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 作戦会議は一応やった。前回と同じ作戦は通じないと思うので、装備の交換を検討し、前回と逆に赤沢が前に出るパターンの作戦を組み上げた。戦い方について話し合っているときだけ、死の恐怖を忘れられる気がした。


 ナマポンはこれまでの戦いの映像記録を全て残しており、非常に役に立った。さすが未来の技術で、様々なアングルからたかしたちの戦いが全て鮮明に記録されている。音声の収録もバッチリだ。日常シーンを加えればドラマにでも再構成できそうなくらいハイクオリティである。


 感心したたかしは途中で提案する。


「戦いが終わったらこの動画を元にドキュメンタリー作って売り出そうぜ」


「ダメですねェ。著作権がありますからァァァァァ!」


 撮影者のナマポンが、それくらい許してくれればいいのに。まぁ、未来が変わると困るのでダメなのだろう。




 ちなみに秘密基地には今さら新兵器が設置されていた。〈無職大将軍〉の操縦システムを利用したトレーニングゲームである。実際と同じようにコントローラーを使って、格ゲーのようにモニター上で〈無職大将軍〉を動かせるのだ。


 たかしと赤沢はゲームに打ち込む。死ぬための訓練のようで気持ち悪かったが、何もしないよりマシだ。ボォっとしていると死の足音が聞こえる気がする。たかしは赤沢を相手に連戦連勝し、赤沢を感心させた。


「凄いな、黄山。私には何がどうなってるのか、さっぱりわからなかったぞ」


「まぁ、こういうのは慣れだからな」


 多分ゲーマーである青松がいれば、たかしは手も足も出なかったに違いない。格ゲーのネット対戦をやれば、たかしは勝率一割にも満たない。「強キャラ使わず好きなキャラ使ってるから(震え声)」と自分に言い訳するが、結局下手くそなだけである。


 だからたかしは格ゲーが嫌いだ。CPU相手に好きなようにコンボを決めて勝つのが、一番楽しい。俺は物語を楽しむ派だから、ストーリーモードやアーケードモードがメインなんだよ(震え声)。


「私も努力しなければな……!」


 ポケモンおじさん(特性:ひま 全ての時間をポケモンに使える)に純粋な尊敬の念を抱く小学生のような視線を赤沢に向けられ、たかしは苦笑するしかなかった。




 日が暮れてきたので、帰ることにする。たかしは赤沢とともに駅方向に向かってだらだらと歩いた。昨日、二人とも自転車を病院に置いてきてしまったので歩きなのだ。赤沢を家まで送ってやるつもりである。


 大学から駅方向に行くには公園の中を通るのが近道だ。まだ午後五時頃なのに、空はオレンジ色である。夕方の公園では、至るところでカップルがいちゃついていた。リア充は爆発すればいいのに。


 ふとたかしは思いつき、赤沢に言ってみる。


「恋に生きてみるっていうのはどうだ?」


「は……? い、いきなり、何を言ってるのだ!?」


 赤沢は顔を真っ赤にして目を白黒させる。いきなりすぎてどう見てもセクハラである。たかしは慌てて補足した。


「いや、普通に恋愛して、結婚して、子どもを育てたら、意味がある人生になるのかな、って思ってな」


 次代を作るために生きるというのは、生物として正しい生き方だ。少子高齢化が社会問題になっている昨今、子どもを作ってきちんと育てている人は、立派に社会に貢献しているといえるだろう。たかしには縁のない話だが、赤沢ならできるだろう。


「あ、ああ……それはそうかもしれないな……。でも私には無理だ。私は、ブスだから」


 赤沢は目を伏せる。たかしは首を傾げた。


「ブス? どうしてそう思うんだ?」


「だって、高校のとき、そう言われてたから……」


「おまえに嫉妬してたんだろ。おまえは美人だよ」


 まあ、顔だけは。服装とか性格のことを言うとかわいそうなので、そこは黙っておくことにする。


「はぁ!? わ、私を騙そうとしているのか!? そ、そうはいかないぞ!?」


 赤沢はますます顔を赤くする。たかしはこともなげに言う。


「そんなんじゃねーよ。客観的に見て、おまえは美人なんだよ。もうちょっと自分に自信持て」


 赤沢は真っ赤な顔のまま横を向いた。


「いくらお世辞を言ったって、何も出せないぞ」


「お世辞じゃないんだけどなぁ」


「だいたい、恋愛なんて無理だ……。何をすればいいのかわからない」


 そう言って口を尖らせる赤沢の顔は、年齢よりとても幼く見えた。何をすればいいかなんて完全無欠の童貞であるたかしもわからない。たかしは腕組みして首をひねる。


「普通にデートすればいいんじゃないのか?」


「普通のデートとは何だ?」


「う~ん、映画見て喫茶店行くとか?」


「ならやってみせろ!」

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