6 初めての戦い
「「「「四人揃って、ニート戦隊みんな死ぬンジャー!」」」」
ポーズをとった四人の後ろで派手に爆発が起こり、赤青黄白の煙が上がる。最近は規制が厳しいのでここまで派手な爆発はどのテレビ番組でもやらないのだが、どうしてこんな仕掛けを作ったのだろう。CGで処理もできるのにね。
「ってなんで私こんなポーズとってるの!」
白鳥だけが頭を抱えていたが、ここは戦場だ。そんなことを気にしている暇はない。たかしに加えて赤沢、青松は素手でハロワーンに殴りかかっていく。遅ればせながら白鳥も参戦する。
ハロワーンが相手なら素手で充分だった。パンチやキックで次々とハロワーンは光の粒子に変わっていく。ただ、倒すべきなのはこんな雑魚ではなくマスク装着者であるムダメシンとニジヨメンである。ハロワーンと戦いながら見上げてみれば、ニジヨメンはマンションの住人と思われる少年を縛ってバルコニーに連れ出していた。
「た、助けてくれ~! ああああああああああっ!」
少年は発狂したかのように悲鳴を上げてじたばたと暴れていた。留年イエローに変身したたかしでも、あの高さまでジャンプするのは無理だ。
ここでネトゲブルー──青松が前に出る。
「課金無双ライフル!」
青松は青いライフルを持ち出し、バルコニーを射撃する。思わずたかしは叫んだ。
「何やってんだよ!」
捕まっている少年に当たったらどうするのだ。しかし青松は射撃を止めない。
「よく見るんだ! ぼやぼやしてると敵が増える!」
ニジヨメンは真っ白なのっぺらぼうのマスクを手にしていた。あれがニート撲滅マスクか。あれが少年に装着されると、怪人になるのだと思われる。活動が確認されていなかったマスクは、ニジヨメンが持っていたのである。
「なるほど、こちらと同様ニート力が高い者を捜していたのですねェ! あの少年、緑岡君は皆さんの仲間候補の一人でしたァ!」
ナマポンが興奮したように叫ぶ。今からでも遅くはない。花のない構成になるが、赤沢か白鳥をクビにして彼を仲間にするべきだ。
たかしの心の声を聞いたのか、ナマポンは人質となっている緑岡君が選ばれなかった理由を解説してくれる。
「しかァし! 彼は重度の引き籠もりでしてェ! 部屋から一歩も出られないので、採用できませんでしたァ!」
それは致命的である。今、彼が狂ったように叫びながらもがいているのも部屋から連れ出されたからだろう。
「ちなみに彼は、特に警察が大嫌いで、警察官の姿を見ると脱糞して嘔吐します。何かトラウマでもあったんですかねェ」
ナマポンがいらないことを喋ってる間に、たかしは緑岡とかいう少年を救う方法を考えるが思いつかない。たかしがパワータイプであるように、ジャンプ力が高い者はいないのか。たかしはそう考えるが、誰もバルコニーまで乗り込もうとしない。青松の射撃も虚しく、ニジヨメンの手により少年の顔にマスクが装着された。
「あああああああああッ!」
少年は悲鳴を上げて痙攣し、やがてぐったりと動かなくなってしまう。そして体の変質が始まった。少年の体は筋骨隆々に変異し、頭はサイ型のかぶりものに覆われる。
かつて少年だった者は、完全に怪人に変異してしまった。サイ型怪人はバルコニーから飛び降り、たかしたちの前に立ちはだかる。
「俺はメンドクサーイ! 何事もメンドクサーイ!」
メンドクサーイなる怪人は頭部の立派な角をたかしたちに向け、突進してくる。たかしたちは間一髪でメンドクサーイの角を避け、メンドクサーイはマンションの壁に激突する。メンドクサーイは鉄筋コンクリートの壁を突き破り、まるでギャグ漫画のように人型の穴を開けた。あんなのを喰らったらひとたまりもない。
たかしたちは、固有武器を使ってメンドクサーイを倒すことにする。
「課金無双ライフル!」
まず青松が飛び道具でメンドクサーイを倒そうとするが火力が足りない。構わずメンドクサーイは突撃を掛けようとする。ここにすねかじりホワイト──白鳥が加わった。
「家事手伝いアロー!」
白鳥は白い小型の弓で、メンドクサーイを狙い撃つ。青松のライフルより連射は利かないが、その分威力は高いようだ。複数の矢が命中したメンドクサーイの足が鈍った。ここでたかしの出番である。
「自主休講アックス!」
たかしは大きな斧でメンドクサーイをぶん殴る。メンドクサーイは大きなダメージを受けて体表から火花を散らせた。
しかしそれでも倒すまでに至らない。たかしの斧は大きすぎて、連続攻撃ができないのだ。青松と白鳥はたかしが邪魔になって射撃ができないので、まだマンションのバルコニーで様子見に徹しているムダメシンとニジヨメンへと目標を切り替えた。ムダメシン、ニジヨメンの気が変わらないうちにメンドクサーイを倒してしまわなければ。
後一押しが足りない。ここで無駄にやる気をたぎらせていたあの人の登場である。
「愛国無罪ソード!」
真っ赤な刀身の剣でネトウヨレッド──赤沢はメンドクサーイに斬りつける。赤沢はやたらめったらに斬りつけてメンドクサーイに何もさせず、ここぞというところでたかしが斧を振るう。
このままいけば勝てる。たかしは押し切ってしまうべく、いっそう力を込めて斧を振るった。
「オラァッ!」
たかし渾身の一撃で、メンドクサーイの巨体が揺らいだ。しかし敵もさるもの、メンドクサーイは蹴りを繰り出してたかしを吹っ飛ばす。
「今だ、赤沢!」
地面を転がりながらたかしは叫んだ。




