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鬼様此方  作者: 神山里美
2/2

二走目

「今日の夜、1時半全員集合な!」


帰りの会終了後、先生が居なくなったのを見計らって久我ちゃんは言った。


明日は土曜日だから丁度良い機会なんだろう。


「あ、美術部も参加していいかな?」


真由は久我ちゃんに問う。


「別に良いよ。」


あっさりとOKを貰えたので驚いた。


「じゃあ未来ちゃんと百合達に連絡しとく。」


「よろしく。」


俺は不安で仕方なかった。







「もうそろそろで…行かなきゃな…。」

時計を見ると1時20分だった。


俺は清めの塩、御守りに夕方寺で貰った札を沢山持った。腕時計を身に付ける。


「有紗、そろそろ行くぞ?」


「待ってよ杏理。俺も清めの塩とか持ってくから。美術部員全員分のお守りも。」


有紗は俺の姉で美術部員の1人だ。


有紗も肝試しに行くことになってる。


俺達は気が乗らない学校に向かった。







1時半






「よし、揃ったか?」


学級委員である終と明梨は男女数が合うか、確認している。


「よし揃ったな。久我ちゃん、ルール説明して。」


久我ちゃんは前に出てルール説明を始めた。


「ルールは基本鬼ごっこと同じだ。範囲は学校の中。外に出たら負け。あ、あと音は幽霊に見つからないように立てない方が良い。幽霊は目が見えないから、耳で聞いて反応するからな。」


久我ちゃんがそう言うとみんな頷いた。


ルール説明が終わった後、美術部員にお守りを渡した。



「そろそろだ。皆準備は良いか?」


皆肯定の声を上げる。


「よし。時間は3時間、誰が残れるかな?」



そう言った久我ちゃんの顔は一瞬不気味だった。



「5秒前…4、3、2、1…開始だ。」


皆は校舎内に入っていく。


俺と有紗、百合、未来、そして親友の北島朝海と果鈴と行動することにした。



俺達は本当に小さな音を立てる。




「わふ〜いっ!!鬼さんこちら手の鳴る方へ♪」


馬鹿みたいにはしゃいでるのは、イラッとする馬鹿の岡山陸だ。


「へいへいへいっ!!あそれそれっ!!」


「祭りかよったく…。」


俺は呆れて陸をみた。


「おい、陸うるさ…。」


俺が注意しようとした時だった。


「!?」


目の前に血飛沫が上がった。


陸はスローモーションに倒れた。


何が起こったのか分からない。


「な、なんで…?」


目の前で陸は…








死んだ。


「杏理…何が…起こったの?」


真由の声が震えている。


そこにいた美術部員は立ち尽くす。


何故陸は死んだ?


朝海は陸に近づいてしゃがんだ。


「…肩から腰まで傷ができてる…それと…腕の脈と首の脈を切られてる…。」


陸は目を開いたままだ。


朝海は陸の目を閉じさせた。


「袈裟斬り…か…。」


確か斜めに切られることを袈裟斬りと呼ぶはず。


アニメか漫画で見た。


「…この遊び危険だ…空気が悪いし…気持ち悪い…。」


朝海は霊感が強いほうだ。俺と有紗も朝海の影響で霊感が少しある。


一瞬見える程度で本当に弱いが…。


「帰りたい…。」


泣きそうな声で真由は言った。


「真由…大丈夫…頑張ろう?」


果鈴が真由を慰めるように頭を撫でた。


「皆…生きて帰るぞ。死ぬなんて許さない。」


俺が言うと皆強く頷いた。




みんなで帰るんだ。








生きて帰るんだ。



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