「それより、サクラさんだっけ?町に降りるバス、次ので最終だから、早めに帰ったら?」


「あ、そうだよ!サクラちゃん、せっかく久しぶりに会えたのに残念だけど、ここって一日に2本しかバス来ないからさ。次逃がすと今日帰れなくなっちゃうよ!」


あ、そうだった…。

めちゃ交通が不便だった、ここ来るまでも。

でもでも、この状況で帰るとか、無いわ。


庇護欲を誘う可憐な彼氏。

全寮制の男子校に居るなんて、オオカミの群れの中の子羊状態。

そして、隣にいるイケメンは狼さん確定。

ハルくんを見る目が、まさにロックロンしている状態だもの。

このままでは、近いうちにハルくん、ペロリと食べられちゃう。


「大丈夫!お泊りセット持ってきたら、ハルくん今日は泊めてね。」


「え?!本気で言っているの?サクラちゃん??」



びっくり顔のままのハルくんんの腕にしがみついて。

うんざりした顔のイケメンに向かって挑戦的にほほ笑む。


ハルくんはきっと仕方ないなってちょっと困り顔になりながらも、きっと私のお願いを聞いてくれるはず。


幸い今日から3連休。

オオカミさんに食べられる前に私がハルくんをいただきます!



男の固い身体より。

女の子の柔らかさを堪能させてあげるから。


イケメンのヒロイン(男)になるより。

ヒロイン(女)のヒーローになってよね。


大好きだから。

この勝負負けられない。



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― 新着の感想 ―
[一言] サクラちゃんはイケメンさんに勝てるのか気になります!
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