五章 せかせかとした買い物
かなり長期の休載になってしまいましたことをお詫び申し上げます。言い訳になりますが、実は夏休みの宿題だとか小テストなどの再テストだとかが重なって書く暇がなかったんです。ですが、ようやく一段落つきましたのでこれからは週一くらいのペースでも更新できそうです。これからもSwitch!!をよろしくお願いします。m(_ _)m
魔法銃がない・・・。どこかに落としてしまったのだろうか?それとも掏られた?どちらにせよすぐにでも探し出さなくては・・・。
振り向くと、ガノンがみすぼらしい服装の、幸太郎より小さな男の子を摘み上げていた。これが噂に聞くストリートチルドレンというやつか。
「幸太郎、もう少し用心しねぇとそのうち、気づいたら素っ裸になってた。何てことになるぞ。」
ガノンは声を潜めて言った。
「それはいくらなんでもオーバー過ぎるんじゃない?」
幸太郎も声を潜めて答えた。
「はっはっは、そのくらいの心構えじゃないと酷い目に遭うってことだ。」
ガノンはそう言いながら子供を放した。
「確かにそうかもね。今後は気をつけるよ。」
魔法銃があんなに簡単に、しかも気づかないうちに盗まれた。ガノンの言うとおり、服を盗まれないよう気をつけるくらいでないとダメだろう。
「あ、そうだ。ガノン、お金持ってる?」
「ん?まぁ一応持ってるぞ。」
ガノンはそう言いつつ懐に手を入れ、財布を出した。
「一番安いのでいいからその子にあげてよ。」
それを聞いたガノンは手を横に振った。
「おいおい、そんなもったいない・・・、」
ガノンが言い終わらないうちに幸太郎がきり返した。
「いいから!その代わり君、もう人の物盗んじゃダメだよ。」
「それならいらないよ!」
そう言って少年は逃げていった。ガノンが言うにはああいう子供はそうしないと生きていけないそうだ。なんかちょっと複雑な気分だ・・・。
突然、後ろからポポの声が聞こえてきた。
「勇者様、立ち止まってちゃダメじゃないですか!逸れちゃったらどうするつもりですか!?」
声のした方を振り返ると、ポポたちが人込みを掻き分けてこちらに向かっているのが見えた。とは言っても、もうすぐ近くまで来ている。
「ごめんごめん。ちょっといろいろあってね。」
「いろいろって、まさか掏られたんじゃないでしょうね!?」
フレイヤは凄い剣幕で怒鳴った。
「何も掏られちゃいねぇよ。そんなことより急ごうぜ。こんなとこで油売ってちゃ本当に掏られちまうかも知れねぇからな。」
ガノンが言うとフレイヤは渋々同意したので、急いで魔道屋を探すことになった。
一行は目と鼻の先に魔道屋を見つけ、中に入った。
「ポポ、今更だけど僕たちここで何買うの?」
幸太郎は店内を物珍しそうに見渡しながら言った。
「ここには様々な魔法関連の賞品が売っています。例えばこれは魔道書と言って、呪文やその魔法を使う為のコツなんかが書いてあります。」
ポポが指差した本には“自然系魔法大全集―初級編”と書いてあった。
「“自然系魔法”?」
幸太郎が首を傾げるや否や、ポポが解説を始めた。
「そういえばまだ魔法については何の説明もしてませんでしたね。ついでに“支援系魔法”と“人口魔法”についても説明しますね。」
「“自然系魔法”と“支援系魔法”は大体想像つくんだけど“人口魔法”っていったい何?」
幸太郎は興味津々になって身を乗り出した。
「気になるかも知れませんがまた後で。順を追って説明しますから。」
ポポはそう言って幸太郎を宥めつつ説明を続けた。
「まず“夢の国”には大きく分けてさっき言った3つの魔法があり、その内の“自然系魔法”は“天”“地”“海”“炎”“雷”に、“支援系魔法”は“療”“護”“能”に分かれていて、文字通りの魔法が使えます。“自然系魔法”は主に一部の優れたフェアリーやエルフなどが、“支援系魔法”はフェアリーが、古くから使っていた魔法です。一応人間にも使える人がいます。そして“人口魔法”ですが、これはある時人間が独自に作り出した物で、フェアリーやエルフには使えない人間独自の魔法です。大変便利な魔法が多いのが特徴ですなのが、人間にしか使えないことから他の種族に忌み嫌われ、俗に“破滅系魔法”とも呼ばれ、使えば破滅が訪れると恐れられています。」
「破滅・・・か。」
「まぁ、ただの迷信ですけどね。」
「ふ〜ん。・・・とにかく人間は3つの魔法全部使えるのか。でも何で人間だけそんなに万能なの?」
「えーっと、・・・それはちょっと長くなりそうなのでまた今度と言うことで。」
ポポは苦笑しながら言った。幸太郎はしかめっ面をしたが、文句は何も言わなかった。
「とりあえず“自然系”と“支援系”と“人口魔法”の初級魔道書と“マジック・インスペクター”を買いましょ。」
ポポの説明が終わったのを見計らってフレイヤが言った。
「まじっくいんすぺくたー?」
幸太郎がまた首を傾げたので、またもポポの解説が始まった。
「“マジック・インスペクター”と言うのは・・・、」
「要するに向いてる魔法を見つけることのできる石。さぁ、さっさと買って防具屋に行くわよ。」
ポポの解説はフレイヤによって強制的に終了させられてしまった。しょんぼりとしたポポは、3つの魔道書と“マジック・インスペクター”2つをフレイヤに渡されて、レジまで飛んで行った。幸太郎は勇者であることを名乗ればまたタダにしてくれるだろうと言ったが、どうやら勇者であることはあまり触れ回らない方がいいらしく、止められた。
一行が今度は手近の防具屋に入ると、すぐにガノンだけが重防具のコーナーへ行った。重防具のコーナーには重く、頑丈そうな鎧兜や甲冑がズラリと並んでいる。鎧兜に甲冑か・・・騎士みたいでカッコいいなぁ・・・。
幸太郎が見とれているとフレイヤが後ろから言った。
「そんなの幸太郎が着て立ってられるかしら?」
「み、見てただけだよ・・・。」
「そ。じゃあ幸太郎にもぴったりな防具を探すわよ。」
「え?そんな物あるの?」
「ええ、あっちにあるわよ。」
フレイヤが指差す方向には鎖帷子やマントのような、軽装の防具から得体の知れない物まで、とにかく軽そうな物が並んでいる軽防具のコーナーがあった。
「幸太郎にはあれがちょうどいいと思うわよ。」
フレイヤは銀のような鉱物でできた鎖帷子を指差した。幸太郎はその鎖帷子を持ってみた。思ったよりも軽い。
「これ、いったい何でできてるの?」
「“ボロウ”よ。」
「ぼろう?」
「“ボロウ”は俗に退魔の鉱石とも呼ばれていて、ちょっとした魔法くらいなら完全に吸収しちゃう特殊な鉱石なの。それに軽いし、多くの防具に使われているわ。」
「そんなに凄いの?じゃあ僕はこれにするよ。」
瞳は幸太郎と同じ物を、フレイヤは籠手や胸当てなどを、ガノンは騎士のような鎧兜(とは言ってもドアーフ用の物なので小さい)を買った。その全てにボロウが使われていると言うから驚きだ。ポポはというと、重いと飛べなくなるからと言って何も買わなかったそうだ。
これで必要な物は全て揃ったはずだ。一行はさっさとこの物騒な町を出ることにした。
「次の町はどんな町なの?」
幸太郎がポポに聞くと、ポポは即座に答えた。
「次は“交通の街ルート”です。」
「交通の街って・・・、」
今度は幸太郎が首をかしげる前にポポが答えた。
「要するに凄く交通の便がいい港町です。全体的にはチャトほど治安は悪くないものの、一旦路地なんかに入ってしまうとここより酷いかもしれませんよ。」
“交通の街ルート”か。そこで何か乗り物でも買うのかな?




